乗り心地はフラット&ハード。俊敏さはSLS以上
デュアルクラッチ式のAMGスピードシフトDCTを搭載。走行モードを切り替えるAMGダイナミックセレクトはComfort/Sport/Sport +に加え、個別のセッティングが可能なIndividualを用意、さらにSにはサーキット走行用のRACEも備わる
“轟”の修飾もドンピシャなサウンド演出とともに、V8エンジンが派手に目覚めた。バキバキバキと周囲からの注目を引かずにはいられないサウンドエフェクトである。もうそろそろ、この手の音の演出には飽きてきたと個人的には思うものの、スーパーカーといえば音が一番大事というユーザーはまだまだ多い。
GTと名乗るからには、SLSとはまるで違う方向性のライドフィールかと思いきや、根本的にはそれほど違っていなかった。つまり、基本的にはフラット&ハードな乗り心地に徹する。ことによると、ポルシェ911の高性能グレードよりも硬め。ボクは嫌いじゃないけれど、いささか古くさい印象は拭えない。
変わった点は、アジャイルさ。長いノーズの動きはSLSよりもずっと敏感で、しかも実際の動きも、かなりキレている。大きなエンジンの存在を感じつつ、シャープなのに結果的に大回りしている印象のあったSLSに比べて、手の内に収まる範囲でノーズが向きを変える感じで、スポーツドライブでの楽しさは倍増だ。
特に、ワインディングロードでの楽しさは格別。面白いぐらいに内を向く。ちょっと内向きの味付けが濃いような気もするし、ミッドシップカーのコマを回すように理にかなったニンブルさとはまた別モノではあるが、これはこれで面白い。きっと、サーキットでも楽しいことだろう!
メルセデスAMGのフラッグシップスポーツは、スーパーカー領域ではないものの、最もコンペティティブなスポーツカーシーンにおいて、トップクラスの存在感をもつ。果敢にも、911が圧倒的に強い高級スポーツカー領域に挑戦したということ自体、AMGの本気を見ることができたというわけだ。