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軽やかでしなやかな抜け感、綾野剛の演じるセンス(2ページ目)

「綾野剛はこんな俳優です」と一言で表現するのはとても難しいように思います。それが綾野剛らしさであり魅力でもあります。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

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綾野剛、ほかにはどんな作品でどんな役を演じてきたでしょう。

男の理屈を優しさに昇華する 上原諒(『最高の離婚』)

「これはナシでしょう、ダメでしょう」と思える行動を悪意なくやってのけるモテ男の上原を、しなやかに演じてしまう綾野剛。

主人公の瑛太演じる濱崎光生も空気が読めない男でしたが、上原諒も空気が読めません。読めない同士の会話がかみ合っていないような可笑しい空気にクスクス笑ったり共感したりしたものです。

つかみどころのないフワっとした雰囲気には、憎めない不思議な魅力がありました。


包み込むやわらかい愛 空井大祐(『空飛ぶ広報室』)

綾野剛を見ていると、いつも前に出ない演技だなと思います。演技ではなく、演じる人物がきちんと前に出る、そこにセンスを感じます。空井大祐は哀しみを抱えながら、現実を受け止め、前を向こうとする人物。生命力を感じます。

自衛隊という仕事、震災後の人びとの心のあり方、いくつもの側面が繊細に交差するなか、懸命に生きる空井大祐の姿と誰かを包み込む優しい思いをキラキラではなく、キラリと演じた綾野剛、新鮮でした。

 

人間の生きる強さと尊さ 蘇我伊織(『S-最後の警官-』)

冷静沈着、抑えた感情、声高に叫びたくなることを淡々とした言葉で放つ。すると言葉は不思議にチカラを帯びます。抑える演技でも彼のセンスは光ります。

『最高の離婚』で、フワフワした人物を演じたかと思えば、こちらでは凛とした人物を演じる。「フワフワした男」も「キリリとした男」も過剰にしないことで、その人物らしさはさらに際立ちます。彼のセンスなのだと思います。スナイパーとしての存在感、吸い込まれそうな目力、圧巻でした。

 

10月には金曜ドラマ『コウノドリ』が始まります。漫画が原作の泣ける物語がテレビドラマではどう描かれるのか、情熱あふれる人物を綾野剛がどう演じるのか、楽しみです。きっとしなやかに軽やかに命の現場を見せてくれることでしょう。
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