淡々と冷静に冷酷を演じる
ユースケ・サンタマリア
『踊る大捜査線』では周囲の人々に右往左往させられながらも優秀な刑事をコミカルに演じましたが、今では黒幕として登場する知能犯を演じることも少なくありません。『絶対零度』ではゲームのように人間を操りながら、真正面から対峙しない挑戦に気味の悪さを感じさせました。そんな演技がなんともうまい俳優です。緻密な計算を得意とする神経質な人間を力むことなく演じるユースケ・サンタマリアの持つ空気感は貴重です。
現在放送中の『探偵の探偵』でも、ワケアリを思わせる謎めいた探偵を演じています。手の内はあかなさいものの、企み続ける男を演じるユースケ・サンタマリアが、何をどんな風に仕掛けてくるのか、まだまだ見逃せません。
声で笑わせ声で威嚇し声で泣かせる
竹中直人
『秀吉』の印象が強い竹中直人ですが、ファッショナブルで現代的、自由にしなやかに生きている感じがステキです。低い声の魅力を生かして大声で笑い飛ばしたり、見境なく何かに夢中になる姿を生き生きと演じていますが、ここのところ、その低い声はフテブテシサの象徴となっています。声を張り上げて威嚇し虚勢を張る。現実社会で見る光景を映します。『ようこそ、わが家へ』では、腹立たしい演技で視聴者を苛立たせました。『エイジハラスメント』では、さらにタチの悪さをパワーアップさせ、”嫌な上司”路線を極めているように思います。
コメディでおなじみの俳優たちがシリアスに演じる悪役は迫力があり、演技とわかっていても、怖くなったり悔しくなったりします。また悪役と言っても実に個性的で、演じる人によって大きく印象が変わることに驚かされます。
人間の憐れみや情けさなさを含ませながら、人間の心の暗い部分をドラマで見ると、その向こうの世界が見えてきます。現実以上に現実的で俳優の演じるチカラに脱帽し、ますますドラマの世界に興味がわきます。