まず、最初に「緑を住空間に取り入れる」というのにはこんな事例、こんなこともできますよということから。【写真1】(以下、全ての写真はクリックすると拡大します)をご覧ください。
これは、3階建ての建物の中に高木を植えてしまったという、何とも豪快な事例です。ヤマダ・エスバイエルホームが展開してる「小堀の住まい kobori研築工房」によるものですが、やろうと思えばこんなことまでできるということです。ただ、枝きりや掃除などが大変そうですね。
もう一つ、これは駐車スペースの緑化の事例【写真2】。旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)の住宅総合技術研究所(静岡県富士市)にかつてあったものですが、駐車スペースに芝を貼り付け、さらにその下にクルマを収納してしまうという奇想天外な設えです。
何だか「サンダーバード」のワンシーンのようですね(実際にこれを見学した時には、テーマソングが流れていました)。最近はヒートアイランド現象の対策として駐車スペースも緑化する事例が増えていますが、ここまでするのは私も初めて見ました。
お庭の植栽の工夫についてもみてみましょう。次の【写真3】は、ミサワホームのある分譲住宅地の事例ですが、リビングの前方をウッドデッキにしその手前にツタのカーテンをめぐらせています。
これは前ページでご紹介したような葉の蒸散効果で室内に涼しい風を住宅内部に導くほか、通りからの目隠しにもなります。ウッドデッキ回りそのものも楽しげな印象です。ちなみに、分譲住宅地ではこうした植栽(外構も含めて)の工夫にも注目してください。
建物の比較はもちろんですが、植栽にまで踏み込んで善し悪しを判断することで、より間違いのない住まい選びができるでしょう。そのくらい植栽の提案には、事業者のレベルの差が現れやすいのです。
最新の緑化の事例もご紹介しておきましょう。【写真4】はLED照明による水耕栽培の設備を取り入れたキッチン。これは野菜工場で採用されている技術を取り入れたもので、レタスなど様々な野菜の収穫が可能なのだそうです。
最近は食の安全が問題視されていますし、天候不純もあり野菜の価格も上昇気味。このような設備を取り入れることで、安心・安全な野菜を気軽に口にすることができます。
また、【写真5】のようにするとインテリアとしてもいい雰囲気。もしかしたら近い将来、野菜は全て家庭内で自給自足できるなんていう時代が来るのかもしれません。
最後に、緑化に関連することで屋上の活用法について言及しておきます。かつて行われていた屋上利用では、緑化に限らず何年かすると使われなくなってしまうというケースが多くありました。晴れた日にここで洗濯物を干そうだとか、花火大会がある時に見晴らしがいいだとか、を考えて屋上を設置したのかもしれません。
しかし、人は年を取ると階段の上り下りが大変になり、下手をすると「2階にも上りたくない」なんていう人もいるくらい。要するに使われなくなる、あるいは使いづらくなる可能性があるのです。要は強い動機がない屋上利用はやめた方が無難といえるのです。
で、【写真6】をご覧ください。これは3階部分なのですが、居住スペースに隣接して屋上緑化をしている事例です。生活スペースが傍らにあることで、屋上が家族の暮らしとより密接になりますので、そこにいる(使う)頻度が飛躍的に高まります。
このように屋上(ベランダを含む)を設置する場合は、生活スペースに隣接してつながりを持たせるようにしておくことが大切。家族のコミュニケーションを深める場なども含め、使い勝手の良さも追求しましょう。
屋上を設置(利用)するということには、それなりに費用がかかるものです。後になって「なぜ屋上を設置したのか」というようにならないようにしたいものです。もちろん、それは屋上緑化についても同じ。ぜひ、暮らしに密接した楽しい緑化スペースにしていただきたいと思います。
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