メルニコフ(フォルテピアノ) シューマン:ピアノ協奏曲、ピアノ三重奏曲第2番
メルニコフ(ピアノ)、ファウスト(ヴァイオリン)、ケラス(チェロ)という、いまや世界が認める存在となった三人による、シューマン・プロジェクトの第2弾。全篇をとおしてメルニコフの生き生きとしたフォルテピアノが際立っており、彼の音楽の充実ぶりをあらためて実感します。オーケストラもエネルギー全開の演奏となっています。カップリングのピアノ三重奏曲第2番も、名手3人が見事なアンサンブルですべての楽想を慈しむように奏でています。
■ガイド大塚の感想
う~ん、さすが今回も充実(笑)。この3人が絡むものは常に必聴な凄さ。メルニコフはレトロな美しく繊細な音で正確な発音、バランス、テクニック。フライブルク・バロック・オーケストラもノン・ビブラートで思い切り豊かに響かせる。シューマンの詩情が温かく幸せに空間を満たすよう。三重奏曲は気心知れた3人の充実した演奏で、複雑な箇所もパズルのように同じ音色できっちりハマる卓越したアンサンブル。ドライさと豊潤さ。正に21世紀のアンサンブル。
ヴェルサイユ宮殿の水辺で
旅行先としても世界屈指の人気を誇るヴェルサイユ宮殿。17世紀のフランス王ルイ14世が、莫大な国費を投じてつくりあげたこの宮殿の広い庭園では、ルイ王朝のために書かれた音楽がスピーカーを通じて流れ続けています。しかも、フランス随一の“古い音楽”の専門家たちによる名演で……よりすぐりの名盤から厳選された2015年度ヴェルサイユ宮殿のサウンドトラック。宮廷生活を彩った典雅かつダイナミックな音で、あなたも本格派の旅気分に。
■ガイド大塚の感想
ヴェルサイユと言えばのリュリ、ラモー、シャルパンティエらの典雅な作品が並ぶ。それにしても改めて思ったのだが、当時の高貴な音楽が、今も高貴な音楽として認識され続けることに驚かされる。演奏は流麗なもの揃いで、過ぎ去った時代にタイムスリップするかのようだ。
アルティ弦楽四重奏団 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番
日本を代表する弦楽奏者が集まって結成された、アルティ弦楽四重奏団の2枚目となるアルバムです。前作ではベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番と16番、今作では第15番を収録。この2枚によって、まさに楽聖が最後に辿り着いた渾身の弦楽四重奏曲の世界を体現します。作品への敬意が染み出るような美しいアンサンブルを聴かせます。確固たる自信が漲り、全身全霊で表現する世界観。最高峰の弦楽四重奏をお楽しみ下さい。
■ガイド大塚の感想
メンバーは、ヴァイオリンに豊嶋泰嗣、 矢部達哉、ヴィオラに川本嘉子、チェロに上村昇という著名トップが揃った強力布陣。なのだが、個性をぶつけるのではなく、音が汚くなることもなく、一つの大きな音楽を均衡を保ちながら生み出していくのが何ともエレガント。大病から回復した感謝を込めたと言われる3楽章の慈しむようなメロディーを丁寧に重ねていく清らかな美しさは、このメンバーならでは。
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ヘンニヒ(ハルモニウム) ワーグナーの傑作を、ピアノと、ヴィンテージのハルモニウムで
多くの人が小学校の教室で親しんだ「足踏みオルガン」、ハルモニウム。100年前のヨーロッパでは、この楽器がピアノ同様の家庭楽器として親しまれていたばかりか、本格的な芸術音楽も演奏され、フランクやドヴォルザークなど大作曲家たちもハルモニウムのための名品を多数書きました。その名演奏家&名編曲家として知られたカルク=エーレルトの手にかかれば、ワーグナーの複雑な名品さえ心蕩ける響きに……現代屈指の名手ふたりの演奏でどうぞ!
■ガイド大塚の感想
最初から何だか懐かしい素朴な音色で和みます(笑)。ただ、ピアノとの共演ということもあり、ユルくなりすぎず、面白いバランス。また、なるほどと思ったのが、ピアノと違い音が持続するので、ワーグナーの宇宙的宗教的世界観を何気にうまく表現していること。『神々の黄昏』のジークフリートの死など、雰囲気をよく伝えていて、味わい深い。