だけど小難しい批評はちょっと苦手……という方々へ向けて、映画評論家が本業ではないけれど、映画を評している、親しみやすいタレント・著名人を紹介してみます。
ライムスター宇多丸
ヒッピホップグループ“RHYMESTER(ライムスター)”のメンバーとして知られる宇多丸さんは、アーティスト活動のほかに毎週土曜日放送のラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』でパーソナリティを務めており、そのコーナーのひとつ「週刊映画時評 ムービーウォッチメン」(旧・シネマハスラー)において、鋭い切れ味のある評論をしています。その特徴は、「お題(新作映画タイトル)」が投入されたガチャガチャ(ムービーガチャ)を回して、出てきたガチャ(作品)について、リスナーの意見も読み上げながら否定的な点から肯定的な点まで幅広く論ずるということ。
そこには一切の「お世辞」なんてありません。ヒドい映画のときはメタメタに悪く言ったりもします(そこが爽快です)。映画製作者の裏話が披露されるのも楽しいですし、「なぜつまらないのか」「なぜおもしろいのか」を宇多丸さんの軽妙な語り口により理解できるようになっています。
個人的にオススメしたいのは『サンブンノイチ』の批評。この映画では品川ヒロシ監督のとある「主張」が込められているのですが、宇多丸さんはその主張に対して「論理的矛盾がある」と鋭い指摘をしていました。 ぜひ、映画を観てモヤモヤすることがあったら、宇多丸さんの批評を聴いてみてください。腑に落ちることがあるかもしれませんよ。
【関連リンク】『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』公式サイト
江頭2:50
お笑い芸人の江頭2:50さんは、こう見えて(失礼)年間100本以上の映画を観る映画通。インターネットテレビとして放送されているトーク番組『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』内の「エィガ一刀両断」で熱く映画を語っており、『映画エィガ批評宣言』という本も出しています。その語り口は、スポンサーや製作者の意向なんか完全に無視して、「いい」「悪い」がハッキリしています。しかも下ネタやネタバレだっておかまいなし。ときには前後の流れすら考えずに言いたいことだけを言っているだけのこともあります(笑)。
だけどその刹那的で、いつでもフルスロットルで、(社会的な意味で)命がけで、まさに一刀両断な評論がたまらなく痛快なのです。
個人的な「エィガ一刀両断」のオススメは、ピクサー映画の『WALL-E』批評。これは作中の素敵なラブストーリーを(いい意味で)ぶち壊しにしています。こんなことが言えるのは、世界でエガちゃんただひとりでしょう。
【関連リンク】『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』公式サイト
伊集院光
タレントの伊集院光さんは、毎週金曜日放送のラジオ「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!」でパーソナリティを務めています。番組は伊集院さん自身が映画を評論するというよりも、ゲストが「これを観よう」と思う映画を紹介して、その翌週に「あの映画を観たよ」と語り合うという、対話形式の番組となっています。
ゲストがお題となる映画を持ち寄って、伊集院さんがどんな映画かを質問するというスタイルであるため、リスナーは伊集院さんの同じ気持ちになってラジオを聴くことができるというのも魅力的です。
個人的なオススメは、マツコ・デラックスが賛否両論映画で知られる『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を紹介したときの回。この映画の主人公はどういう人物なのか、抱えているものは何なのか、どうしてそのような行動を取るのか―それをじっくりと語り合ってくれていました。
【関連リンク】『伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!』公式サイト
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