うつ病には誤解されやすい面もあります。それは……

うつ病の症状は分かりやすそうで、実は誤解されやすい面も少なくありません。うつ病になる人=弱い人、などと思われていませんか?これも大きな誤解のひとつです

みなさんはうつ病にどのようなイメージをお持ちですか?


うつ病は気持ちが落ち込む「鬱」が名になったこともあり、症状は容易にイメージできそうですが、実は誤解されやすい面も少なくありません。

今回は「うつ病」のいったいどういった面が誤解されやすいのか、また、誤解をふせぐための基礎知識も詳しく解説します。


うつ病の「鬱」は自分次第でなんとかなる?

まずうつ病の症状で誤解されやすい点として、うつ病の「鬱」は自分でコントロールできる部分もかなりあるのでは……と思われてしまうことが挙げられます。

うつ病の基本的な精神症状は気持ちの落ち込みですが、これは誰でもしばしば経験することです。そんなときには元気を出す手段も何かあるもので、実際にはそれで元気が出る方も多いでしょう。しかし、うつ病での気持ちの落ち込みには、それは効きません。うつ病のうつには薬物療法など精神科的治療が必要です。

うつ病は元気を出そうにも出せない、頑張ろうにもどうしても頑張れない状態です。うつ病で気持ちが落ち込む相手に、「元気を出して」「頑張って」と言って励ましても、その言葉通り相手を励ますことにはならないのです。こうした言葉はかえって相手を精神的に追い詰めてしまう可能性もあることは、十分注意しておきたいことです。


うつ病は「気合いのなさ」や「生活態度」が原因?

うつ病になるとその症状として、何もしたくなくなったり、以前好きだったご飯を食べてもおいしく感じられないことがあります。人によってはそれを見て「気合いが足りない」「生活態度に問題がある」と、誤解することもありますが、これも本人を傷つける原因となってしまいます。

うつ病の原因はけっして気合いや生活態度の問題ではありません。脳の機能に神経生理学的な問題が起きたことが主要な原因です。うつ病のうつはそのために自力でコントロールしにくいレベルになってしまうのです。


「抗うつ薬」を飲むとすぐ元気になる?

うつ病の薬物療法の柱は「抗うつ薬」です。場合によっては、この抗うつ薬に“元気が出る薬”といった、落ち込んだ気持ちに効くカンフル剤的なイメージがあるかもしれません。しかし、その実態は脳内神経伝達物質などの機能に作用し脳内の機能を正常化していくことで、治療効果を得ています。抗うつ薬は飲んだ直後に効果が出るような薬ではなく、その治療効果があらわれるまで、ある程度の期間服用を続けることが必要になります。


「死にたい」という言葉は周囲の気を引くためとは考えないで!

うつ病になると思考内容も普段とは異なりやすく、特有の思考パターンになり、死にたい気持ちなども生じやすくなります。もし、うつ病の人が「死にたい」と口にした場合、それはけっして軽く受け止めてはいけない言葉です。個人個人の病状によりますが、その最も深刻なリスクとして、自殺があることはしっかり頭に置いておきたいことです。

もし身近な人が「死にたい」と口にした場合、うつ病の可能性も十分留意して、できるだけ早く精神科(神経科)を受診することを、どうかご考慮してみてください。


うつ病になりやすい人=弱い人?

人によってはうつ病に対してネガティブなイメージが強くなってしまい、「うつ病になるのは弱い人」と考えているかもしれませんが、それも大きな誤解です。

うつ病の原因は脳の神経生理学的な機能が病的になったことにあります。うつ病になりやすいか否かは、けっして主観的な「強い人」「弱い人」といったことではありません。少し難しくなりますが、「神経細胞のシナプス接合部における、脳内神経伝達物質の受容体構造」といった言葉で表されるような、“体のしくみ“が決めている……と認識しておきたいものです。

うつ病は心の病気の中では頻度が最も高いもののひとつです。何らかの要因で脳内の機能が病的になれば、誰もが発症する可能性があることは十分認識しておきたいことです。

実際に、うつ病になったときは必要な治療をいかに早く開始したかが、その予後を大きく左右します。「精神科を受診したら、弱い自分を認めることになる」といった思考になっていたら、精神科受診はかなり遅れてしまう可能性があります。


繰り返しますが、うつ病は誰もがかかり得る病気だということ、そして今回詳しく解説しました、うつ病への誤解がもしあれば、どうかひとつひとつなくすように意識してみてください。




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