パパとママの感情から伝わる相性の良さ
映画に出てくる5つの感情とは? 簡単にご説明しますと……「ヨロコビ」は明るくてポジティブ。面白い遊びを思いつく。たまに空気が読めない。「イカリ」は売られたケンカは買うし、一度切れたら止められない。「ムカムカ」は嫌いなものを遠ざけて、イカリを挑発する。「ビビリ」は危険や恐怖から身を守る。心配性。そして、「カナシミ」謎が多い。ネガティブ発言でみんなを盛り下げたり、自分で落ち込む。この5つのなかで、あなたの頭の中の司令部で中心になっているのは、どの感情ですか? 優しいけれど、仕事で忙しく短気なライリーのパパの頭の中の司令部の中心はイカリ。ライリーママの頭の中の司令部のセンターにいるのはカナシミでした。
じつは、イカリとカナシミの感情は相性が良いのです。なぜなら、何か問題が起きたときに「自分に原因があるのでは?」と考えるカナシミの感情に対して、イカリは自分の主張を貫こうと突き進みます。イラッときて爆発しそうになったとき、真逆の反応をするカナシミが冷静さを取り戻してくれます。
物語では引っ越しの場面でも、ママとライリーがパパの決断に従うかたちになっていました。ライリーに対する接し方を見ても、パパとママで役割分担ができていました。人は、自分に足りないものを無意識のうちにパートナーに求めてしまうようです。
感情について考えたとき、「いつもハッピーでポジティブであればいいのか」というと、そんな単純な話ではないんですよね。確かに楽しいほうがいいけれど、他人のつらさや悲しみを理解するということも大事です。とくに恋愛において、相手の気持ちを想像する、共感することができないまま深く付き合うのは難しい。また、イカリの感情もただ抑えればいいのではなく、自分の正義を貫く姿勢や信念を曲げない強い心もマイナスにはならないはず。
恋愛のように心が不安定になるときこそ、自分の素直な感情を認めて、感情を知ること。ただ感情をぶつけようとするのではなく、一度自分の感情を確認することができると表現の仕方も変わってきます。
自分の素直な感情を無視して幸せな恋愛なんてありえない
ドキドキ、不安で紫色になっていた思い出ボールを振り返って見ると、楽しかったヨロコビの色にも見えたりするように、複雑だから面白い。悲しんでいる人に寄り添う気持ちや、「これは嫌い」と判断する感情を無理やり抑えて、周囲に笑顔を振りまく必要なんてないんです。自分の素直な感情を無視して幸せな恋愛なんてありえません。
たとえば、短気でけんか早いのが欠点だとしたら、どんなことでイラッとくるのかを自覚して、客観的に状況を把握するように心がけるだけでもケンカを最小限に食い止めることができるでしょう。感情を知ることで行動やクセを改善できます。状況を冷静に判断することで相手の感情にも気づくようになります。
恋愛に限らず、仕事でも友人関係でも、感情的に考え方や行動を「いいね」と思ってもらえる「共感力」があると、一気に心の距離が縮まることがあります。そのためには、マイナス思考や負の感情を否定するのではなく、認めて、理解すること。つらい気持ちに寄り添うことのできる優しさには大きな愛を感じます。自分の感情を好きになって、恋愛に活用してほしいと思うのです。
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『インサイド・ヘッド』
監督:ピート・ドクター共同監督:ロニー・デル・カメルン
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト:Disney.jp/HEAD
2015年7月18日ロードショー
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