私立高校の合格“確約”は必要悪?
ここまで紹介してきた、私立高校の合格“確約”という制度、最初の2つの例は明らかな不正としても、第三の合格“確約”というシステム、その多くは公立高校を受験する生徒の滑り止め校確保の役割を果たしているようです。確かに、受験生や保護者の立場に立ってみると、まずは滑り止め校に合格してほっとしたいところです。第一志望にも落ちて第二志望にも落ちて、行く高校がないという最悪の事態を防ぐためにも、合格“確約”というシステム、あっても損はないかもしれません。
こうした受験生の側の理屈と、滑り止めでもよいから少しでも多く優秀な受験生を獲得したいという私立高校側の利害が一致したものですから、今後も続く可能性はあります。
しかし、受験生が、事前に合格することがわかっているとしたら「どうせ合格するから、もう勉強しなくてもいいや」と思うかもしれません。これでは元も子もありませんね。だから、あえて基準を公表していないのかもしれません。
ウラ事情を知らない人はどう対策を?
ほとんどの高校では公平に合否が判定されているので、ひとまずはご安心を。受験生を持つ親としてできることは、志望校選びを慎重に行うことです。入試難易度が高い割には、大学の合格実績がそれほどでもない高校は、見かけ上の入試難易度が高いだけで、実際に入学した生徒の偏差値がそれほど高くないケースが疑われるので、志望校の候補から外すのがよいでしょう。
理由は、先に紹介したような不正を行うと、一般入試枠で合格する受験生が減るので、見かけ上、入試の難易度を上げる効果があるからです。また、そうでない場合でも、入学後、生徒の力を伸ばし切れていない可能性があるので、積極的に志望校として意識する必要はなさそうです。
いずれにしても、入試の難易度だけでなく大学の合格実績なども参考にするなど、志望校選びは総合的に判断しましょう。
ほかには、中学校での懇談会で、ずばり合格の可能性を聞いてみることです。今は中学校では、偏差値に基づいた進路指導を行っていませんので、はっきりとした答えを学校の先生は教えてくれませんが、それとなく可能性を示唆してくれるはずです。
また、各中学校には、過去の卒業生の入試の追跡調査の結果があるので、中学校でどれくらいの成績ならばどれくらいの高校が合格可能かといったデータの蓄積があります。こちらのデータは直接教えてはもらえませんが、上手に聞き出せば、それとなく示唆してくれるはずです。
あるいは、高校の個別の説明会に参加し、合格者の最低点を聞くのも手です。公平で明確な基準で合否を判定している高校ならば、この質問にはっきりと答えてくれることでしょう。
一生に一度の高校受験ですから、我が子に悔いのないようにしたいものですね。