今年の7月は『バケモノの子』公開記念で細田守監督の『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『時をかける少女』の三作に『ターミネーター3』『永遠の0』。8月は『アイアンマン3』にジブリ・高畑勲監督作品で『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』と続き、いずれも人気作ばかりです。
若手抜擢
この攻勢の直撃を受けるのがTBS系の金曜ドラマ。裏番組には苦戦を強いられます。2010年夏の『うぬぼれ刑事』から2015年春の『アルジャーノンに花束を』まで5年間の金曜ドラマ視聴率を季節別に集計して平均すると- 春:9.7%
- 夏:8.7%
- 秋:9.5%
- 冬:9.4%
内容に関係なく視聴率が低いと、主演俳優もキャリアに傷がつきかねないので出演したがらなくなります。
それに対して現在放送中の『表参道高校合唱部!』が打ってきた手がオーディションによる若手抜擢。選ばれた芳根京子は朝ドラを思わせる前向きな明るさと同時に感情表現も細やかで、魅力的なヒロイン像をつくっています。視聴率は低いのですが、内容的には合格。なにより芳根京子を発掘してくれただけで十分に価値があるでしょう。
オーディションといえば
ドラマでオーディションといえば連続テレビ小説、朝ドラ。パターンを確立した『おはなはん』(1966)以降、ヒロインはオーディションで選ばれるのが基本。『おしん』でも乙羽信子、田中裕子は違いますが、少女編の小林綾子はオーディション。これが変わってきた先駆けは2006年度。上期下期同時発表した『純情きらり』の宮崎あおいと、『芋たこなんきん』の藤山直美はどちらもオーディションで選ばず。
本格的に変わったのはNHK総合での本放送時間が8時ちょうどに変わった2010年の『ゲゲゲの女房』から。それまで長期低落傾向が続いていた朝ドラを盛り上げるために新人ではなく実績のある女優が使われるようになりました。
下表に2010年以降をまとめました。黄地になっているのがオーディションで選ばれなかったヒロインです。上期の東京制作の場合はオーディションしない方が多くなり、下期の大阪制作の場合はまだオーディションが基本です。大阪制作の場合は、長期間大阪で拘束することになるので新人の方がやりやすいということでしょうか。
今年度の土屋太鳳と波瑠はどちらもオーディションですが、ともに2012年にNHKドラマ主演経験済み(『今夜は心だけ抱いて』と『おそろし~三島屋変調百物語』)。オーディションのレベルも上がっています。
最近の朝ドラヒロイン