夫婦の寝室復活は知られざる「夫婦仲の危機に陥りやすいタイミング」
妻にとって「夫婦二人だけの寝室」が恐怖に
長い結婚生活の間には、何度か夫婦仲の危機を迎えやすいタイミングがあります。代表的なものの一つが「産後クライシス」。
出産後の夫婦の性欲の差や夫の子育ての参加度合いによって、夫婦の関係が大きく変化する時期です。
ほかにもよく知られているのは「子育て卒業期」。子供の大学入学や就職など子育てが終了した時期に、再び夫婦だけの家庭に戻れるのか、あるいは熟年離婚への道を選ぶのか、ここも大きな分かれ目です。
さらに、あまり知られていませんが、実は危機のタイミングになりやすいのが「夫婦の寝室復活期」。夫婦と子供が一緒の就寝スタイルから、子供は子供部屋に、夫婦の寝室はふたりだけに戻るタイミング。ここで夫婦のこれからの関係があぶり出されてきます。
今回は、そんな「夫婦の寝室復活期」の妻の本音を掘り下げてみましょう。
子供との添い寝がセックスレスを加速させる
小さいうちから子供部屋に一人で寝かせる習慣のある欧米と違い、日本では、手狭な住宅事情もあって、乳幼児から未就学の小さな子供との添い寝が一般的です。夫婦の寝室、それ以外の和室に川の字で寝るパターン、あるいは子供部屋にママと子供、パパは別の部屋という添い寝パターンもよくあります。母乳育児をしている、夜泣きがある、あるいはパパが子育てにあまり積極的でない場合、この「パパだけ別室」という添い寝スタイルが多く見られるようです。
新生児のころは、夜中に赤ちゃんのミルクがあったり、幼児期にはおねしょに対応したりなど、添い寝をするママも大変ですが、そのような時期を過ぎれば、「子供との添い寝」はさほど大変ではなくなります。
「布団の中で読み聞かせをしたり、いろいろおしゃべりをして、楽しく眠りにつける」
「子供の寝顔を見ながら幸せな気持ちになれる」
など、添い寝を楽しむママたちの声もたくさん聞かれるようになります。
夫婦によってはセックスレスが加速する可能性が高いのもこの時期。「子供がいるからセックスできない」ということをストレスに感じるだんな様に対して、そもそも夫婦のセックスが「楽しくない」「面倒」と考える妻は、むしろ「セックスしにくい環境」を歓迎する傾向さえ見られます。
出産前に夫婦でどのようなセックスをしてきたか、どのくらい楽しめていたかによって、このセックスしにくい「添い寝環境」への見方が、180度変わってしまうといえるでしょう。
セックスしにくい環境からセックスしやすい環境へ
子供たちから「別寝宣言」が出たら、 夫婦にとっては「セックスしにくい環境」の終わり。
やがて、そんな「セックスしにくい環境」も、子供たちの「別寝宣言」で終わりを迎えます。個人差はありますが学童期になると、「今日からは一人で寝る」あるいは「お姉ちゃんと二人で寝る」など、子供たちのほうから「別寝宣言」が出るようになります。
夫婦にとっては「セックスしにくい環境」の終わり。しかし、その瞬間を「喜び」ではなく「恐怖」や「落胆」と共に迎える妻も少なくないのです。
「だんな様と一緒だと、いびきでよく眠れない」
「寝室に居るときまで、夫に気を使わなければいけないのが疲れる」
「子供と一緒のほうが楽しいし、ラク」
「夫婦二人きりだと話題がない」
「セックスするのが面倒」
「セックスが楽しくないのでしたくない」
などなど、この時期の妻の皆様から寄せられる夫婦の寝室のお悩みは少なくありません。
「セックスしにくい環境」を楽しんでいた妻ほど、夫婦だけの寝室に戻ることへの抵抗感が大きい傾向があります。パターンで言うと「川の字スタイル」より「パパだけ別室スタイル」のほうが、夫婦だけの寝室の復活に対して否定的な傾向が見られるのが特徴です。そういえば私は、雑誌VERYで「夫婦川の字問題」を監修したことがあります。ファッション誌でも放っておかないシビアな問題なのですね。
ではなぜ、妻たちは「夫婦の寝室」に戻ることを避けたがるのでしょうか?
「夫婦の寝室」を妻が拒否する原因
「夫婦の寝室」に戻ることへの拒否感の最大の原因は、夫婦の関係の希薄化にあります。たとえば、そもそも出産前から妻にとって夫婦のセックスが楽しいものではなかった場合。添い寝という「セックスしにくい環境」はむしろ歓迎すべき形であり、その終わりである「夫婦二人だけの寝室」の復活は決して喜べるものではありません。
あるいは出産後、子育てに忙殺される妻を十分にサポートしなかったため、妻の心が夫から離れてしまった場合。「夫とは会話がない」「夫のお世話をする気はない」という反応が妻から出るのも無理はありません。
そもそも「ママ大好き!」「ママとずっと一緒にいたい!」と素直に愛情をぶつけてくる、寝顔のかわいい子供たちと、「最近のお前の体型さぁ、俺より貫禄あるよな」と嫌味を言ったり、「俺、まだゲームしてるから電気消さないで」と自己中な態度の、いびきのうるさい夫を比べたら、どちらと一緒に夜を過ごしたいかは明らかでしょう。
夫婦の関係が希薄になっていればいるほど、「夫婦の寝室の復活」は妻にとって落胆すべき事件なのです。
とはいえ、ここで夫婦別寝を選んでしまっては、今後の夫婦仲はますます冷え込むばかり。夫婦の寝室復活を、夫婦関係の再構築の機会にしなければいけません。そのためには一体どんなことが有効でしょうか?
夫婦ふたりだけの寝室復活を、今後の二人の関係に生かす方法
毎日ちゃんと夫婦で会話をする時間を取れているかを見直してみましょう
「夫婦の寝室復活」をうまく乗り超えるためには、いくつかの方法があります。
1.まずはお互いの自由を確保できる緩やかな距離をつくる
今まで別室で、それぞれ比較的自由に自分のペースでに過ごしていた夫婦が、いきなり一つの布団で寝るのでは、窮屈な思いをするのは当然です。まずは同室で別々の布団に寝るなど、お互いの自由を得られる距離を緩やかに確保してみましょう。
部屋数にゆとりがあるようなら、どちらかの部屋に時々泊まりに行くような「通い婚スタイル」を取るなど、緩やかに同室に向けて移行していくのもおすすめです。
また、どちらかが遅くまで起きていたいなど、就寝時間帯が違うときにはどうするか?室温の設定はどうするか?など、改めて夫婦の寝室の利用ルールについて話し合ってみることも大切です。
2.寝室外での普段の夫婦のコミュニケーションを見直す
夫婦同室になって改めて考えていただきたいのが夫婦の日常の会話やスキンシップ。日常でできないことが、寝室で急にできるわけがありません。まずは普段の夫婦の生活の見直しが大事です。
たとえば、毎日ちゃんと夫婦で会話をする時間を取れているかを見直してみましょう。一緒にいても、実は必要な報告や連絡以外の会話をしていないこともよくあります。
TVの話でも近所の話でも、自分の仕事の話でもなんでも可。お互いの目を見て、純粋に会話を楽しみ、一緒に笑える時間を、毎日10分でもいいので作るようにしましょう。
また、夫婦同室でお互いの距離が近づくことに拒否感があるとしたら、それは日常のスキンシップ不足が原因かも。もしかして、一日中全く相手に触れない生活を送っていませんか?
まずは「おはよう」「行ってらっしゃい」「ありがとう」などの言葉がけのタイミングに合わせて、肩ポン、頭ポン、ハイタッチなど、軽く相手に触れるスキンシップから始めましょう。それが抵抗なくできるようになったら、TVを見ている時などリラックスしている時に、肩にもたれる、背中に手を回す、手をつなぐ、肩揉みなど軽いマッサージをするなど、少しずつスキンシップの濃度をあげていくといいでしょう。
3.夫婦のセックスが楽しくなる工夫をする
夫婦同室を避けたくなる理由が「楽しくないセックス」だとしたら、夫婦のセックスを改善することもとても大切です。
「一緒に寝てるんだから、するのが当たり前」と思わず、せっかく「セックスしやすい環境」に戻ったのですから、初心に帰って、お互いが気持ちよくワクワクできるセックスができるよう、工夫してみるとよいでしょう。
ベッド周りのリネンや明かりを変えてみる、アロマランプなど香りを取り入れてみる、ナイトウエアや下着を変えてみるなど、まずは見た目の変化から取り組むと、気分も変わります。
もちろん、マンネリ化したキスの仕方を改めたり、服の脱がせ方を変えてみたり、オイルマッサージを取り入れるなど、より二人の気分をセクシーに盛り上げる工夫も有効です。
さらに、上級者はローションや大人のおもちゃ系など、今までにない演出で新しい体験にトライするのもOK。ただし、一気に10歩先ぐらいのステージを目指しても、相手にドン引きされてしまいます。パートナーの様子を見ながら相手の期待する半歩先ぐらいを目指すと、うれしいサプライズで気持ちも盛り上がります。
「安心感」と「新鮮さ」を程よくミックスするのが、セックスを楽しむコツと覚えておいてください。
子供の「別寝宣言」は夫婦関係の大きな転換期。二人の関係を、これを機に強くするか弱くするかは、お互いの気持ちと努力次第といえるでしょう。
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