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「注目されたい」から犯行予告をする子供たち

TwitterやYouTubeなどに「犯行予告」を投稿する事件が後を絶たない。中には10代の子達によるものも多く含まれている。彼らはなぜ犯行予告をするのか。犯行予告で問われる罪状とは何だろうか。

高橋 暁子

執筆者:高橋 暁子

ITリテラシーガイド

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犯行予告情報収集・通報サイト「予告.in」

犯行予告とは何か?

「○月○日、××駅で無差別殺人します」「△△小学校を爆破します」などの投稿がSNSや掲示板などに投稿されることがあります。このように、日時を指定したり、対象を指定して犯行を予告する投稿を、犯行予告(犯罪予告、殺人予告)などといいます。

2000年5月に起きた西鉄バスジャック事件の他、2008年6月の秋葉原通り魔事件などでも、事件の前に匿名掲示板等に犯行予告が投稿されていました。2008年には犯行予告が急増し、犯行予告情報収集・通報サイト「予告.in」が誕生しています。

以前は犯行予告は匿名掲示板に書き込まれることが多かったものの、最近はTwitterなどのSNSを使って書き込まれることが増えてきています。犯行予告を書いた人の多くは特定され、逮捕されていますが、書き込む人は後を絶ちません。

犯行予告はなぜ行われるのか?

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気軽に犯行予告をする子供が増えている

彼らは何故犯行予告をするのでしょうか。

2013年6月、関東在住の17歳の少年が広島で万引きして逮捕されました。逮捕前、少年は博多駅での殺人を示唆する犯行予告動画をYouTubeに投稿していました。少年は万引きやキセル(不正乗車)をしている様子を撮影した動画も投稿していた他、2011年の新宿駅での殺人予告事件で逮捕されたとも告白しています。

少年は犯行の動機について、「仕事に就けず勉強もうまくいかず社会で生きる能力がないと感じ、悪いことをしないで生きていても自分には明るい未来はない」と告白しています。このように自暴自棄になった挙げ句、不特定多数から見られるYouTubeに投稿する例も増えてきているのです。

それだけではなく、最近多いのが、気軽な気持ちで犯行予告を投稿するケースです。2013年3月、東京都の中学3年生男子が威力妨害容疑で書類送検されました。2012年8月にTwitterで、「東武鉄道よ、いますぐ他の8000系を地下鉄直通運転に使用しろ。しなければ、春日部支所を明日爆破する」と投稿をしたためです。生徒は動機について、「予告すれば反響があると思った」と告白しています。

2011年10月には、兵庫県の中学3年生男子が、「明日、午前9時36分品川行きのバスをジャックする。みんなみんな殺して肉の塊にしてやる」とツイート。2012年3月に、業務妨害容疑で書類送検されました。動機は「反響の大きな書き込みをしてフォロワーを増やしたかった」ためでした。

つまり、注目を浴びたい、世間を騒がせたいというだけで投稿するケースが増えているのです。自暴自棄になっている場合は本当に犯行予告通り犯罪を犯すことも多いものの、注目を浴びたいだけの場合は、実際にはそもそも犯罪を犯す気がないものも多く含まれています。しかし、犯罪を犯さなくても問題はあります。

必ず罪に問われる犯行予告

警察は電話会社やインターネットプロバイダーなどに顧客情報や通信記録の開示を求めることができるため、たとえ匿名で書いても、書き込みをした本人の身元は簡単に特定されてしまいます。

また、たとえ犯行を犯す意図がなくても、そもそも犯行予告は投稿した時点で必ず以下のどれかの罪に問われます。

脅迫罪:特定の個人を脅迫した場合
威力業務妨害罪:暴力的な表現を用いて業務を妨害した場合
偽計業務妨害罪:嘘の情報等を用いて業務を妨害した場合
軽犯罪法違反:上記に当てはまらない悪戯目的の場合

たとえば、あえて「死ね」を「市ね」「氏ね」、「殺す」を「投す」のように誤字で書いても、犯行予告になるので注意が必要です。

実際に犯行を犯すことはそう簡単にはできません。しかし、犯行予告なら簡単にできるため、気軽に投稿してしまい、大問題につながる場合があります。子供が注目を集めたいなどの安易な気持ちで犯行予告をすることがないよう、保護者は子供の言動にくれぐれも注意すべきでしょう。
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