円覚寺の谷戸の奥へと花さんぽ
仏殿脇の坂を登っていきましょう。途中の斜面では、10~11月ごろ、金平糖のようなヒメツルソバの花が一面に咲き、まるでピンクのじゅうたんのよう。妙香池(みょうこうち)は、自然と一体になることを大切にする、禅の心の表れた池です。池の上の道を入ると、正続院(しょうぞくいん)。円覚寺の開山・無学祖元の魂をまつる場所です。奥の舎利殿(しゃりでん)は、禅宗様建築の典型といわれる国宝。例年、11月の文化の日に近い3日間、円覚寺の宝物風入れのときに特別公開されます。
さらに上に登っていきます。左手の仏日庵には、円覚寺の開基・北条時宗公をおまつりする茅葺の開基祠があります。
鎌倉時代、北条時宗公は、中国・元が日本に攻めてきた元寇の後、亡くなった方の魂を敵・味方分け隔てなくまつるために、この円覚寺を建立しました。仏日庵では、お抹茶をいただくこともできます(有料)。川端康成の小説「千羽鶴」の舞台となったお茶室もあり、心静かなひとときを過ごすことができます。
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■円覚寺仏日庵
ホームページhttp://www.butsunichian.com/
仏日庵よりさらに先に進み、黄梅院(おうばいいん)へ。先ほどの妙香池の庭園をつくった、夢窓国師の魂をまつる場所です。四季折々の花が咲くお庭。黄梅院は円覚寺がある谷戸(やと)の一番奥にあり、山の緑に包まれてしっとりした風情。
10月ごろなら、シュウメイギクの花が咲いているかもしれません。キクという名前がつきますが、アネモネの仲間。白い花は一重でアネモネ風、赤い花は八重でキク風に見えて、秋のお庭を彩る、趣ある花です。
黄梅院から戻り下って、途中左手の戸をくぐりましょう。方丈は、特に行事がない場合は一般公開されることがあります。広いお堂の裏に回ると、ゆったりと庭園や池を眺めることができます。
方丈を出たら坂を下りましょう。元気があれば、左手階段を登り、国宝の「洪鐘」(おおがね)を拝見するのもいいですね。鎌倉で最大の梵鐘です。天気の良い日は、高台から富士山が見えることもあるんですよ。
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■円覚寺
住所:鎌倉市山ノ内409
TEL:0467-22-0478
ホームページhttp://www.engakuji.or.jp/