スキニージーンズで筋肉や神経に障害が起きる?

姿勢によって下肢の循環が悪くなる衣服があります

姿勢によって下肢の循環が悪くなる衣服があります

脚やお尻にピッタリとフィットしスラリと細く見せることができる「スキニ―ジーンズ」。ファッションアイテムとして愛用している女性も多いと思います。

しかし、英医学誌『The Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry(神経学・神経外科学・精神医学ジャーナル)』電子版にてスキニ―ジーンズを履き長時間しゃがむことで、筋肉や神経に障害を来すといった論文が発表されました。

スキニ―ジーンズを履いてしゃがむと脚の付け根や膝の辺りに曲げにくさを感じたり、お尻や太もも部分がきついと思ったことがある人も多いのではないでしょうか。下肢を圧迫する状態が続くと、痛みやしびれなどの症状が出たり、むくんでしまいポッテリとした足のようになってしまうことだってありえます。

身体に良いことだと思っていても逆効果!?

スキニ―ジーンズだけではなく、身体のためにと思って試してみたアイテムによって、痛みやむくみが生じてしまい、どうしていいかわからなくなったという方々が私のところへ来院したケースもあります。

■例:その1  伸縮性の膝サポーター
膝の痛みが気になるため購入した膝用のサポーター。ベルト式ではなく、膝をすっぽり覆うように履くタイプのものでした。膝を冷やさないようにと寝る時も付けたままで、入浴時以外はいつも装着していました。結果、膝関節痛とは別のなんとも言えない痛みと違和感に見舞われることに。サポーターの両端付近はむくんだようにサポーターの跡が残っていました。

■例:その2  むくみをとるための弾性ストッキング

夕方になると足がむくみ、ふくらはぎの疲労感もあるということで、むくみ予防のための弾性ストッキングを試すことに。弾性ストッキングの種類や圧迫の強さを気にせずに選び、足の痛みやしびれ感、冷えた感覚が生じてしまいました。

この他、冬に多いですが、靴下の重ね履きによる圧迫が原因と思われる症状もありました。良かれと思って身に着けてみても、その選択が間違っていると期待する効果も得られず逆効果となってしまいます。

下肢圧迫により考えられる影響とは?

立ち姿勢では体にフィットする衣服であたっとしても、関節を曲げるような姿勢が続いた場合、下肢の圧迫によって次のような影響が考えられます。

  1. 急性コンパートメント症候群になる可能性
    加圧され続けることで、筋組織に悪影響を及ぼすことがあります。脚(下肢)には複数の区分けされた筋肉があり、神経・血管・筋肉は骨や筋膜などに囲まれ4つの区画にわかれています。これをコンパートメントと呼び、この部分の内圧が上昇すると循環障害を起こすことになります。

    怪我や骨折が原因になるケースも多いのですが、強い圧迫などを含め外力によって組織が損傷してしまい、腫脹することが内圧上昇の原因になります。症状は、強い痛み・しびれ・感覚障害・運動障害・下肢蒼白などがあり、医療機関で早期に対処しなくてはならない状態です。

  2. 疲労回復の妨げにも
    コンパートメント症候群ほどの症状がみられなくても、デスクワークで椅子に座っていると、なんとなく下肢にだるさを感じることが多くなったり、立ち上がらないと足の付け根や膝といった関節を曲げる部分に気持ち悪さを感じたりすることがあります。立ち姿勢ではさほどきついと感じることがない衣類(ズボンや下着など)であっても、座ることによって部分的に圧が高まることがあります。

    外から圧のかかった部分は、やはり血液循環が低下する恐れがあります。筋肉への血流の滞りから酸素の供給の低下、疲労物質がたまりやすいといった「筋肉のコリ」を生じやすい状態に陥る可能性が高まります。すると筋肉疲労の回復の妨げともなります。
     
  3. 冷えやすい体になってしまう
    外からの圧迫により、下肢全体、もしくは膝以下、足首以下の血流が滞ってしまうことで脚が冷たくなり「冷え」を招くことになるかもしれません。下肢の中でもふくらはぎの筋肉の働きはとても重要です。心臓の方へ血液を戻し循環させるためのポンプの役割を担っています。

    しかし、圧迫によりふくらはぎのポンプ機能が低下することになると、血液循環が悪くなり足の冷えやむくみの原因となってしまいます。それにより、ふくらはぎを始め下肢の筋肉の過度な緊張を生じると、足首や膝関節などの不安定性にもつながり関節周りの冷え感や関節痛に見舞われることもあります。

下肢の圧迫による影響をどのように予防する?

圧迫感を感じる服を着た日はマッサージでのケアも有効です

圧迫感を感じる服を着た日はマッサージでのケアも有効です

  1. 自分に合った衣服のサイズを選ぶ
    スタイルを細く見せようと、ちょっと無理をして小さめのサイズに挑戦するといったことは避けましょう。サイズが合っている衣服であっても基本的には身動きが取れやすく、椅子に座る・しゃがむなど関節を曲げた時に不快感のないものを選ぶことが大切です。

  2. 身に着ける時間、予定を考えてみる
    スキニ―ジーンズのような身体にピッタリとフィットするもので「キツイけど履きたい!」という人は、毎日同じようなタイプのものを履くのは避けましょう。友達とカフェでおしゃべりをする、といった長時間座り姿勢(関節を曲げる状態が続く)が続く可能性がある場合は、なるべくゆったりとした服を着る方が安心です。

  3. 着る時間帯も考えてみる
    朝に外出、といった場合は難しいかと思いますが、夕方は筋肉疲労とともに下肢がむくみやすくなる人も少なくありません。もし、午後から外出する、といった場合は圧迫の強い着衣は避けたほうが無難です。

  4. 帰宅したら早めに脱ぐ
    履いてすぐにキツイと感じても、買い物などで周りに気を取られていると慣れてくる場合も多いかと思います。ですが、帰宅して着替えてみると思っていた以上に体に負担をかけていたことに気付くはずです。圧迫の強い服を着た日は、なるべく早めに体を解放してあげましょう。

  5. 体を大きく動かす
    圧迫の強い服や下着をつけていると、関節の可動域を無意識のうちに狭めている可能性があります。また、物理的に筋肉の血流も滞りがちになるため、関節を大きく動かし、筋肉もしっかりと動かすようなエクササイズをしましょう。

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