投資信託/投資信託(ファンド)の基礎を学ぼう

投資信託の「純資産残高」、その意味は?

投資信託協会が2015年6月11日に公表した統計によると、公社債投資信託やETFなどを足し合わせた公募投資信託全体の純資産残高は5月末時点で102兆円と、初めて100兆円の大台を突破しました。今回は、この「純資産残高」について解説します。

篠田 尚子

執筆者:篠田 尚子

投資信託ガイド

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 運用成績と深い関係

投信でチェックしたいポイント

投信でチェックしたいポイント

純資産残高とは、投資信託の規模を表す数字ことです。具体的には、投資信託を運用する運用会社(投信委託会社)が以下の3つのステップに従って毎営業日算出しています。

  1. 投資信託に組み入れられている株式や債券を時価評価する。
  2. 1に債券の利息や株式の配当金などの収入を足す。
  3. 2から、ファンドの運用に必要なコストを差し引く。

こうして算出された純資産残高は、運用会社各社がホームページで公表しているほか、投資信託協会のホームページでも確認することができます。一見すると投信の規模を表す純資産残高と投資信託の運用成績にはあまり関係がなさそうですが、投資信託を選ぶ際の指標として純資産残高はとても重要な意味を持ちます。

大きすぎても小さすぎてもダメ

投資信託の純資産残高は、1)運用成績と2)資金流出入、双方の影響を受けます。つまり、運用成績が良好で投資家からの人気も高ければ、残高は積み上がります。一方、運用成績が良くても恒常的な資金流出に見舞われていたり、人気が高くても運用成績が振るわなかったりという場合、残高は減少します。

残高の規模は大きければ良いというわけではありませんが、小さすぎるのも良くありません。特に、恒常的に残高が減少し続けている投資信託は、コスト効率が悪化し運用に支障をきたすことがあります。このため、純資産残高が一定水準を割り込むと、運用会社によっては繰上償還(強制的に投信の運用を終了する)に踏み切るケースもあります。

目論見書上に明記されている一般的な繰上償還の条件は、「一定の受益権口数(残高)を下回り、今後も口数の増加が見込めない場合」で、残高の最低ラインは10億円(口)から30億円(口)に設定されていることが多くなっています。残高の規模が小さい投信については、目論見書上の繰上償還の条件を確認した上で購入を検討してください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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