アクサンチュス(合唱) マントヴァーニ:声楽作品集
人気合唱グループ、アクサンチュス。2005年、アクサンチュスは「ピリンスキー・ヤーノシュの5つの詩」をマントヴァーニに委嘱、世界初演を手がけました。その後も両者の交流は続き、ここに収録されているほかの3つの作品も生み出されることになりました。このディスクは両者のコラボレーションの集大成ともいえる存在です。マントヴァーニの作風の多様性と、アクサンチュスのテクニックの幅広さをあらためて実感する内容に仕上がっています。
■ガイド大塚の感想
チェロとアコーディオンが入る終曲以外は合唱のみで、宗教的な現代作品を透明な声と卓越した技術で聴かせる。無調的な部分と、明瞭なリズム・音程があり、特に無調的な部分での深い森に入るような声の生み出す世界観に吸い寄せられる。
キュルティ(ヴァイオリン) 『愛しのイヴォンヌ・キュルティ』
SP最盛期のパリを彩ったキュルティ、80有余年を経て待望のフル・アルバム!1930年代にフランスを中心に活躍したということをのぞき、いつどこに生まれ、どこで学び、どのような経緯で活動したかなど詳細はヴェールに包まれています。SP盤はコレクターズ・アイテムとして垂涎の的です。魅惑的なヴィヴラートや絶妙のポルタメント、さらに独特の歌いまわしなど、キュルティの演奏は聴き手を蠱惑的世界へ誘ってくれるはずです。
■ガイド大塚の感想
なんとも良い感じ。古い映画のヴァイオリンの印象そのまま。色気がありながらも、いやらしくならないポルタメントと大きなヴィブラート。絶妙なセンスの甘美さで奏でられるモンティなど小品の数々が、暑い昼下がりに不思議と合う。録音自体の良い感じの古めかしさはあるが、再生に関してのノイズなどはほとんど感じられず、古いのに目の前で演奏しているような稀有な味わい深さがある。若くてオシャレに関心の高い人などにも面白く聴けるかもしれない。
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アバド(指揮) メンデルスゾーン:交響曲全集、ヴァイオリン協奏曲、他
したたるような美しいメロディーと生き生きとしたリズムが快いアバドのメンデルスゾーン。どの作品もイタリア人ならではのアバドの豊かな歌心が光る名演です。カップリングに収録されたメンデルスゾーンの主要序曲も心に響きます。今回ミンツとのヴァイオリン協奏曲も追加されて、コンパクトな装丁ながら聴きごたえ満載なセットの登場となりました。
■ガイド大塚の感想
さすがアバドという定評あるメンデルスゾーン(オーケストラはロンドン交響楽団)。彼の明るさと自然な美しさはメンデルスゾーンと相性が良い。作品の魅力をしなやかにストレートに聴かせてくれる。例えば『イタリア』1楽章のキラキラとして爽やかな音楽、2楽章の自然で体に染み入る歌……と、どこをとっても充実したボックス。
パールマン(ヴァイオリン)、アシュケナージ(ピアノ) ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番・第5番『春』
8月31日に70歳を迎えるパールマン。生誕70年を記念して22タイトルのカタログをSHM-CDで再発売しました。ここでは、この秋の来日公演でも演奏予定のスプリング・ソナタをご紹介します。1974年にアシュケナージとともに録音し、当時の若手ヴィルトゥオーソの共演ということで話題を集めました。パールマンの美音とロマンティックな語り口、アシュケナージの端正でしなやかなピアノが美しい定評ある名盤です。
■ガイド大塚の感想
美音ヴィルトゥオーゾヴァイオリンと言えばやはりパールマン。そして、相方は珠を転がすような美しいタッチのアシュケナージという今改めて理想なコンビだったことに気付かされる名盤。4番も良いが、やはり『春』が彼ららしさに満ちているだろう。と久しぶりに聴いてみると、思った以上に若い熱さに満ちていたことに驚いた。『春』という後世に付けられた表題ではなく、彼らはあくまで楽譜を見て真摯な音楽を生み出している。それにしても1楽章の繰り返しのところの美しさなどやはり絶品。奇を衒わず正統的に美しく歌い上げた名演だ。
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