年金

年金は保険~障害年金・遺族年金について知ろう(3ページ目)

公的年金は社会保険の1つで、老齢年金以外に障害年金や遺族年金があります。障害年金や遺族年金は高齢者世代だけでなく、現役世代も受給する可能性があります。障害年金や遺族年金を受給するにはどんな要件を満たす必要があるのか、年金額はどのくらいなのか、そのしくみをみていきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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遺族基礎年金について

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遺族基礎年金は万一に備える年金。受給範囲も広がりました。

2014年3月まで、遺族基礎年金は、死亡した人によって生計を維持していた「子のある妻」又は「子(子は18歳の年度末に到達しないかまたは障害等級1級または2級に該当する20歳未満であること)」しか受給できない年金でしたが、2014年4月以降は、「子のある夫」も受給できるように改正されました。つまり、改正後は、死亡した人によって生計を維持していた「子のある配偶者又は子」が遺族基礎年金の受給者となります。なお、生計維持の要件としては、配偶者及び子の収入が年収850万円未満であることとされています。

遺族基礎年金の支給額は、障害基礎年金と同様、子の加算があり、配偶者が受給者になる場合と子が受給者になる場合でそれぞれ子の人数により以下のようになります。
遺族基礎年金支給額

(金額はいずれも2015年度額)

以上のように遺族基礎年金の子の要件については、子の年齢が18歳の年度末に到達しないかまたは障害等級1級または2級に該当する20歳未満であること必要なのです。つまり、子が成長し、年齢要件を満たせなくなると子の加算が減額され、すべての子が年齢要件を満たせなくなると配偶者の遺族基礎年金は失権します。また、配偶者が再婚したり、年齢要件を満たせる子が結婚したり直系尊属(祖父母など)以外の養子になった場合も、遺族基礎年金は失権します。

事例を使って、遺族基礎年金の支給額をみてみましょう。

【例】
スズキエミさん(1978年7月生まれ、37歳)は夫婦でフラワーショップを経営していましたが、2015年8月、夫に先立たれました。エミさんには、長女アオイさん(10歳)と長男ショウくん(8歳)の2人の子どもがいて、2人とも障害の状態ではありません。死亡した夫に保険料の未納はなく、エミさんと2人の子どもは夫に生計を維持されていました。
夫の死亡によりエミさんが受給できる遺族基礎年金は子が2人いるので、122万9,100円(2015年度額)です。年下の長男のショウくんが18歳年度末に到達すると、エミさんの遺族基礎年金は失権します。失権するまでに妻のエミさん受給できる遺族基礎年金は以下のようになります。
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(金額はいずれも2015年度額)

遺族基礎年金は、障害基礎年金と同様、収入との調整がないので、夫の死後、フラワーショップの経営を続けても遺族基礎年金が調整されることはありません。また、遺族基礎年金も全額が非課税です。
 

免除手続きで救われることも

障害基礎年金や遺族基礎年金は、高齢者だけでなく現役世代も受給する可能性がある年金です。公的年金は社会保険、つまり「保険」なので、病気やけがあるいは死亡といった年金が支給される原因である保険事故が起こった後で、保険料を納付しても保険料納付要件を満たすことができない場合があります。保険料の未納は、「無年金」という事態を招きかねません。

特に、障害基礎年金は受給者の年齢が低く、60歳未満の受給者が60%以上を占めています。
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(厚生労働省「2009年年金制度基礎調査」より)

保険料を負担することが経済的に厳しい場合は、申請することで保険料の納付が免除されます。また、学生であれば本人に収入がない場合、学生納付特例を利用することができます。免除制度や学生納付特例の手続きを行えば、保険料を負担していなくても「未納」とはならないため、そのほかの要件を満たせば、障害基礎年金を受給することができます。万一というときに無年金になってしまうリスクを回避するためにも、忘れずに手続きを行いましょう。

なお、障害基礎年金の受給者は法定免除に該当し、国民年金の保険料が全額免除されます。2014年3月までは障害基礎年金の受給者になった後、保険料の納付を希望する場合は追納による納付以外は選択できませんでしたが、2014年4月以降は申請することで通常の保険料を納付することができるようになりました。障害基礎年金は障害の程度が軽くなると支給停止や失権することがあります。65歳以降、老齢基礎年金を受給することになった場合、免除を受けた期間は10年以内に追納しないと年金額への反映が一定割合(2009年3月までは3分の1、2009年4月以降は2分の1が年金額に反映)にとどまり、障害基礎年金に比べると老齢基礎年金の受給額が低額になる可能性があるからです。

また、国民年金の保険料納付を選択すると、国民年金基金にも加入できるようになるので、老後の年金をより充実させることができます。老齢基礎年金や国民年金基金の終身年金は、死亡以外の理由で失権することはありません。また、国民年金基金に加入するとき、保障期間のついたタイプを選択すると、死亡後、加入期間に応じた遺族一時金が遺族に支給されます。国民年金の保険料納付が可能な場合は、選択肢とするとよいでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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