子供の病気

乳幼児揺さぶられ症候群の原因・症状・予防(2ページ目)

乳幼児揺さぶられ症候群は、その名の通り乳児や幼児が激しく揺さぶられることで脳に損傷が起こり、さまざまな症状が出る病気です。強い力であやしてしまった場合や、虐待の時に疑われます。子どもの将来を大きく左右しますが、予防ができる病気ですので、しっかりと解説したいと思います。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

乳幼児揺さぶられ症候群の診断

まずは、揺さぶられたかどうかが大事になります。初期であったり、症状が軽い場合には、カンの強い子、食欲が細い子、胃腸炎などと似ていることがあります。まずは頭部CT検査で、脳の内外で出血がないかどうか、脳の損傷がないかどうかを検査します。さらに眼底検査で、網膜に出血がないかどうか検査します。また、乳幼児揺さぶられ症候群では、虐待の可能性も示唆されますので、外見の診察は大切になります。

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乳幼児揺さぶられ症候群の治療

脳の周りでの出血(硬膜下血腫、クモ膜下血腫など)があれば、早期に出血を除く必要があります。また、脳が腫れてしまう脳浮腫に対する治療、けいれんがあれば、抗けいれん薬でけいれんを抑えます。

しかし、治療に難渋することもあり、基本的には乳幼児揺さぶられ症候群は予防が大切です。
 

乳幼児揺さぶられ症候群の予防

抱っこ

泣いている子どもを抱っこしてあげたいものです

まずは、乳幼児を激しく揺さぶらないことです。そのためには、乳幼児を揺さぶることで、こういった症状が起こることを知っておくことです。

揺さぶりは乳幼児が泣いた時に行うことが多いので、泣きやまない時に
 
  • お腹が空いているかもしれませんので、げっぷをさせて授乳する
  • なかなか寝てくれない場合は、だっこしたり、おんぶしたり、ゆっくりとしたリズムで揺らす
  • 寒い、暑いと感じているかもしれませんので、気温と湿度をチェックする
  • おむつを替えて欲しいかもしれませんので、おむつを替える
  • どこか痛がっているかもしれませんので、まずはあやす

などです。

これらでも泣きやまない時には、現在の環境を変えることを考えてみましょう。
 
  • お気入りのタオルや毛布、おもちゃがあれば、渡す
  • 歌を歌ったり、音楽を流してみましょう
  • 抱っこしたり、おんぶしたりしましょう
  • 昼間ならベビーカーに乗せて、外を散歩してみましょう
  • ベビーカーシートを装着して、車に乗せてドライブしてみましょう

こうした環境の変化によって泣くのを忘れてしまうこともありますし、疲れて泣き止むこともあります。

では、「高い、高い」と膝の上でピョンピョンさせてあやすのはどうでしょうか?
この行為では、乳幼児揺さぶられ症候群は起こりにくいです。

乳幼児を揺さぶったり、投げつけたり、叩いたりしても何も解決しません。育児は大変ですから、まずは落ち着くことです。
 
  • まずは深呼吸しましょう
  • 少し子どもから離れてみる。ただし、数分後ごとに様子は見ておきましょう
  • 知り合い、友人、家族に相談してみましょう
  • 小児科医に相談してみましょう

などを考えてみてください。

まずは、一人で抱え込まないで、周囲に相談することが重要です。

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