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2015年7月のオススメ展覧会・美術展(3ページ目)

東京国立近代美術館(竹橋)のNo Museum, No Life?―これからの美術館事典、国立西洋美術館(上野)のボルドー展―美と陶酔の都へ―、特別展 三井記念美術館(三越前)の春信一番! 写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展、ワタリウム美術館(外苑前)の「古今東西100人展」、金沢21世紀美術館(石川県金沢市)のザ・コンテンポラリー1「われらの時代:ポスト工業化社会の美術」を紹介します。

浦島 茂世

執筆者:浦島 茂世

美術館ガイド

浮世絵の歩みを一気に辿る
三井記念美術館(三越前):錦絵誕生250年 春信一番! 写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展

鈴木春信「やつし芦葉達磨」(1765~67年ごろ) Philadelphia Museum of Art Gift of Mrs. Emile Geyelin in memory of Anne Hampton Barnes, 1960

鈴木春信「やつし芦葉達磨」(1765~67年ごろ) Philadelphia Museum of Art Gift of Mrs. Emile Geyelin in memory of Anne Hampton Barnes, 1960



人々の日常生活や、風俗をいきいきと描き出した浮世絵。江戸時代に誕生した浮世絵は、当初は肉筆画(絵師が筆で直接、布や紙に描いた絵)が中心でしたが、人気が高まるにつれて版画作品が増加。さらに木版多色刷の「錦絵」へと進化を遂げていきました。絵師、彫師、摺師らが一体となって創り上げる錦絵の美しさは、江戸のみならず世界中の人々を感動させ、ヨーロッパでは印象派誕生の布石となっていったのです。

この錦絵の誕生に密接に関わっているのが鈴木春信。いまからちょうど250年前の明和2年(1765年)、独特の淡い色合いのなかにたたずむ、可憐な女性が印象的な錦絵を世に出し、たちまちのうちに人気となっていきました。

時代が進むに連れ、錦絵を手がける絵師たちは個性を発揮し始め、鳥居清長や喜多川歌麿、そして大首絵と呼ばれるバストアップの錦絵で一斉を風靡した東洲斎写楽などが登場。さらに時代が進み、北斎や広重など、浮世絵で風景画を表す絵師も台頭していくのです。

東洲斎写楽 三代目大谷鬼次の江戸兵衛  大判錦絵 寛政6年(1794) フィラデルフィア美術館蔵 Philadelphia Museum of Art: The Samuel S. White 3rd and Vera White Collection,1956

東洲斎写楽 三代目大谷鬼次の江戸兵衛 大判錦絵 寛政6年(1794) フィラデルフィア美術館蔵 Philadelphia Museum of Art: The Samuel S. White 3rd and Vera White Collection,1956



この展覧会は、アメリカのペンシルベニア州にあるフィラデルフィア美術館の浮世絵コレクションをもとに、この250年以上の歴史をもつ浮世絵の流れをたどるというもの。とくに、春信の作品は保存状態がよく、目を見張る美しさ。実物でないとわからない絶妙な発色は必見。さらに、東洲斎写楽の大首絵10点も勢揃い。浮世絵の歴史を俯瞰できる楽しい展覧会です。ふだん、あまり鑑賞の機会がない上方浮世絵(関西で描かれた独自な様式の浮世絵)がみられるのもうれしい。


■展覧会DATA
展覧会名称: 特別展 錦絵誕生250年 春信一番! 写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展
会場:三井記念美術館
会期:6月20日(土) ~8月16日(日)
開館時間:10:00~17:00
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
※7月20日(月・祝は開館) 7月21日(火) は休館
Web: http://pma2015.jp/

次のページでは ワタリウム美術館(外苑前):「古今東西100人展」アイ・ラブ・アート 13 ワタリウム美術館コレクション を紹介します。


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