睡眠/理想の睡眠環境・寝室・ベッド・生活習慣

呼吸や心臓のリズムに合った音が寝つきを良くする

快眠CDなどが売られていますが、これを聴いて「よく眠れた」という人もいますが、「ぜんぜん変わらない」という人もいます。何が違うのでしょうか?今年の睡眠学会で、オーダーメイドの快眠音の研究がありましたので、ここでご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

快眠するための寝室環境とは?

寝室環境

良質な睡眠をとるポイントは、寝室環境と生活習慣です

睡眠の質を高めるためには、寝室の環境を整えることが大切です。寝室の環境とは、明るさや音、温度・湿度、においなど、五感で感じるものです。

明るさに関しては、なるべく暗いほうがよく眠れます。ただし、暗闇が嫌いな人や夜中にトイレなどに起きる方は、安心のために豆電球のフットライトをつけておくと良いでしょう。寝室の温度は16~26度、湿度は50%前後が理想的と言われています。

においについても、ラベンダーやスギ・ヒノキの香りの効果が実証されています。これらは、睡眠学の教科書にも載っています。音に関しては、40デシベル以上の騒音は、睡眠に悪い影響を与えることが分かっています。ところが、睡眠の質を良くする音の種類については、まだよくわかっていませんでした。

たしかに、「快眠CD」と銘打たれているのは、いろいろ売られています。クラシックなどの静かでゆっくりしたテンポの曲は、多くの人の心を落ち着けて眠くしてくれます。ところが、その音楽が嫌いな人にはストレスとなって、逆に眠れなくなることもあります。

ヤマハの「快眠音システム」

音・音楽

音環境は、睡眠の質を左右します

音楽関連企業として有名なヤマハは、快く眠るための音を研究しています。ここからは、2015年の日本睡眠学会での発表にもとづいて、「快眠音システム」をご紹介します。

「快眠音システム」は、一人ひとりに合わせたオーダーメイドのシステムです。「快眠音システム」は、寝具の下に敷いて体の動きや呼吸・心拍を読み取る生体マットセンサーと、快眠音を生成する音源(パソコン)、快眠音を出力するスピーカーからなっています。

今回の研究では、呼吸や心拍に連動した音や音楽を聴くことで、寝つくまでの時間がどう変化するかを調べました。

聴かせた音・音楽は、夜の森を想定した虫の音や、チベット仏教の Singing Bowl、和打楽器、波音です。これに、呼吸や心拍に合わせて強弱をつけたり(Fade in/out)、少しずつ小さくしたり(減衰系)、音の大きさを変えなかったり(持続系)しています。

呼吸や心拍との連動が決め手

波の音・自然音

音のゆらぎが大事なようです

音・音楽の種類では、音を聴かせなかったときに比べて、チベット仏教の Singing Bowlや和打楽器、波音を聴いたときに、寝つきが良くなりました。

特に、寝つきが悪い人には、とても効果がありました。寝つきが悪い人では、夜の森を想定した虫の音でも寝つきが良くなりました。

呼吸や心拍との連動について、持続系には効果がありませんでしたが、Fade in/out や減衰系では、寝つきが良くなりました。睡眠習慣との関係はありませんでした。つまり、早寝の人も夜更かしの人にも、快眠音の効果があったということです。

また、音に対する好き・嫌いなどの主観的評価と、寝つきの改善程度は相関がありませんでした。快眠に導いてくれる音は、あまり好みでは決まらないようです。

この研究から、虫の音や波音などの自然音や太鼓・鐘・鈴を使った音楽を、呼吸や心拍に合わせて変動させ Fade in/out を繰り返したり、少しずつ小さくしたりすることで、睡眠の質を高められることが分かりました。

「快眠音システム」の市販が、待たれるところです。

【関連サイト】
ヤマハ株式会社
理想の寝室環境の作り方


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