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「お金に働いてもらう」という正しい理屈こそ疑おう(2ページ目)

よく投資勧誘のセミナーなどで「お金に働いてもらうことが大切です」と言われます。しかし、一見正しい理屈ほど危ないものはありません。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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しかし「お金にも働いてもらう」という安易なトークにご注意

しかし、「お金にも働いてもらう」が正しかったとしても、その後のセールストークが適当かどうかは別の話です。

というのは、一面的には正しいロジックが、セールストークにおいては悪用されるというのはよくあることだからです。

かつて、「毎月5万円の積み立てで1億円貯められる」という広告宣伝を用いて、特定の商品のみを販売している業者が業務停止処分を下されました。高利回りを前提とすれば前段は嘘ではありませんし、積立投資による資産形成は重要なことです。しかし、老後に関する危機感を強く煽り、特定の商品を販売するために正しいロジックが部分的に利用されていました。

「お金にも働いてもらう」という言葉に素直にうなづいてしまう人は、その後のセールストークにも素直にうなづいてしまいがちです。そこが危ないのです。

お金に働かせることは大事だが、「働かせ方」を知らずに働かせてはいけない

ここまでくればある程度答えは見えてきたはずです。「お金に働かせることは大事」であることは間違っていないので、その次のセールストークとは区分して話を聞けばいいのです。

もしセールストークを受けているのなら、「お金に働かせることは大事、ということは分かったけれど、なぜ私がその投資商品を購入するのが適当だと考えているのですか?」と聞き返さなければなりません。そこが本来肝心なポイントだからです。

「お金に働かせるのは大事なのは了解しましたが、その金融商品が効率的に働いていてくれるのはどうしてでしょうか。どのような投資対象で運用され、手数料は誰がどの時点でどれくらい取るもので、平均的にはどれくらいの利回りが期待できるのでしょうか。また、最悪のマーケットの環境においてはどれくらい値下がりする可能性があるのでしょうか。」とくらい切り返して納得のいく説明ができるものならば、少しは話し相手になってもいいでしょう。おそらく、軽い気持ちでセールストークしてきた営業マンはそこで話をやめてしまうはずです。

もちろん、「お金に働いてもらう」ためには、「お金の働かせ方」を自分で理解してハンドリングする必要があります。つまり、基本的な投資の知識や素養を学ぶ必要があるということです。

会社が「もっと社員を働かせることが大事」といってなんとなくアルバイトを雇って適当に営業させることはありえません。あなたのお金もなんとなく働いてなんとなく増えてくれるわけではないわけです。むしろちゃんと働くどころか、気がつけばよく分からないうちに減ってしまうかもしれません。

「お金を働かせることが大事」と言われて納得した人は、セールストークを聞き続けることをすぐやめて、「お金を働かせる方法」を学んでください(セールス担当者に教えてもらおうと思わないことも大切)。

お金を働かせる方法をきちんと身につけることができ、適切にお金を働かせることができれば、最初に説明したとおり、普通に会社員をしていても、同僚と比べて1000万円以上の経済格差を得て定年退職を迎えることができることでしょう。

現役時代にピリオドを打ったあとも、その財産は働き続け、さらに経済格差を拡大させてくれるに違いありません。
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