大:演奏の種類ということでは、今回のコンピレーションは、名門ドイツ・グラモフォンやロンドン・デッカなどを抱えるユニバーサル ミュージックさんの音源なので、名録音ぞろいですね。

藤:そうなんですよね、すごくたくさんの音源から選ばせていただけ、普通にクラシック音楽の入門編として聴いていただくにも結構良いのではないかと思います(笑)。

大:サン=サーンスの『白鳥』も人気チェリスト、ミッシャ・マイスキーの演奏ですものね。

藤:申し分ないですよね(笑)。『白鳥』については「ホンマでっか!?TV」で話をしたのですが、すごく良い音楽なんですよね。さざ波を表す伴奏がタラララララララと心拍に近い音であり、安定しています。メロディーを弾くチェロは、人の声域が全部出せる唯一の楽器なんですよ。ですから口ずさめるんですよね。それって大事ですね。更にどこかで聞いたことがあるだろう曲ということですよね。記憶があって旋律も覚えている。「これこれ」って思い出せるんですよ。あともう一つ、タラタラタラと高く上がっていくようなところがいくつかあります。音が上がる時は人間にとって快楽なんですよ。オペラのハイCをみんなが求めるのと同じで、高い音って良い意味で、気持ち良いんですよね。こうした好条件が揃っていて、脳の中にあるドーパミンとエンドルフィンが出て、痛みがカバーされます。

大:いやぁ、面白いですね。

藤:今回出させていただいた3枚のディスクの中で「痛み」に関しては、自律神経を安定化させるという働きと、キレイな高度なメロディーとハーモニーを覚えることで大脳皮質からドーパミンを出すという経路を意識して選曲しました。

「悩み」に関しては、音楽療法で行う方法ですが、うつ状態のときというのは、いきなり励ますのではなく、まず同調・共感すべきなんですよね。ですので、気持ちを代弁してくれるような暗い音楽からスタートしています。そうして気持ちを落ち着けてから、ちょっとずつ転換していくようなイメージで、最後に明るい曲を入れました。

そして、その転換点に使ったのが、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第一楽章です。とても重厚な暗い音楽で始まりますけれど、途中で明るく壮大に変わるじゃないですか。ここを転機に元気になってほしいな、というのが意図ですね。演奏も、諏訪内晶子さんによるとても良い演奏です。

気持ちを変えるというのはすごく大事なんですよ。今回のCDで病気が治るわけではありません。病気はやはり病院に行かなきゃ治らないんですよね。ただ、病気になりかかっている気持ちやストレスを発散すると、病気になりづらくなると思いますね。ストレスを感じると、腎臓の裏にある副腎からコルチゾールが大量に出ることになり、これによって免疫力が下がり、病気になりやすくなるんです。そして、音楽は確実にストレスを発散してあげることができるんですよね。

「不眠」に関しては、音のバランスや、曲のつなぎに注意しました。バッハのゴルトベルク変奏曲から始まっていますが、これは不眠の貴族のために睡眠薬代わりに弾かれたとも言われていますよね。という感じで、どこで寝落ちしても良いような選曲にしました(笑)。

大:なるほど、練られてますね(笑)。なお、特に「痛み」ですが、これはBGMのように聴くのでも効果はあるのでしょうか?

藤:症状を実際に変えていきたいときには、BGM的と言うより、集中して聴いてもらった方が良いですね。大脳を一つでも多く使った方が良いです。


とのことでした。
痛みをマスクする、というのも確かに自分の経験からも分かりますし、悩みと不眠の考え方も非常に納得がいくものでした。そして先生がインタビュー中でおっしゃっているとおり、普通にコンピレーションとしても素晴らしい演奏と選曲になっていますので、ぜひ処方(?)を試してみてください。

藤本先生の聴くだけで痛みがスッキリ
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1 組曲《動物の謝肉祭》から 白鳥 (サン=サーンス)
2 歌劇《ホフマン物語》から ホフマンの舟歌 (オッフェンバック)
3 交響曲 第5番 嬰ハ短調 ~ 第4楽章:アダージェット (マーラー)
4 ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》 ~ 第2楽章: Adagio Cantabile (ベートーヴェン)
5 組曲《くるみ割り人形》作品71aから 花のワルツ (チャイコフスキー)
6 弦楽セレナード ハ長調 作品49 ~ 第2楽章:ワルツ (チャイコフスキー)
7 パガニーニの主題による狂詩曲 作品43から 第18変奏 (ラフマニノフ)
8 クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 ~ 第1楽章: Allegro (モーツァルト)
9 劇音楽《真夏の夜の夢》 序曲 作品21 (メンデルスゾーン)
10 組曲《惑星》 作品32 ~ 第4曲:木星 - 快楽をもたらすもの (ホルスト)


藤本先生の聴くだけで悩みがスッキリ
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1 弦楽のためのアダージョ 作品11 (バーバー)
2 即興曲 変ト長調 D899の3 ~ 第3番 変ト長調: Andante(シューベルト)
3 レクイエム 作品48 第7曲:楽園にて(フォーレ)
4 前奏曲 嬰ハ短調 作品3の2 《鐘》(ラフマニノフ)
5 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 ~ 第1楽章(メンデルスゾーン)
6 バラード 第1番 ト短調 作品23(ショパン)
7 ピアノ協奏曲 イ短調 作品54 ~ 第1楽章(シューマン)
8 幻想小曲集 作品12 ~ 第2曲:飛翔(シューマン)
9 愛の挨拶 作品12(エルガー)
10 歌劇《ジャンニ・スキッキ》から 私のお父さん(プッチーニ)


藤本先生の聴くだけで不眠がスッキリ
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1 ゴルトベルク変奏曲 BWV988から アリア(J.S.バッハ)
2 パッヘルベルのカノン(カノンとジーグ ニ長調から)(パッヘルベル)
3 G線上のアリア(管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 から)(J.S.バッハ)
4 夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9の2(ショパン)
5 アンダンテ・カンタービレ(弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 作品11 第2楽章)(チャイコフスキー)
6 ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466 ~ 第2楽章: ロマンス(モーツァルト)
7 亜麻色の髪の乙女 (前奏曲集 第1巻から)(ドビュッシー)
8 ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21 ~ 第2楽章:Larghetto (ショパン)
9 月の光 (《ベルガマスク組曲》から)(ドビュッシー)
10 タイスの瞑想曲 (マスネ)
11 ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 《皇帝》 作品73 ~ 第2楽章 (ベートーヴェン)


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