お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが小さくて妻が働けない・妻の収入が下がった夫婦

31歳貯蓄400万円。50歳で資産1億にしたいが悩みが…(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者はマンションを購入し、お子さんも生まれた30代の男性会社員。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 妻の働き方は夫婦でじっくり話し合いを

まず、奥様の今後の働き方ですが、マネープランの側から言えば、年収にして200万円ほどアップするのですから、なるべく早く職場復帰した方が良い、ということになります。

「子どもと十分触れ合ってもほしい」とのことですか、専業主婦であれば、確かに時間的には長く接することができるでしょうが、触れ合う時間の濃さはまた別のはず。制約があればこそ、いっしょに過ごせる時間をより大切に思うということもあるはずです。

とは言え、これは家族の問題。どういう形で子育てをしたいかは、それぞれに環境や価値観が異なります。結局は、夫婦が納得する形が、もっとも望ましいと思います。奥様とよく話し合い、できれば奥様の意見を尊重するという方向がいいのではないでしょうか。
 

アドバイス2 家計支出は優先順位をつけてみる

今後の教育費についてですが、お子さんが2人となった場合を想定します。事前準備する教育費は、高校まで公立であれば、大学費用ということになります。私大に進学する可能性は低いとのことですので、国公立大進学で考えますと、大学にかかる費用は4年間で250万円ほど。2人で計500万円。

児童手当を全額貯蓄に回すだけで、1人約200万円貯めることができますから、大学費用はあとプラス50万円ずつ。そう考えれば、教育資金についてはほぼ問題ないと言えるでしょう。

ただし、進路が希望どおりになるとは限りません。中学、高校から私立に通う、あるいは地方の国公立大学に進学する(仕送り費用が発生。平均は月額7万円ほど)など、想定外の支出アップも考えられます。それに備えることも考えれば、家計の見直しは必要とも言えます。

ポイントは優先順位をつけておくということ。たとえば、相談内容にあります「新幹線通勤」と「週末のテニス」と「ビール」ですが、迷われているなら、どれかひとつ削りましょう。今の家計では何を削るべきか、自分にとって何がもっとも大事なのか。優先順位を基準とすることが、もっとも合理的なはずです。

家計は現在、年間の貯蓄額が320万円。数字だけで考えれば、早急に支出を削る必要性はありません。ただし、貯蓄できる余裕があるうちに、できるだけ貯蓄しておく。余裕があるからこそ、無駄を省く。その意識が、将来のさまざまな家計のリスクを最小限に食い止める有効な手段なのです。ましてや、「50歳までに資産1億円」を目指すのであれば、その意識は不可欠だと思います。
 

アドバイス3 投資への配分は抑え、現金で貯める

できるだけ貯蓄に励むという話の続きで言えば、貯蓄に対して投資に回している資金配分がやや気になります。しかも、今後10年、年間150万~250万円のペースで投資額を増やしていくとのこと。そのことには、強いリスクを感じます。
お仕事柄、投資は専門分野で、十分実績を積まれているかと思います。しかし、年間20%増というパフォーマンスを1年間ならともかく、5年、10年と継続することは、相当にハードルが高いと言わざるを得ません。お子さんも生まれたのですから、危機意識を高め、当面は現金を増やす方向にシフトすることをおすすめします。

ですから、「繰上返済をするか、その資金を投資に回すか」についても繰上返済を選択すべき、ということになります。住宅ローンの金利以上に投資で増やせば投資が有利という理屈になりますが、繰上返済は、支払利息が浮き、完済も早めることで将来の固定支出を減らすことが、その時点で確約されます。不確定な投資と比較して、その差は大きいのです。

転職については、どちらを選ぶべきかは私からはアドバイスできません。しかし、ご存知のとおり、外資系企業は待遇面で往々にしてドラスティックです。大幅な収入のアップもあればダウンもあります。つまりは、仕事でリスクを取っているということ。したがって、転職する、しないにかかわらず、資産形成ではリスクを抑える方が、家計防衛という点では賢明と考えます。
 

「ひーくん」さんから寄せられた感想

このたびはアドバイスをありがとうございます。なかなか、家計を見直すということがないなか、大変参考になりました。その後声を掛けてもらっている職場からは、報酬額3倍程度を示され、かなり悩んでいる状況です(当然、今よりは成果ドリブンな働き方が求められるようです…ただ、今のところも仕事量はかなりありますが)こうした状況下、今の職場もそれなりにアップサイドが見込めており、自分自身が家族と過ごす時間を大切にするかという選択になってきています。

妻には復職してもらって、自分は今の会社に残るというのが最も子どもと向き合える時間と質が確保できるように思えてきています。

投資に関しては、それなりの年数でトラックレコードを積んではいますが、職業のリスクと投資のリスクをセットにして考える発想は殆どありませんでしたので、先生のお言葉は特に参考になりました。自分達にとってリスク・リターン(満足度)が最善となる仕事・時間・お金といった家族ポートフォリオを考えて行きたいと思います。そうした話を家族ですることも、一つの楽しみですね。

家計削減については、「塵も積もれば山となる」を感じています。通勤は譲れないと思いますが、ビール代は半分くらい減らしました。テニス代については、しばらく減らせそうにないですが、試合ばかりではなく、ネットで安いオフ会や公営のテニス会などもありますので、練習も兼ねてそちらの利用も増やしていこうかと思います。

教えてくれたのは……

深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ





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