名匠、上田治設計の9ホール
この閉鎖問題が持ち上がってから、ガイドも何度か茅ヶ崎ゴルフ倶楽部をプレーしました。9ホールを2回プレーするというスタイルでもあり、それほど期待をしていなかったのですが、初めてプレーした時にコースの素晴らしさに感銘をうけました。昭和32年に開場。名匠、上田治の設計によるものです。
湘南のフラットな地形にありながら、巧みに高低差があり戦略性を高めています。ティーショットは打ち上げ、セカンドは打ち下ろしとなる3番ホールや打ち上げの距離感が問われる1番、6番ホールがその典型。
天気の良い日には、5番、7番、9番ホールで美しい富士山に向かってのショットが堪能できます。夕暮れには、赤く染まった空に富士山の影が雄大にそびえます。海からの潮風がプレーを難しいものにしますが、松林にそよぐ風は心地よいものです。
林にセパレートされたホール間は、ところどころが砂地になっており、ティーショットを曲げると大きなペナルティになります。そして、茅ヶ崎ゴルフクラブの特徴はなんといっても深いバンカー。非常にアゴが高く深いバンカーは、多くのゴルファーが脱出に失敗し大きなトラブルになります。
湘南に整然と構える美しいロケーション。短いながら、コースの奥深い戦略性。これほどの佇まいをもつゴルフコースはなかなかないでしょう。閉鎖してしまうと、復活はほぼ不可能だろうと思います。この貴重な場所をなくしてよいものでしょうか。
2015年4月以降の展開
いったんは閉鎖が決まった、茅ヶ崎ゴルフクラブですが、「存続を図る会」の活動もあって、2015年4月以降もむこう2年間のゴルフ場としての存続が決まりました。運営会社の観光日本(株)は撤退し、スポンサー候補として名乗りを上げた(株)武蔵野が運営を行なっています。とはいえ、将来的にゴルフ場が存続するのかは未知数。今年1月には、地主でもある神奈川県が中心となり、「茅ケ崎ゴルフ場の利活用に関する事業アイデア」を募集。アイディア公募は22社あり、秋にはそれらをもとに事業者募集を開始するといいます。この公募では懸案となる地代は減額をしないことが前提となり、そうなるとゴルフ場としての運営は難しいと言わざるを得ません。
他にも9ホールだけに、集客数に大きな制限があることや、既存会員さんの権利をどう守るかなど、ゴルフ場存続には少なくない問題があります。
多くの市民が望む、緑のゴルフ場の存続。ガイドとしては自治体が中心になって公共の資産としてのゴルフ場を守って欲しいと思いますが。今後の動向が注目されるところです。