老後に向けての資産管理のポイントを教えてください

老後のお金をどう作る?

老後のお金をどう作る?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、積極的に資産運用をする、求職中の50歳の女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)


■相談者
ベティさん(仮名)
女性/求職中/50歳
東北地方/持ち家一戸建て

■家族構成
独身、一人暮らし

■相談内容
現在、就職活動中(勤務先倒産し失業手当受給中)で保険料含め家計の見直し検討中。証券会社の言いなりに資産運用した結果、バランスが悪い印象です。将来の老後に向けて、年金などの資産運用管理をどうしたらよいでしょうか? もう冒険ができる年齢ではないので、固定した資産形成に変えていきたい(個別銘柄のキユーピーやカゴメなど)。また、現在入っている医療保険ですが、どうでしょうか?

■家計収支データ
ベティさんの家計収支データ

ベティさんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)保険料1万4000円の内訳と相談者の考え
・本人/医療(終身、入院2万5000円、死亡50万円)=保険料1万125円
・本人/がん(終身、入院1万円)=保険料3891円
[本人としては……]
<1>80歳払い込みを65歳か60歳で払い込みとし精神的ストレスを感じたくない
<2>差額ベッド代を考慮し、入院1万円程度、他に通院保障など、生存中に特化したものがいいと思っている
<3>個人の介護保険等は必要でしょうか? 

(2)投資の内訳
<投資信託/720万円>
●海外リート投信/283万円(プラス191万円)
●Jリート/303万円(プラス20万円)
●外国株投信A/72万円(マイナス7万円)
●外国株投信B/62万円(プラス5万円)
<投資信託・NISA枠/76万円>
●日経225インデックスファンド:4万円(プラス5000円)
●バランス型投信30万円(マイナス5000円)
●外国株投信C/42万円(プラス2万6000円)
<その他/274万円>
○海外エネルギー関連社債 : 100万(マイナス6万円)
○外国株 : スターバックス:50株 56万円
○外国債券118万円
★ファンドラップ500万円
☆証券会社の社債100万円(0.81%今月満期)

(4)前職の収入と求職について
前職の収入は、給与27万円、ボーナス年間100万円。求職では、給与18万円ボーナス60万円を条件としている。それで65歳までは働くことを希望。不足分は体を壊さない程度、バイトで稼こうかとも考え中(月6万円位)。また、技術職のため、もし希望の就職先が見つからなければ、フリーで年360万円くらいの収入は確保できるとのこと。

(5)年金について
・厚生年金に加入していた時期/約330月
・年金便に記載されている支給額/64歳~年27万2500円、65歳~79万9200円

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 利益確定をしながら投資割合を減らしていく
アドバイス2 勉強しながら自分で投資商品を選ぼう
アドバイス3 「保険に頼らない」という発想も大切
 

アドバイス1 利益確定をしながら投資割合を減らしていく

ご相談の資産運用およびその管理については、現在、求職中ということですから、投資に向き合う時間も持てると思います。それを利用して、投資商品を整理していきましょう。

その理由は2つあります。ひとつは、今後の進路、働き方がまだ決まっていない状態ですので、投資リスクは抑えておきたいということ。もうひとつは、相談者のベティさんが「証券会社の言いなり」と言われているように、バランスの取れた投資内容とは言い難い印象です。したがって、自分に合った投資を今後していくためにも、ここで一度リセットしておくことが必要だからです。

具体的には、利益が出ているものは順次売却していく。とくに海外リートは3.5倍にも上がっているので、ここで利益確定してもいいでしょう。もっと上がるのではという思いもあるでしょうが、同じ商品を買い直す機会は今後まだいくらでもあります。

また、利用されているファンドラップ口座は、最近人気が高まっていますが、毎年、預入資産残高の3%前後のコストが発生するのがネック。したがって、それに見合った利益、サービス(投資配分の見直しなど)を得られるかどうかを見極めることが大切になってきます。少なくとも「お任せ感覚」で安易に利用することは、おすすめできません。
 

アドバイス2 勉強しながら自分で投資商品を選ぼう

実際にどういう働き方をするかで、今後の資産運用の方向性が変わってきます。希望する就職ができたのであれば、全資産の50%前後を投資に回しても問題ないでしょう。

一方、フリーになる可能性もあるとのことですので、そうなればやはり投資比率は抑えていくべき。収入が安定しない可能性がある分、多くのリスクは取れません。資産の25%程度、多くても35%以下が望ましいと思います。

また、投資金額に関係なく、先のファンドラップでも触れましたが、投資コストを意識することが、とくに個人投資家には大切。おそらく、ベティさんは店頭取引で投資をされていると思います。そのメリットもあると思いますが、今後はコストが割安なネット証券を利用していく方が賢明だと考えます。

ネット証券であれば、投資商品の選択や売買のタイミングなど、より勉強が必要になってきますが、結果的にそれが、その後のベティさんの役に立つはずです。スタートはETFやインデックスファンド、バランス型のファンドなどで構いません。キユーピーやカゴメといった個別銘柄の名前を挙げていましたが、タイミングを見て買ってもいいと思います。要は焦らず、勉強しながら、自分のペースで投資をしていくということです。
 

アドバイス3 「保険に頼らない」という発想も大切

保険についてのご相談ですが、まず、現在入られている医療保険について支払い期間80歳までを、60歳もしくは65歳にしたいとのこと。保険料は当然割高になりますが、それで安心感を得られるのであれば、いいと思います。

ただし、現在加入されている医療保険をどういう基準で選ばれたのかはわかりませんが、入院給付金だけで考えれば、おっしゃるとおり、日額2万5000円は過大(がん保険も加えれば3万5000円)。結果、保険料も割高になっています。多くても1万円を目安にされてはどうでしょう。

また、介護保険についてですが、無理に加入する必要はないと思います。これは医療保険にも言えることですが、介護費用にしろ、医療費にしろ、貯蓄があればそれでカバーできます。とくに医療費に関しては、入院そのものも短期化傾向にあり、健康保険による高額療養費制度も利用できます。多くの場合、自己負担額は貯蓄でまかなえる範囲とも言えるのです。

ベティさんの家計を見る限り、失業保険の範囲内でやりくりされている。つまりは、しっかり家計管理ができる人ですから、就職もしくはフリーになって収入が増えれば、貯蓄ペースもグンと上がっていくはず。さらに、現時点でもまとまった資金があり、公的年金もしっかり受給できることでしょう。

心配だからと何でも保険に頼らず、いざというときは貯蓄を使うという発想があってもいいと思います。
 

ベティさんから寄せられた感想

この度は私の悩みをご採用頂き有難うございました。一大決心をし悩み相談をした甲斐がありました。FPの深野康彦先生には、「ピンチをチャンスに!」というメッセージを頂けたと感じました。特にアドバイス3の「保険に頼らない」という発想もありというのが、目から鱗でした。逆境だからこそできる自分の投資スタイルの学び直しですよね。知恵と勇気を持ってたくましく生きていけそうです。焦らず、自分のペースでとのお言葉にも貴重な気づきを頂きました。今回は本当に有難うございました!


教えてくれたのは……
 
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深野 康彦さん

業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。




取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

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