レージレヴァ(ソプラノ) ヘンデル:アリア集
英国ロイヤルオペラの来日公演に「ドン・ジョヴァンニ」にツェルリーナ役で出演して絶賛を博したロシアの新星ソプラノ、ユリア・レージネヴァ。2013年にデッカ・デビュー盤としてリリースされた「アレルヤ~4つのモテット集」では、ドイツの権威あるECHO KLASSIK AWARDSで声楽部門のベスト・ニュー・アーティスト賞を受賞しています。待望のデッカ第2弾となる今作は、彼女の並外れた才能にふさわしい若きヘンデルの傑作からのアリア集。聴き手の魂を揺さぶるレージネヴァの美質が十全に堪能でき、忘れがたい余韻を残すアルバムです。
■ガイド大塚の感想
冒頭からアントニーニ節が炸裂の新鮮なエネルギー溢れる演奏。なのだが、そのアントニーニですら霞むような超絶技巧の歌に舌を巻く。速いパッセージも難なくコントロールし駆け抜ける技術は本当に圧巻だが、柔らかく、しかし芯もある、岩に染み入るような美しい声自体がとても魅力。爽快であり、人間の声の凄さを思い知らされる。
カウフマン(テノール) 誰も寝てはならぬ~プッチーニ・アルバム
プッチーニを重要なレパートリーとするカウフマンによる、誰もが待ち望んだプッチーニ・アルバム。「誰も寝てはならぬ」はじめ、ヒット・メロディともいうべき名アリア・二重唱が満載。共演はアントニオ・パッパーノ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団・合唱団。「デラックス・エディション」はDVD付きで、カウフマンのインタビューや録音風景映像のほか、「マノン・レスコー」(コヴェント・ガーデン王立歌劇場公演)などのハイライト映像も。
■ガイド大塚の感想
現代最高のテノールの一人、カウフマン。ワーグナーも歌えるヒロイックな力強さと甘さ、滑らかな歌い回しが全編に。どれも今回の録音用に録り下ろされたもので、冒頭の、作品に共感しているという『マノン・レスコー』の4曲から圧巻。ソプラノに迎えているオポライスもばっちりの歌と相性。最初のオペラ作品『妖精ヴィッリ』、『エドガール』など上演の機会のほとんどないものからも収録されており、プッチーニの音楽の広さ・変遷も知ることができる。
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フローレス(テノール) ITALIA~イタリア歌曲を歌う
奇跡のロッシーニ歌手として1996年に華々しいデビューを飾ったフローレス。40歳を越えてからは更にその声に深みが加わってきたようです。今回のアルバムは、満を持してのイタリア名歌曲集。トスティからドナウディ、クルティスなどのお馴染みの曲を軽やかに、そして情感豊かに朗々と歌い上げています。彼が得意とするロッシーニの「踊り」も絶品です。時折アヴィ・アヴィタルがマンドリンで絶妙な間合いを作り出しているところはご愛嬌。
■ガイド大塚の感想
こちらも現代を代表するテノール。「帰れソレントへ」など、お馴染みのイタリア名歌曲がたっぷりとした歌・オーケストレーションで歌われる。フローレスの声は適度な湿度・重さもあり、能天気にカラッと歌われるのではなく、甘さと確かな力強さがあるところが魅力だ。特筆したいのが、上の推薦コメントにもあるとおり、ロッシーニ「踊り」。ドラマティックに急き立て体温を上げていくような盛り上がりで、聴いていてオペラを見るような興奮がある。
デセイ(ソプラノ) フランス歌曲集~気まぐれな婚約
世界的ソプラノ歌手、ナタリー・デセイの最新録音は、フランスの“エスプリ”を象徴する作曲家、プーランク、フォーレ、ショーシン、デュパルク、そしてシャブリエの歌曲集。美しく官能的な歌の世界を、美声を誇るデセイが、フィリップ・カサールのピアノ伴奏による録音。大好評を博した2012年ドビュッシー歌曲集「月の光」と同じ共演者、スタッフ、録音場所で挑んだデセイの真骨頂。ジャケットも、このアルバムの中心的作品「気まぐれな婚約」をイメージしたコミカルなデザイン。
■ガイド大塚の感想
実力が高い上で、キュートな茶目っ気さも持つ、とてもデセイらしいアルバム。有名なフォーレの「夢の後に」に始まり、ヴェルレーヌやヴァレリーなどの詩による純粋な恋愛歌から、オシャレな恋物語、セクシーな歌まで、産毛に触れるような柔らかさをもって歌っていく。カサールのピアノの繊細なタッチとバランスも見事で、うっとりするような大人な世界観は、照明を落としてお酒を楽しむシーンなどによく合いそう。
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