澤和樹(ヴァイオリン、ヴィオラ)、蓼沼恵美子(ピアノ)
『リサイタルVol.3~シューベルト、シューマン、ブラームスをうたう~』
ミュンヘン国際コンクール第3位など国際的に高い評価を受けるデュオ、澤和樹と蓼沼恵美子のライヴ・レコーディング・シリーズの第3弾。ロマン派の室内楽珠玉の名作がずらりと並ぶ、当シリーズ。卓越した技術と長年育んだ音楽性豊かな表現で、美しいアンサンブルが高い評価を受けています。抒情豊かに描いてゆく淡い世界観。名デュオのみが表現出来る室内楽の喜びが収められています。詩情溢れる「うた」をぜひお聴き下さい。
■ガイド大塚の感想
ブラームスの『雨の歌』の冒頭など顕著だが、押すのではなく引くような、余裕ある非常に落ち着いた大人の演奏。丁寧な歌いまわしで、フレーズの一つひとつを次に繋げていく様子が何とも美しい。アンサンブルも安定感があり、豊かで伸びやかで甘美な音楽を穏やかに生み出していく。
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シェプス(ピアノ) プレイズ・ショパン
ヨーロッパで熱い注目を浴びるロシア出身のピアニスト、オルガ・シェプスの日本デビュー・アルバム。2010年にアリス=紗良・オットとドイツの権威ある「エコー賞」を二分した人気と実力を備え、これはオルガが最も得意とするショパンのピアノ作品をたっぷり盛り込んだ2枚組アルバム。ソロによる名曲集と2曲のピアノ協奏曲(弦楽合奏伴奏版)を収録。深い抒情だけでなく、広がりと開放感を合わせもった香り高いショパンを表現しています。
■ガイド大塚の感想
このショパンはすごい。みずみずしい芯のあるはっきりとした音で、ルックスそのままの永遠の美少女のような美しさだが、センチメンタルとは違うドラマティックな展開をも見せる。例えばバラード1番で明瞭に歌を歌い、バリバリ弾いた後でふっと引く感じや、別れの曲の終盤の降りてくるところで、わずかにテンポや強弱を揺らす際の繊細さ、これらは感覚? 計算づく? ともあれとんでもなく心を持っていかれる、聴き流しできない1枚。
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プレーゴ(チェンバロ) バッハ:フランス組曲
夏は、涼しい音楽を。でも南国情緒も欲しい。そんな気持ちに刺さる1枚がスペインから届きました(ジャケットも夏っぽい!)。しゃらしゃらと鳴る涼しげな音の正体は、金属弦をはじいて音を出す古い鍵盤楽器、チェンバロ。ピアノが発達・普及する前に人気があった室内用の鍵盤楽器で、「音楽の父」バッハもこの楽器を弾いて曲を書いていました。その頃の機構を忠実に再現した銘器を、スペインの俊英プレーゴがみずみずしく聴かせます。
■ガイド大塚の感想
例えば5番のアルマンド。一音いちおんを慈しんで弾くような、作品愛に満ちた幸福感あふれる、優しく包み込まれるような演奏。バッハの書いた舞曲の数々を絶妙なタッチで優しく蘇らせる。それは、人間バッハが粋を詰め込んで書きつつ、ふと眺めた月を、時代を経て同じ月を見るような、古いのだけれど、エレガントな気品が漂う、生まれたての演奏、といった印象。
サリュー・サロン(アンサンブル) Salut Salon Live
ドイツ・ハンブルクに拠点を置く女性4人のアンサンブル『Salut Salon』。彼女らのステージはとんでもなくおもしろく、彼女らの動画再生回数は1900万回を超え、世界中の人々に音楽を伝えています。そんな弦3人とピアノ、そして自分たちでヴォーカルもこなす彼女らの編曲は、夢心地とポップさを合わせた、独自な見事なもの。そのライヴの音源を収録したものですが、その編曲と演奏ともにうならせてくれる絶品な音楽です。
■ガイド大塚の感想
この動画を観ていただければ、このアンサンブルの魅力は十分に伝わるだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=BKezUd_xw20
まるで大道芸だが、こんなに遊んでいても演奏が抜群に上手いことが脅威! CDは純粋に明るく息の合った快活な演奏を楽しめる。編曲も工夫がされていて、『展覧会の絵』の「卵の殻をつけた雛鳥の踊り」など、原曲やどの編曲よりも雰囲気が出ていて面白い。クラシック好きでなくても楽しめる一枚。