個人の住宅に設けるエレベーター。老後や将来に備えて設置するケースも
ホームエレベーターは、個人の住宅に設ける1~3人乗りのエレベーターのこと。家族に高齢の方がいらっしゃる場合だけでなく、40~50歳代の方が将来を見据えて取り入れたり、幼いお子さんを持つご家庭でプランニングする場合もみられます。3階建住宅や地階、屋上のある2階建て住宅、家族が集うリビングが上階にあるプラン、また、階段を使えない愛犬のために設けたい、というケースも。最近では、新築だけでなくリフォームをきっかけにエレベーターを設置したい、という要望を持つ方も増えているようです。
ホームエレベーターの規制緩和に対応し、床面積が拡大し、利用できる車いすの範囲も広がった。ティルト式車いす(座面と背もたれを一体で傾けることができる車いす)も使える、大型3人乗りタイプ。 [ホームエレベーター 1418フォレストV 大型3人乗りタイプ ロープ式]
パナソニック
1.ホームエレベーターを取り入れるメリット
2.ホームエレベーターの駆動方式
3.ホームエレベーターは木造や鉄骨、RCでも設置可能
4.ホームエレベーターには3人乗りや車椅子対応のサイズやタイプも
5.ホームエレベーターをリフォームで後付けするには?
6.今のホームエレベーターはインテリアにも馴染むデザイン
7.誰にでも使いやすいユニバーサルデザイン
8.気になるホームエレベーターの安全性は?
9.ホームエレベーターの注意点1.法的手続きが必要
10.ホームエレベーターの注意点2.電気代やメンテナンス費用
11.将来を含めて検討する。ショールームで必ず試乗を
ホームエレベーターを取り入れるメリットとは?
ホームエレベーターを取り入れるメリットは、階段での昇降が難しい身体の不自由な方(車椅子の方)や幼いお子さんでも、上下階への移動が楽になることはもちろん、階段での事故の心配も少なくなること。2階リビングなど、日当たりのいい上階での生活がしやすくなること、洗濯物や布団を上階や屋上へ干したり、地階の駐車スペースからキッチンへの荷物の運搬にも便利なので、家事をスムーズに行うことができることなどが挙げられるでしょう。ホームエレベーターの駆動方式は2種類。ロープ式と油圧式
エレベーターの駆動方式は、大きく分けてロープ式と油圧式のふたつがあります。ロープ式は、カゴ(エレベータールーム)をワイヤーロープで吊り上げるもの。巻き上げ機で昇降させる方式と釣合おもりを使用するなどした方法があります。油圧式は、電動ポンプで油の圧力を制御しながら上下させる運動を基本に、カゴを昇降させる方法。ロープ式は、省エネや低騒音、油圧の油の匂いが無いなどがメリット。油圧式は、ふわりとした動きの快適な乗り心地が利点であるといわれています。ホームエレベーターは木造や鉄骨、RCでも設置可能
ホームエレベーターは、鉄骨や鉄筋コンクリート(RC)造はもちろん、木造にも設置することが可能。建築工法を問わないので、一般的な住宅でもプランニングすることができます。取り入れる際に確保しておきたいスペースは、建物の構造や定員、機種によって異なりますが、2人乗りであれば1畳弱程度から、3人乗りであれば1坪弱程度がおおよその目安です。ホームエレベーターには3人乗りや車椅子にも対応したサイズやタイプも
メーカーのホームエレベーター商品は、サイズやタイプ、デザインバリエーションが豊富に揃っています。限られたスペースでも設置しやすい1~2名乗りのコンパクトなタイプから3名乗ることができるもの、車椅子と介助者が一緒に乗ることができるタイプ、奥行きの浅い(横長でふたり並ぶことができる)タイプもみられます。また、1階から乗ったままの向きで2階に降りることのできる(二方向出入口)タイプなどもあり、間取りプランや使用方法に合わせて選ぶことが可能でしょう。
ホームエレベーターをリフォームで後付けするには?リフォーム対応商品の特徴
ホームエレベーターは、一般的に新築時にプランニングする方が設置しやすく、リフォーム時では、大掛かりな工事になりがち。工期的にも予算的にも、なかなか取り入れにくい、というケースもみられます。しかし、最近では、リフォーム対応商品の開発も進み、以前に比べるとプランニングしやすくなってきています。リフォーム用商品の特徴は、住宅自体に負荷をかけない構造であるということ。屋外(建物の外側)に自立した昇降路を設置するなど、建物の主要構造部材などを取り壊す必要がない商品もでていますし、設置間口を縮小したり、機器類を小型化することで、工事の手間を減らしたタイプも。畳一枚のサイズの押し入れに納まるように工夫された商品もみられます。 また、今は必要ないけれど将来は設置したい、という場合、エレベータースペースの確保と構造的な補強だけを済ませておく、という方法も。設置予定のスペースを収納(押入れ・納戸)や吹き抜けにしておけば、必要なときにその空間を利用できます。エレベーター用電源や電話線なども引き込んでおけば、工事もしやすくなるでしょう。
今のホームエレベーターはデザインも多様でインテリアにも馴染む
扉や内装部分のデザインのバリエーションも豊富に揃っています。シンプルでモダンなタイプ、ナチュラルな木質素材を使用したり、和の雰囲気を持つタイプなどさまざま。居室空間の床材や建具などとのコーディネートもしやすい扉なども揃い、インテリアにも馴染むタイプも増えています。また、経済的で交換の手間も少ないLED照明を取り入れたタイプ、換気扇やニオイを抑える機能などのオプションも用意されています。
多くのホームエレベーターは誰にでも使いやすいユニバーサルデザイン
メーカー商品の多くは、誰もが操作しやすいユニバーサルデザイン。たとえば、読みやすい操作パネルや音声アナウンスのあるタイプ、情報を表示する液晶パネルを設けたものなども。車椅子の場合に背後を確認することができる鏡を設置したものやドアから離れた場所でも操作できるリモコンを用意した商品も。手すりを設けたり、つまずきやすい敷居のすき間を小さくしたものなどもみられるので、使用する家族に合わせてプランニングするようにしましょう。気になるホームエレベーターの安全性は?停電時にも配慮
安全面では、扉に挟まる危険をセンサーで防止する機能などが搭載され、また、停電時にバッテリーで運転したり、故障で停止した場合に最寄りの階まで自動運転し、閉じ込め事故を防ぐなど、万が一のトラブルに対応できる機能もみられます。遠隔監視システムなどを取り入れれば、安心感も高まるでしょう。その他、一定時間使用しない場合は待機電力を削減する省エネモードのあるタイプもみられます。
ホームエレベーターの注意点1.設置の際には確認申請など法的手続きが必要
エレベーターを取り付ける場合には、確認申請など法的な手続きが必要です。設置を希望する場合は、間取りと同時に検討すること。リフォームの場合は、既存建物の状況によって、設置の可否、構造補強工事が必要になる場合などもあるので、早めに設計担当者に相談し、具体的な見積もりを取ることが大切です。また、ホームエレベーターは、法定点検などによって、常時適法な状態に維持し、管理する義務があります。プランニングの際には、点検時期・費用なども合わせて確認することも重要なポイントでしょう。
ホームエレベーターの注意点2.電気代やメンテナンス費用なども確認を
ホームエレベーターの本体価格は、メーカーや商品によってさまざまですが、数年前までは、300~400万円台が中心だったものが、最近では、200万円台の製品もみられるようになりました。また、本体価格だけでなく、取り入れる際に、忘れてはいけないのはランニングコスト。使用頻度にもより異なりますが、電気代は月々350~600円台程度と試算され、その他に、メンテナンスの費用も。万が一を考えて遠隔監視システムなどを契約すれば、その料金も必要です。
ホームエレベーターは将来を含めて検討を。ショールームで実際に乗ってみること
プランニングの際には、エレベーターをどのように利用するのか、日々の暮らし、将来を含めてイメージして検討すること。何人で乗るのか、車椅子で使用するのかなど、家族構成やライフスタイルなどを考慮して商品を選ぶようにしましょう。もちろん、地震や停電、故障などに対する対策、通報システムや方法など、詳細な内容をあらかじめ確認すること。できる限り、ショールームやエレベーターが設置されているモデルハウスで、操作性や音、乗り心地や空間を体感することをお勧めします。
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