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「ベーシストが目立つバンドランキング」TOP10

音楽に疎い人からしてみれば、もはやどんな音を鳴らしているのかさえわからないであろうベーシスト。しかし、ごく稀にそのハードルを越えてフロントマンを食うぐらいに目立ってしまうツワモノがいる。今回は1990年までにデビュー、活躍した日本のバンドから、人気、知名度、実力、政治力などあらゆるベクトルで″目立つ”ベーシストを擁するものを10組特選し、ランキング形式でご紹介。

中将 タカノリ

執筆者:中将 タカノリ

演歌・歌謡曲ガイド

第10位『ザ・サベージ』

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カレッジフォーク調のさわやかな音楽性でグループサウンズブーム初期の人気バンドだったザ・サベージ。フロントマンは正統派二枚目のギターボーカル・奥島吉雄だが、ベーシストの寺尾聰もボーカルをとり作詞作曲をてがけるなど存在感をはなっていた。名俳優・宇野重吉の息子という肩書も大きなインパクトだったであろう。

寺尾は『いつまでもいつまでも』(1966年)、『この手のひらに愛を』(1966年)と連続ヒットを飛ばした直後の1967年1月にバンドを脱退してしまうが、その後も『ルビーの指環』(1981年)などの大ヒット歌手として、また日本の演劇界に欠かせない個性派俳優として活躍している。

第9位『四人囃子』

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1970年代を代表するプログレッシブロックバンド・四人囃子。オリジナルメンバーでこそないが、1976年にフロントマンの森園勝敏が脱退すると代わって曲づくりの中心人物となったのが佐久間正英

佐久間は四人囃子の活動休止以降もプラスチックス等のバンドに参加しているが、それ以上にP-MODELBOØWYJUDY AND MARYGLAYなど名だたるJ-POPアーティストを手がけた名プロデューサーとして著名だ。

第8位『ザ・ゴールデンカップス』

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ヒット曲『長い髪の少女』(1968年)のイメージとは正反対に、グループサウンズとしてはかなり硬派な立ち位置でロックやブルースなど本来の音楽性にこだわり続けたザ・ゴールデンカップス。個性的なメンバーだらけだが、中でも前代未聞の早弾きベースでこのバンドの特異なサウンドづくりに貢献したのがルイズルイス加部だ。

ハーフらしい彫りの深い容貌やスラッとしたスタイルはモデルとしても十分に通用するほど。歌わないミュージシャンとしては異例の人気で、バンド内ではボーカルのデイヴ平尾やマモル・マヌーと同等の存在感を発揮した。

カップス脱退後もチャー、ジョニー吉長とピンククラウドを結成するなどロックシーンの重鎮として活躍している。

第7位『THE ALFEE』

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1974年のデビュー以来、数々のヒット曲を持ち、今なおテレビにコンサートに活躍し続けるTHE ALFEE

キャラクターとしてのインパクトでは高見沢俊彦坂崎幸之助にかなわないものの持ち前の芯のある美声でメインボーカルを担っているのがベーシストの桜井賢だ。

彼というフロントマンが居るからこそ、癖のある個性派の他二人が本領発揮できているということはファンならずとも理解に易いだろう。

第6位『かぐや姫』

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大ヒット曲『神田川』(1973年)を世に送り出し1970年代フォークブームの代表的グループとして知られるかぐや姫。

後追いのファンも多いためどうしてもヒット曲を多数てがけた南こうせつ伊勢正三のイメージが強くなってしまっているが、リアルタイムで触れていた人にとってはコミカルな山田パンダのキャラクターは欠かせない要素に違いない。

かぐや姫浮上のきっかけとなったシングル『僕の胸でおやすみ』(1973年)のソングライターとしてもその功績は大きい。

かぐや姫解散後は音楽活動のかたわらタレントとしても活動。1980年代にはSALLYのプロデュースも手がけている。

第5位『ザ・フォーク・クルセダーズ』

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『帰って来たヨッパライ』(1967年)、『イムジン河』(1968年)など大ヒット曲、話題曲を次々と世に送り出し、1970年前後の若者文化に多大な影響を与えたザ・フォーク・クルセダーズ加藤和彦が音楽的支柱ならば北山修は精神的支柱だ。

ディスクジョッキーを担当したラジオ番組や『戦争を知らない子供たち』(ブロンズ社 1971年)などの著作が支持されたことからもわかるように、彼は当時の悩める若者の代弁者として、並のミュージシャンが及びもつかない強力な発言力を発揮していた。

ボブ・ディランのように、ジョン・レノンのように。

フォーク・クルセダーズ解散後は徐々に精神科医としての活動に移行していったが作詞家として『戦争を知らない子供たち』(ジローズ
1971年)、『花嫁』(はしだのりひことクライマックス 1971年)、『さらば恋人』(堺正章 1971年)など数多くのヒット曲を手がけ、またマイペースで自分自身の音楽活動も継続している。

第4位『YMO』

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洗練されたテクノサウンドで1980年前後の音楽シーンに多大なる影響を与えたYMO坂本龍一の不思議なアイドル性が飛躍に貢献したことは確かだが、そもそものプロジェクトリーダーは細野晴臣

世界に通用するコンセプトを練り上げ、主体的なアーティストとしてはまだ未知数に近かった坂本や高橋幸宏の才能を引き出したのは彼に違いない。

はっぴえんどでの活動や『ガラスの林檎』(松田聖子 1983年)、『禁句』(中森明菜 1983年)『ハイスクールララバイ』(イモ欽トリオ 1981年)など1980年代のヒット曲を多数手がけていることからもわかるように、ポップセンスは天才揃いのYMOの中でも随一。
大きく注目されることはないが、俳優としても『居酒屋兆治』(1983年)などで好演技を見せるマルチタレントだ。

第3位『ザ・タイガース』

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『君だけに愛を』(1968年)、『花の首飾り』(1968年)などの大ヒットでグループサウンズブームの頂点に君臨したザ・タイガース沢田研二のアイドル性や加橋かつみのアーティスト性が語られることが多いが、コンサートでの演目を選曲するなど音楽面でバンドを支えていたのは岸部おさみ(一徳)だ。彼の存在があったからこそタイガースはギリギリのところでロックバンド足り得たと言える。

タイガース解散後はPYG井上尭之バンドを経て俳優に転向するが、その間もレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズに演奏を称賛されたり、後藤次利にベースの手ほどきをするなどミュージシャンとしての足跡は大きい。

近年も日本の演劇界に欠かせない名脇役としてドラマ、映画に出演するかたわら、2013年のザ・タイガース再結成に参加するなど縦横無尽の活躍を見せている。

第2位『キャロル』

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1972年にデビューし、わずか3年弱の活動で日本のロック、ポップスシーンに大きな影響を与えたキャロル。そのフロントマンとしてジョニー大倉と共にスター性をいかんなく発揮したのが矢沢永吉だ。

癖のあるシャウト、ツボをつく作曲センス、主張の強いベースライン、妥協を許さない上昇志向の“成り上がり”マネージメント……世界広しとは言え、ここまで目立って他のメンバーを喰うベーシストは存在しないだろう。そりゃあジョニーならずとも嫌になるはずだ。

キャロル解散後は『時間よ止まれ』(1978年)、『SOMEBODY'S NIGHT』(1989年)などのヒット曲をはなち、ロック歌手として日本有数の大スターに成長。“信者”と呼んでも過言ではない熱狂的なファン層を育て上げ、音楽界で独自の地位を確立している。

第1位『ザ・ドリフターズ』

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『ミヨちゃん』(1969年)、『ドリフのズンドコ節』(1969年)など数々の大ヒット曲や、視聴率50%を超える冠番組『8時だョ!全員集合』で1960年代から1980年代まで国民的スターの地位にあったザ・ドリフターズ。

中でも加藤茶志村けんの二人が突出した人気を獲得していたが、あくまで中心人物はバンドマスターのいかりや長介だった。ドリフのコントはいかりやの「オイッス!」に始まり「だめだこりゃ」に終わる。主にネタを考えるのはいかりや。ギャラの取り分が多いのもいかりや(※6:1:1:1:1という説あり)。バンド内での権力は子供の目から見てもわかるくらい絶大なものだった。

1990年代以降は俳優としての露出が中心になったが、音楽面でも数多くのカントリーバンド、ロカビリーバンドで鍛えたテクニックは一定の評価があり、晩年に出演したキリン・ラガーのCMではアップライトベースを弾く姿が話題となった。

2004年に惜しまれながら亡くなったが、死後も志村にあてたとされるニセ遺書がインターネット上に出回り騒然となるなど大きな影響力を見せつけた。まさに”死せる長介 生ける志村を走らす”である。

バンドによりさまざまなベーシストの姿

いかがだっただろうか。

スター性、アーティスト性、演奏力、人間関係、自己プロデュース力……ベーシストの露出の仕方はバンドによってさまざまな傾向があって非常に興味深い。

今回、惜しくもランクインされなかったザ・トラブルの高橋ジョージ、サディスティック・ミカ・バンドの小原礼、筋肉少女帯の内田雄一郎、横浜銀蝿のTAKU、伝書鳩の荒木とよひさ、THE・EXOTICSの吉田健、XのTAIJIらに関してもまたあらためてご紹介する機会を持ちたいと思う。


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