「駐車場」という土地活用の選択肢

街中で良く目に付くPマーク

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土地を持っている人がもっともチャレンジしやすい土地活用の選択肢のひとつとして、駐車場があります。

駐車場には大きく三つの形態が存在します。

・平置き… 
いわゆる更地の駐車場で、地面がアスファルトなどで舗装される場合のほか、砂利を敷くもの、また土のままであることもあります。

・機械式… 
 鉄骨で組み上げられたコンピュータ制御された機械によって、自動車が内部へ移動します。地下にもぐるタイプ、二層・三層と車庫が重なるタイプ、塔状タイプなど、様々なバリエーションがあります。

・自走式…  
 自動車が建物内のスロープを自走して各フロアに収まるよう、設計された駐車場です。地上に大型施設を建てるもの、ビルの地下へと導入するものなどがあります。

上記の機械式と自走式をあわせて、「立体駐車場」とよばれます。

また、駐車場は貸し方によって概ね二種類の形態に分けられます。

・月極め(つきぎめ)駐車場   
・時間貸し駐車場(コインパーキング、または管理員常駐型)


以上のうち、月極めの平置き駐車場は、一般の個人地主さんにとってもっともチャレンジしやすいかたちでしょう。さらに、コインパーキング運営会社との契約により、土地を一括賃貸して「コインパーキング」とする方式も、自動車一台ごとに月極め契約を結ぶものと比較しても、手間のかからない土地活用といえるでしょう。

土地活用の選択肢としての駐車場経営の最大のメリットは、借地借家法による借主の権利にしばられないことです。

なお、借地借家法による借主の借地権については、過去に掲載しました「土地を他人に貸すとき、気をつけたいこと」をご参照いただくと、その概要をご理解いただけると思います。

では、今回はコインパーキングを中心に、運営のポイントや注意点などについて述べていくことにしましょう。
 

コインパーキングが急成長した理由 

コインパーキングは、不特定多数の利用者を顧客とする駐車場の運営形態のひとつです。「月極め」などのように、決まった利用者がいるわけではありません。

「○○分100円」などの単価を設定した時間貸しが基本です。利用者は空いている駐車スペースに車を置き、利用した時間の分だけ料金を支払います。
また、多くが24時間営業です。集金は清算機が行い、管理員などはいない無人運営の場合がほとんどです。

バブル経済終息後、土地価格下落によって売却が難しくなった土地(いわゆる塩漬け物件)の当面の活用方法として歓迎され、急速に増加したのが成長の発端です。

また、事業からの撤退が容易なことから、用途が定まっていない土地での「つなぎ活用」として、さらに、三角地や狭小地といった、収益上有効な建物を建てにくい土地の活用手段として、企業からも個人からも注目されました。

但し今現在は、過当競争のほか、若者の車離れなどが影響し、コインパーキング業界は不況期にあるといわれています。

コインパーキングのかたちと運営に向く場所

平置きのコインパーキングの場合、まず施設全体の配置計画を決め、アスファルトの地盤を整備し、そこに駐車スペースを区切って、発券機や清算機を置いていくかたちが一般的です。料金清算が完了するまで駐車車両を移動できなくさせる装置の違いによって、主に、ロック式(フラップ式とも)とゲート式に分かれます。

ロック式…駐車車両の下の地面からフラップ板がせり上がり、車を移動できなくさせるタイプです。
ロック式・コインパーキング

ロック式・コインパーキング


ゲート式…駐車場出入り口にあるゲートバーによって車の入退場をコントロールするタイプです。
ゲート式・コインパーキング

ゲート式・コインパーキング


コインパーキングは、広い敷地でも狭い敷地でも運営が可能です。利用者の多い場所では、数台もしくはたった1台分の設備でも十分な収益を見込めることがあります。

特に大都市中心部のような、常時次々と利用者が訪れる人気の場所で、慢性的に駐車場が不足しているような立地であれば、1台スペースあたり月15~20万円の利用料が発生することもあります。

これは「時間貸し」であるコインパーキングならではのことで、一定の利用者から定額賃料をもらう「月極め」などではありえない数字です。逆に利用者が少ない場所では、思ったように収益が上がらない場合もあるわけです。

コインパーキングの運営形態と契約形態 

コインパーキングの運営形態・契約形態は、大きく四つに分かれます。

1. 地主さんは土地を定額で貸す。機械設備などはすべて会社が準備し運営
2. 地主さんは土地を運用実績(駐車料金売上げ)に応じたコミッション方式で貸す。機械設備などはすべて会社が準備し運営
3. 地主さんが設備を購入し、駐車場の集金・管理・運営を会社に委託
4. 地主さんが設備を購入し、自ら集金管理し機械メンテナンスだけを委託

但し24時間運営・管理となることが多い業態なので、集金業務や利用者対応まで地主さんが自ら行なう4.のケースは少ないでしょう。

一般的に選ばれているのは1.のかたちです。また、立地条件に自信があり高い収益性が期待できる場合は2.のコミッションスタイルも一考です。

3.、4.は地主さんが設備投資し、運営委託料あるいは機械メンテナンス費用のみを会社に支払ってランニングコストを抑え、大きく収益を望むハイリスク・ハイリターンなかたちです。設備を抱え込むことによるリスクが大きくなりますが、かなりの高売上げがある立地の場合、効果が望めます。

実際の契約では以上のような形態をふまえた上で、地主さんと運営会社との間で個別に様々な運営形態、賃料設定、収益の分配方法などが取り決めされますので、それらの仕組みとメリット・デメリットの説明を十分に受けることが大切です。

通常、コインパーキング運営会社は、地主さんからコインパーキング開設の打診があると、まずは綿密にニーズを調査します。

・周囲の競合駐車場や各集客施設の存在、交通動線を考慮し、駐車場経営に適する立地であるかどうかを検討
・車の配置計画、機械の種類(ロック式orゲート式)を検討
・曜日別、時間帯別の見込み稼働率から月間の収益を想定

そののち、地主さんに対して、契約形態と収益分配のかたちについて提案がなされます。

ここでポイントがあります。

プロの運営会社が行なう調査といえども、結果を読み違えることも少なからずあります。複数の会社に提案を依頼して説明を聞き、どこの会社のものが有利かつ妥当か、比較検討するのがよいでしょう。もちろん、売上げの見込みの立たない立地である場合は、会社側から参画や提案(借上げ賃料の提示)を断られることもあります。

コインパーキング運営会社の営業力も大事なポイント

過当競争などにより、コインパーキングの稼働率は現在低下中といわれています。そこで各社は利用料金の上限設定など、様々なキャンペーン企画を打ち出しています。

中には、近隣スーパーマーケットなど商業施設の存在に目をつけ、「駐車用コイン」をこれらの施設にまとめ買いしてもらうなどの戦略を考えるケースも見られます。スーパーなどはそれを一定額以上買い物した客へのプレゼントにするわけです。ぜひ、集客アイデアの豊富な会社を選んで、運営委託したいものです。

また、駐車場経営では「目立つ」ことが大切です。自動車を運転中の利用者に、「駐車場がここにある」と素早く知ってもらうための判りやすさがとても重要なのです。看板、案内表示、フラッグなど、効果的なアピールテクニックに長けた運営会社を選びたいところです。

コインパーキングの運営にかかわるリスクは?

リスクをじっくり考えてみましょう

リスクをじっくり考えてみましょう

主に二つあります。

1.見込んだ売上げが上がらないリスク
2.そのほかのトラブルなど

1.について、生じやすい大きなリスクは「近隣ライバルの出現」です。また、ライバル駐車場が料金をディスカウントすることも脅威でしょう。駐車場は競合とのサービスの差別化をはかりにくい業態です。そのため、ライバルの登場・攻勢は、ディスカウント競争を招くなどして即、経営への打撃となります。土地借上げ賃料の減額交渉など、契約内容の見直しを運営会社から申し出されることにつながっていくわけです。

また、駐車車両の配置計画も注意したいポイントです。運営会社は最も効率的に土地を使うため、ノウハウを駆使します。大抵は、基本サイズ・一台分約5m×2.5mのコマで土地を埋めていきながら、併せて自動車の出入りや走行のためのスペースを考えていきます。しかし、効率性と車の出し入れのし易さは、方向性が一致しません。

効率性重視は大切ですが、追求するあまり計画を失敗し、利用しにくい駐車場をつくられてしまうと、経営に悪影響が生じます。

各社の考え方の違いにより提案内容も変わってきますので、運営会社を選定する際は複数を比較検討することがここでも大切となってきます。

2.のそのほかのトラブルでは、まず「近隣クレーム」があります。コインパーキングの多くが無人管理であり、24時間営業であるという業態上、深夜のアイドリングや人の声など、騒音に対する近隣からの苦情が発生しやすいのです。周辺の建物の状況を確認した上で配置計画を行なうなどの注意が必要です。

また、土地造成にも意外に気が抜けません。ずさんな造成が地盤沈下の原因となって、駐車自体に支障をきたすケース、雨水枡をしっかりと整備しておかなかったために、雨水が駐車場外に流れ出て近隣から苦情が出た、といったケースも聞かれます。

運営会社との契約の際、「土地にアスファルトを敷くまでは地主さんの負担」と約定する場合がありますが、特にその際は、下手に工事費を節約してあとから大きな補修が必要とならないよう、注意してください。

あなたの駐車場がスクラップ置き場に!?

さらに大きなトラブルとして、「放置自動車」のケースがあります。廃車目的で車を駐車場に放置する悪意の利用者、それを実行する悪質な廃車代行ルートの存在が噂されたりもしています。

廃車目的での放置は確信犯ですので、車の持ち主が特定されないよう、ナンバープレートが取り外されていたり、車台番号が削られていたりすることがよくあります。所有者やそれらしき人物が浮上しても、すでに音信不通となっているケースも多く見られます。そこで、法的手続きにもとづいて車を競売にかけたとしても、そもそも廃車にされるような車両です。換金価値が乏しく、結局泣き寝入りせざるをえない場合が多いようです。

なお、地主さんの中には、怒りのあまり法的な手続きを踏まずに車を処分してしまう人もいますが、これは危険な行為です。放置自動車もあくまで他人の財産ですので、これを勝手に処分したとして罪に問われてしまうリスクもありますので、注意が必要です。

放置自動車とまではいかなくとも、ゴミ、汚物など、日頃の清掃は欠かせません。放っておくと駐車場が汚れ、利用者から嫌われるだけでなく、近隣からの苦情にもつながります。

以上、放置自動車が発生した場合のレッカー代、処分にかかる法的な費用などは誰が負担するのか。駐車場の快適性の維持、それに伴う負担はどうするのか。これらについて、運営会社としっかりと取り決めをしておくことが大切です。

設備の大規模な駐車場経営について

最後に、設備の大規模な駐車場経営について触れておきましょう。

土地活用の方法として比較的気軽な平置き駐車場、あるいは同様のかたちのコインパーキングにくらべ、機械式の立体駐車場、自走式駐車場の場合、通常、参入には大きな投資が必要です。
初期投資に対する綿密な回収計画の策定が求められるという点で、アパート・マンション等、賃貸住宅経営と似ています。経営にかかわる長期的な視点が求められるのです。

さらに、賃貸住宅経営以上にしっかりと考えておかなければならないことがあります。
それは、特に機械式の立体駐車場でいえることなのですが、「複雑で大がかりな機械設備の存在」をリスクとして忘れてはなりません。

老朽化によるメンテナンスコストの増加、交換部品の調達に苦慮する場合(探したところ生産中止されていたなど)が多いので、機械メーカーにおけるアフターサービス体制、部品ストックに対する方針に至るまでの確認が必要です。加えて、「残念ながら事業から撤退」となった場合の解体コストも視野に入れておかなければなりません。

ほかには、「3ナンバー車やバンが入らない規格の機械を設置してしまったため、見込んでいた稼働率が達成できない」など、やはり機械設備が原因となって、経営に大きな支障が生じた例もあります。

小規模な駐車場経営における「遊休土地資産の気軽な活用」といった観点とはまったく別の覚悟をもって臨むべきでしょう。
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