2015年7月の、クラシックのおすすめ新譜CDをご紹介!
毎月大量に発売されるクラシックの新譜CD。その中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介していきます。2015年7月のオススメはこれだ!(発売前、発売延期、売り切れなどの場合もございます。ご了承くださいませ。直接CD店に行く場合などはご注意くださいませ)
ネルソンス(指揮) ショスタコーヴィチ:交響曲第10番、他
ラトヴィア出身の俊英、36歳のネルソンスと2014年から彼が音楽監督を務めるボストン交響楽団によるショスタコーヴィチ・チクルス第1弾! 第10番からスタートし、今後5番から9番までの5曲の交響曲が続いてリリースされる予定です。たぐいまれなる才能に恵まれ、現代の音楽界を牽引する若きネルソンスとボストン響が醸し出す絶妙なるケミストリーをお楽しみください。
■ガイド大塚の感想
旧ソ連のラトヴィア出身ゆえ「特別に個人的な近親感をもつ」とネルソンスが語るように、とても共感に満ちた演奏。ほの暗い森のような音楽を丁寧に呼吸するように描き、美しさを際立たせている。2楽章のアレグロはネルソンスらしく、新パートナーのボストン響を前へ前へと駆り立て、オケもがっちりとしたアンサンブルで応える。なお、併録された「『ムツェンスク郡のマクベス夫人』からパッサカリア」がまたスケール大きく劇的。
セレブリエール(指揮) ドヴォルザーク:交響曲全集、他
1938年ウルグアイ生まれの作曲家兼指揮者、ホセ・セレブリエールとボーンマス交響楽団のコンビによる、2011~2014年に録音したドヴォルザーク交響曲全集。最近の新鮮なシャープさを取り入れながら、作曲家の書いた楽譜を音化するというアプローチを採用し、リズミカルな低音にあまい音色の弦楽器が浮かび上がり、ボヘミアを強く感じさせる重厚な演奏といえるでしょう。テンポを速めたりすることによって盛り上げることなどはせずに、メロディックな音楽の造型が構築されていきます。
■ガイド大塚の感想
作曲家でもあるセレブリエールらしく、ドヴォルザークの透明な感性を見事に描く、曲の印象を変える全集。かと言って冷たい印象では全くなく、旋律を飾らず素朴な味わいの良さを出し、対旋律なども明瞭に響かせ、作曲家が散りばめた美しい奏句を一つひとつすくっていく。テンポが遅いわけでもないのにどうしてこんなに様々な音が邪魔することなく聴こえるのか。「伝説」なども、おとぎの国に誘われるような美しさ。
アントニーニ(指揮) ハイドン 2032 ~交響曲第22番「哲学者」・第46番・第47番 他
聴くほどにエキサイティングな「交響曲の父」ハイドン――100曲以上ある交響曲のすべてを、作曲家生誕300周年の2032年までに全曲録音すると言い放ったのは、かつて切れ味抜群のヴィヴァルディ演奏でバロックの通念を塗り替えたイタリア古楽界の猛者、ジョヴァンニ・アントニーニ。精巧な曲作りをひとつひとつ仔細に読み解き、心にまっすぐ突き刺さる痛快な演奏に昇華させてみせる……。解説・ジャケットの作りも丁寧なフランス盤です。
■ガイド大塚の感想
オーケストラの客演も多く、ますます元気なアントニーニ。ここで振るのは自らのオーケストラであるイル・ジャルディーノ・アルモニコということで更にアントニーニ節が炸裂。湧き出す清水のように、健康的な疾走、しなやかなアーティキュレーションでみずみずしい音楽を生み出す。大バッハ長男のW.F.バッハによるいたずらっぽい交響曲も面白い。
アーノンクール(指揮) シューベルト・エディション(交響曲全曲、ミサ曲、オペラ)
世界から注目を集めているレーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」の新譜。アーノンクールは、シューベルトの作品に対して「シューベルトは常に心の友であり、音楽の化身でした」と語っており、自身にとっても特別な演奏であることがうかがえます。渾身の交響曲全曲の他に、後期ミサ曲、そして「アルフォンソとエストレッラ」を含む充実のボックスです。国内仕様盤には、充実の歌詞対訳が付いております。
■ガイド大塚の感想
ベルリン・フィルらしい力強い美しさで押し切るのではなく、丁寧に旋律、ハーモニーを組み立て、どこをとっても美味なのが流石。リズムやアクセントを強調する面白さなどアーノンクール節も光る。ミサ曲ではヨナス・カウフマンやドロテア・レッシュマン、クリスティアン・ゲルハーヘルなどの豪華歌手が登場している。
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