ハウスメーカー・工務店/ハウスメーカー・工務店の特徴

同居スタイルはどう変わった?! 二世帯住宅今昔物語(2ページ目)

二世帯住宅というのは、40年前に「嫁姑問題」を解決する生活提案として生まれました。しかし、その後、私たちの生活スタイルや社会環境が大きく変わり、そのあり方も変貌しつつあります。この記事では二つの事例を通して、二世帯住宅の今について考えていきます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

二つはいずれも旭化成ホームズの事例で、実際のお客さんの建物。以下がその概要です。

プランニングは様々 二世帯住宅の現在形とは!?

【A邸 東京都豊島区 築後5年目】
・2階建て、延べ床面積211.75平方メートル
・親世帯(70代、60代)+子世帯(40代、子供1人)
・1階子世帯、2階親世帯
・独立二世帯(玄関・水回り別、内部行き来あり)

【B・C邸 東京都杉並区 築後1年目】
・3階建て、延べ床面積527.64平方メートル
・親世帯(60代夫婦+子供)+子世帯(30代子供2人)
・3階に親世帯・子世帯
・独立二世帯(玄関・水回り別、内部行き来あり)
・1階・2階に賃貸住宅5戸

杉並の二世帯住宅

B・C邸の外観。単なる二世帯住宅としてだけでなく賃貸住宅を併用するという、さらに高度な設計提案が施されている(クリックすると拡大します)

A邸は住宅街の中に建つ建物。元々、子世帯は現地の近くで近居されていたとのことですが、ご主人が婿入りされるかたちで二世帯居住されています。面白いのがこの建物は2階建てが二つ並んでいるような感じであり、この場合は本来、2棟で別々に暮らすのが一般的です。

また、通常は1階に親世帯、2階に子世帯を配置するのが普通。そうすると親世帯は階段で上り下りせずにすみ身体的に楽だからです。しかし、この建物はそうではありません。

というのも、ご両親の「2階でマンションのように暮らしたかった」という要望を反映させたからだといいます。ご両親がお元気で活動的でいらっしゃるためで、非常に割り切ったプランニングだと思われました。

B・C邸は、交通量の多い青梅街道に面した場所にあり、その立地の良さを生かした賃貸併用の二世帯住宅です。3階ワンフロアに二世帯全員が生活しており、開放感のある「そらの間」というベランダなどを通じて交流する間取りとなっていました。

プランニングの特徴は玄関の配置。親世帯は1階(ホームエレベータで移動)に、子世帯は2階に設けられています。プラスして2.5世帯でもあるわけですから、非常に高度な提案で、内部は迷路のような感じでした。

「緩やかなつながり」がイマドキの二世帯住宅のカギ

A邸とB・C邸に共通するのは、両世帯の生活時間が異なり、そのために玄関や水回りなどを別々にした独立二世帯であるということ。また、子世帯の奥さんのご両親と同居するため嫁姑問題が起こりえないこと。そして、それでいてお婿さんもストレスを受けない環境が実現されているということです。

リビング

B・C邸の子世帯側のリビング。敷地条件を勘案し、3階に広めのベランダを設けている。そしてここは親世帯・子世帯の交流の場となる。奥にベランダがあり、親世帯側の窓とプールがあるのに注目(クリックすると拡大します)

注目したい共通点として、独立に世帯でありながら内部での行き来ができるようになっていることです。A邸は子世帯夫婦が共働きであるため、例えば18歳の娘さんの食事を親世帯で面倒を見ることがあるそうです。

一方、B・C邸では子世帯の奥さんが専業主婦であるため、普段の食事などを親世帯に依存することはないそうですが、ただ「何かあった時、すぐに子供を預けられるのは安心」(子世帯の奥さん)とのことでした。

親世帯のご主人が料理好きとのことで、時には親世帯・子世帯全員に料理を振る舞うという機会もあるとのこと。要するに二つの事例とも、親世帯・子世帯の間に適度な距離があるのが特徴で、これが二世帯住宅誕生当初との大きな違いなのです。

A邸の子世帯の奥さんは、「親世帯と顔を合わせない日もあります。多く作りすぎたおかずを時々届けたりする、いわば長屋の隣の家といった感覚ですね」とお話されていました。

ですので子世帯のご主人も、いわゆる世の中でいわれているマスオさん的なちょっとネガティブな感じではなく、ストレスを感じず暮らしていらっしゃるということでした。

このように親世帯と子世帯が緩やかなつながりの中で生活できるようにするのが、現在の二世帯住宅の一つの大きな潮流なのです。もっともこれは、二つの世帯が比較的仲が良いから実現することといえるかもしれません。

二世帯住宅というのは、そこに住む家族それぞれであるべき姿が異なります。ですので、もし新たに建てようと思われるのなら、それぞれのライフスタイルをしっかりと検討して、それを反映することが大切です。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます