テクノポップ/テクノポップ関連情報

ロシア・アヴァンギャルドとテクノポップ

過去、ロシア構成主義展をやりましたが、新たに共産テクノとロシア・アヴァンギャルドの関係を調べていきます。先ずは、そのプロローグとして、ロシア・アヴァンギャルドをもっと知るための書籍を紹介します。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ロシア構成主義とテクノポップ

以前、ロシア構成主義(ロシア・アヴァンギャルドとして後期の様式)に影響を受けたと思われるジャケを集めて「ロシア構成主義展」をやりました。日本および欧米中心の選択でしたが、ロシア・アヴァンギャルド的、特に構成主義的な作品は、やはりテクノポップ系が多いことが読み取れました。これは偶然ではなく、ロシア構成主義とテクノポップというのは、時代は違うものの、近未来的、記号的、幾何学的、ミニマリズム等の世界観を共有しているからだと考えます。

皮肉にもソ連でのスターリン時代になってこのユートピアの夢は砕かれてしまうわけですが、アヴァンギャルドというのは、20世紀初頭において既成の芸術を突破しようとし、ロシアで花開いたムーヴメントです。これは、ニューウェイヴが既成のロックを突破しようとしたことにも通じます。

日本のロシア構成主義展
外国のロシア構成主義展
第3回ロシア構成主義展

ロシア・アヴァンギャルドのデザイン

最近、1冊のロシア・アヴァンギャルド好きには絶対お勧めの本が出版されました。ロシア・アヴァンギャルドに関する本はいくつかありますが、『ロシア・アヴァンギャルドのデザイン』は、表紙からもその躍動感が伝わります。著者の海野宏さんは、早稲田大学のロシア文学科を卒業され、『太陽』の編集長を務められたアート、デザインを初めとした幅広い文化評論をされている方です。

僕はロシア・アヴァンギャルド系の展示があると足を運ぶようにはしているのですが、この本を読んで、展示会で見たことが新鮮に思い起こせました。320ページという分厚い本では、アレクサンドル・ロトチェンコ、エル・リシツキー、ステンベルク兄弟を含めて幅広いロシア・アヴァンギャルド系アーティストの作品が、ジャンル毎に整理され、丁寧な説明が様式(構成主義、立体未来派など)も含めてされています。ロシア・アヴァンギャルドと言っても、時代の流れで変遷し、派閥のようなものがあったことがわかります。改めて見ると、「あっ、これがあのジャケのオリジナルなんだ」とかの発見もあります。

ロシア・アヴァンギャルドのデザイン 未来を夢見るアート (amazon.co.jp)
avant-gardegraphics

ロシア・アヴァンギャルドのデザイン


海野宏 (公式サイト)
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