時価1億円?!中国切手の名品・紅印花小字壱円
私が注目した作品は中国切手の専門コレクションです。その中でも異彩を放っていたのは、紅印花小字壱円でしょう。50枚のみ製造され、32枚が現存すると言われている非常に数の少ない切手で、中国の切手の王様とも言われる存在です。中国経済がバブルに沸く中、2013年7月にインターアジア・オークションズに出たときの落札金額は邦貨で8,900万円を記録しました。次にオークションに出れば、1億円の大台を超えるのではとも囁かれますが、そんな極めて珍しい切手を実物で見られるのは国際切手展の醍醐味です。中国系の収集家の方々が切手の前に足を止めて、熱心に見ている姿が印象的でした。
世界に3枚しかない、18世紀インドの銅券
もう1つ、私が会場で食い入るように見てしまったのは、クーパーチケット(銅券)と呼ばれるものです。インド切手の コレクションの冒頭に2枚の銅券が展示されていたのですが、これは18世紀中頃にインドで郵便料金前納を示すのに使ったものであり、1840年にイギリス で切手が発行される以前の歴史を語る上で大変貴重なものです。解説によると、「クーパーチケット(銅券)は世界に3枚しか現存せず、本展示には2枚を収 め、もう1枚は大英博物館の所蔵となっている」とのことです。独創性あふれるテーマチク作品
国際切手展に展示されるのは、非常に高価な切手ばかりではありません。切手や封筒類などを効果的に用いて、ストーリーを語る形式のコレクションをテーマチク作品と呼ばれる部門もあります。ここでは、もちろん展示する切手の稀少性も大切ですが、切手への知識や主題そのものへの知識、展示技術などにウエイトを置いて総合的に評価します。今回の切手展でも、キラリと個性の光る作品が多数出品されていました。次のページでは、展示作品とは別の会場の楽しみについて紹介したいと思います。