子どものつらい気持ちをしっかりと受け止めて、支えましょう
突然始まったいじめに、ワケがわからず、戸惑いと悲しみと怒りの中に突然つき落とされた我が子に、親としてどんな言葉を伝えられるでしょうか。親からのNGワードについても考えます。
1) 「いじめは暴力」
いじめは、クラスやグループなど一定の人間関係のある「同一集団内」で、身体的あるいは数の上で「優位に立つ側」から、心理的・物理的な「継続的な攻撃」を受けることにより、相手が「精神的な苦痛」を感じているもの、と定義されています。つまり、「力の差を利用した、継続的な暴力」なのです。
「からかっている」「ふざけている」つもりだったとしても、嫌がっている相手に継続的に苦痛を与えていれば、それはいじめです。意図的だったかどうかは、関係ありません。
いじめの種類は、「叩く、蹴る、小突く」などの身体的な暴力行為が伴うものと、「仲間外れにする、無視する、陰口を言う、笑いものにする」といった、暴力行為が伴わないものの、大きく2つに分かれます。
「仲間外れ、無視、陰口」といった行為は、もっとも典型的ないじめです。誰にでも簡単に実行できる「ささいな行為」をしつこく繰り返すことで、被害者に大きな精神的苦痛を与えることができるため、死に至らしめる深刻ないじめにもなり得ます。
これらは、家の中で起こればDVや虐待にあたりますし、職場で起こればパワハラやモラハラです。
親はまず、「話してくれてよかった」と、勇気をねぎらい、戸惑いや悲しみや怒りに共感し、はっきりと「いじめは暴力だ」と伝えましょう。
NGワード:
×「気にしすぎじゃない」……つらさを否定し、いじめ被害を矮小化します
×「ふざけていただけかも」……加害者の肩を持つことになります
2) 「あなたは悪くない」
これはあらゆる差別や暴力に言えることですが、被害者には落ち度も責任もありません。加害者はあれこれ自分の暴力を正当化しますが、暴力は「振るった方が悪い」のです。「いじめる側が悪い」ということは、しっかりと共有しましょう。突然暴力を受けたり、無視されたりし始めると、いじめられる側は「自分が何かしたのだろうか」と不安になります。私たちの中には「因果応報」とか「自業自得」とか、物事には原因があって結果がある、あってほしいと思う傾向があります。原因がわかればそこを改善すればいいので希望が見えるからです。心当たりがないことや、理不尽なことに耐えるのは、非常にきついことなのです。
また、好きだった友達が、自分をいじめることで憂さ晴らしをしているとか、自分を妬んで陥れようとしていると考えるのは、自分に原因があると思うよりもつらいことかもしれませんよね。
しかし、人にはいいところもあれば悪いところもあります。弱さもあります。両面を受け入れ、友達とは何かと考えたり、相手との適度な距離感を見つけていくことも成長です。
相手の気に障ることを言ったりしたりしたのだとしても、いじめという暴力を受けるいわれはないのです。「あなたは悪くない」と、繰り返し伝えてあげましょう。
NGワード:
×「あなたも悪かったんじゃない」……被害者を責め、暴力を容認することになります
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