住宅設備・建材の選び方/住宅設備・建材選び

二世帯住宅を成功させるための設備&建材プラン

二世帯住宅にはさまざまなプランが考えられます。「同居型」「共有型」「分離型」などがありますが、間取りと同様に居心地のよさ、使い勝手に関わるのがどのような設備機器や建材を取り入れるのか、ということでしょう。ここでは、快適な二世帯住宅にするための設備や建材をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

間取りプランと合わせて設備や建材の検討を

2世帯の家族が集まることができるダイニングキッチン。オープンなつくりで参加しやすい工夫も。[アレスタ オープン対面キッチン センターキッチン ペニンシュラI 型]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

2世帯の家族が集まることができるダイニングキッチン。オープンなつくりで参加しやすい工夫も。[アレスタ オープン対面キッチン センターキッチン ペニンシュラI 型]  LIXIL

二世帯住宅のプランには、いくつかのスタイルが考えられます。一般的には、「同居型」「共有型」「分離型」の3つ。個室以外を共有するのが「同居型」、玄関や水まわりなど一部を共有する「共有型」、すべてを別々とするのが「分離型」となりますが、家族構成やライフスタイルによって、そのプランニングはさまざまです。

どのようなプランを検討するにせよ、ライフスタイルや家族構成に合わせた間取りはもちろん、適した設備や建材を取り入れることで快適さは高まるもの。間取りを検討する際には、設備や建材も同時に考えておくことが大切です。特に、電気設備や給排水に関わるアイテムは、早めに検討しておくようにしましょう。

二世帯家族の交流の場は確保したい

いずれのスタイルを取り入れるとしても、間取りを検討する際には、二世帯の家族全員が集まることができる場として、ある程度の広さのリビングやダイニングなどを確保しておきたいもの。家族が自然に集まりやすい、住まいの中心となるような場所に配置することがポイントでしょう。プランニングによっては、高齢のご両親が行き来しやすいようにホームエレベーターの設置を検討してもいいかもしれません。

食事を共にすることが多いのであれば、複数でも作業しやすいキッチンプランに。動きやすいアイランド型、ダイニングやリビングにいる家族とコミュニケーションの取りやすい対面キッチンなどもおすすめです。

また、ウッドデッキや縁側など、外空間を世帯の交流の場として設けても。分離型などで各世帯へ行き来する通路として利用する方法もあります。最近では、建材メーカーのデッキ商品も豊富に揃っているので、さまざまな間取りに対応することが可能。居心地のよさを高めるため、テーブルやチェア、日除け(オーニング・シェードなど)、夜間にも利用できるように照明を設置しておくのもいいでしょう。

心地よいウッドデッキを設けることで、休日にはゆっくりと二世帯でくつろぐことも。[リウッドデッキ 200 FD] YKK AP http://www.ykkap.co.jp/

心地よいウッドデッキを設けることで、休日にはゆっくりと二世帯でくつろぐことも。[リウッドデッキ 200 FD]  YKK AP
 

多様な生活シーンでも使いやすい工夫を

広々としたリビングやダイニング空間も必要ですが、片方の世帯だけで使用する場合やお客様がいらした場合などでも使いやすいように、フレキシブルに対応できる工夫もしておきたいもの。たとえば、間仕切り扉などを設けておくのもひとつの方法でしょう。最近の建材メーカーの商品には多様な間仕切扉がみられ、引き戸タイプが注目されています。格子やスリットなど、空間に広がりを感じるデザインもみられ、さまざまなインテリアに合わせることができるでしょう。

また、各世帯の居室の室内扉にも、格子やスリットのデザインを用いることで、それぞれの気配を感じることが可能。家族構成にもよりますが、高齢の親世帯の就寝や起床の様子などを把握できることで、安心な場合もあるのではないでしょうか。

引き戸タイプの間仕切りであれば、フレキシブルに空間を活用できる。 [ベリティスプラスundefined内装ドア 大型上吊り引戸 施工例 PA型]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

引き戸タイプの間仕切りであれば、フレキシブルに空間を活用できる。 [ベリティスプラス 内装ドア 大型上吊り引戸 施工例 PA型]  パナソニック エコソリューションズ


それぞれの暮らしに合わせた配慮を。プライバシーの確保も重要

複数の世帯がひとつ屋根の下で暮らすためには、気配を感じることも大切ですが、一方でプライバシーを確保することも重要です。間取りプランにもよりますが、世帯間に仕切りを設置したり、必要であれば鍵を掛けることのできる室内扉を設けてもいいかもしれません。

また、音の問題も配慮しておきたいポイント。テレビの音が気になる場合やゆっくりと就寝したい場合など、遮音性能の高いドアを用いてもいいでしょう。2階の上下で世帯を分けた間取りでは、階下へ響く音にも注意が必要です。生活時間帯が異なる場合、上階の子供室などの下が親世帯の寝室となる場合など、床の遮音性能、使用する床材などにも注意を。建材だけでなく、構造や施工方法が関わるので、あらかじめ設計担当者に音の響き方などについて確認しておくことが大切でしょう。

また、将来を見据えて親世帯ゾーンのつくりにも配慮したいものです。高齢の方でも生活しやすい部屋の配置プランはもとより、メーカーからは、ユニバーサルデザインの設備機器、内装建材などが揃っています。安全性に配慮した浴室、使いやすいトイレ機器、手すりや開閉しやすい扉など。車いすでも動きやすく掃除のしやすい床材などを取り入れてもいいでしょう。

高齢の方や介護が必要な場合にも適する、滑りに配慮した床材。車いすでも傷つきにくく、水や汚れにも強いフローリング。[おもいやりフロアII〈チェリー柄〉YE37-13N]undefined DAIKEN https://www.daiken.jp/

高齢の方や介護が必要な場合にも適する、滑りに配慮した床材。車いすでも傷つきにくく、水や汚れにも強いフローリング。[おもいやりフロアII〈チェリー柄〉YE37-13N]  DAIKEN


水まわりを共有するなら、ミニキッチンやセカンド洗面を

「同居型」はもちろん「共有型」では、水まわりを一緒に使用するプランも多くみられます。しかし、間取りや生活のスタイルによっては、簡易なものでも、もうひとつ確保しておいた方がいい場合もあるでしょう。

たとえば、片方の世帯が仕事で帰宅が遅く、バスルームを使いづらいという場合では、寝室近くにシャワールームを設けても。早朝や夏場に汗を流したい場合などにも便利でしょう。また、簡易な洗面台を廊下や寝室、子供室近くに設置しておくのもおすすめ。セカンド洗面とも呼ばれるもので、朝の洗面ラッシュも避けられますし、ゆっくりお化粧をすることも可能。子供の手洗いや掃除、植物への水やりなどにも使い勝手がいいものです。

その他、プランや家族構成などにもよりますが、簡単な食事などをつくることができるミニキッチンを設置する方法も。片方の世帯の居室(茶の間など)に設けておくことで、来客時のお茶の用意も簡単でしょう。

限られたスペースでも設置できるコンパクトなタイプ。寝室や廊下に設けておくと便利。 [アクアファニチャーundefinedスクエアスタイルundefinedXGPH91DWAB]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

限られたスペースでも設置できるコンパクトなタイプ。寝室や廊下に設けておくと便利。 [アクアファニチャー スクエアスタイル XGPH91DWAB]  パナソニック エコソリューションズ


分離型なら、ポストやインターホンを各帯に

「分離型」の場合は、門まわりにも配慮が必要です。それぞれの世帯の表札やポスト、来訪者が使いやすいようにインターホン(ドアホン)もふたつ設けておくほうがいいでしょう。新築時に多く取り入れられる機能門柱などにも、ひとつの門柱に二世帯用のアイテムを設置することができるタイプも揃っています。建物本体の間取りに合わせて、エクステリアプランも同時に進めておくようにしましょう。また、インターホンは世帯間での通話ができる機能を持つタイプにしておくと便利です。

表札、ポスト、インターホンを組み入れた機能門柱。2世帯用でも場所をとらないすっきりとしたデザイン。 [ファンクションユニットウィルモダンスリム 組み合わせ例15-12undefinedシャイングレー]undefined LIXIL undefinedhttp://www.lixil.co.jp/

表札、ポスト、インターホンを組み入れた機能門柱。2世帯用でも場所をとらないすっきりとしたデザイン。 [ファンクションユニットウィルモダンスリム 組み合わせ例15-12 シャイングレー]  LIXIL
 

二世帯住宅に限ったことではありませんが、新築でもリフォームでもプランニングの際は、間取りプランはもちろん、設備や建材選びはとても重要です。家族構成やライフスタイルに合わせた間取りを検討し、空間や生活スタイルに適した設備や建材を取り入れることで、快適な住まいを実現できるものです。特に二世帯住宅の場合は、家族構成やライフスタイルに適した交流がしやすく、プライバシーの確保ができるための性能や機能を持つ設備や建材をバランスよく選び、取り入れることが大切なポイントとなるでしょう。


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