駅前にはガンダム像、
歩くと碁盤の目状の道の不思議

ガンダム像

想像していたよりもコンパクトなガンダム像。駅敷地内にあり、背後には交番(クリックで拡大)

駅を降りて、まず、おやっと思うのが駅前の立つ機動戦士ガンダムのモニュメント。2008年に建てられたこの像は多数のアニメーション関連会社が集まる上井草エリアをアニメのまちとして振興するためのもの。2006年以降、上井草商店街振興組合が署名を募り、区に要望書を出し、さらに同作品の版権を持つ株式会社サンライズ、設置場所を提供した西武鉄道の協力を得て実現した結果で、現在は同駅の発車メロディも同作品のものなのだそうです。また、青梅街道の南側には杉並アニメーションミュージアムもあります。


 
碁盤の目状の道

坂を下って、上る道のまっすぐさ、広さがお分かりいただけるだろうか。こうした通りが南に向かって何本か走っている(クリックで拡大)

歩き始めて気づくのは商店街付近から南に向かっては見通しが良く、広い一直線の道路が多いということ。駅から南には、かつて西武新宿線と一部並行するように流れていた妙正寺川の支流井草川が作った低地があり、駅から南へは坂があるのですが、道はその坂を超えてまっすぐに伸びているのです。

 

碁盤の目

商店街のホームページにあった解説図。ホームページ自体も丁寧に作られており、店の数は90店とそれほど多くはないものの、頑張っていることが分かる(クリックで拡大)

駅のすぐ近くにその不思議な、碁盤上の道を解説する掲示がありました。それによると、このエリアでは関東大震災後の人口増の時代に周囲に先駆けて区画整理が行われており、整然とした道路配置はその結果。もっとも、区画整理を推進した当時の井荻村の村長だった内田秀五郎さんは農業振興を念頭に置いていたそうですが、結果としては良好な住環境づくりに貢献したことになります。区画整理完成は1935年(昭和10年)です。

 

井草川遊歩道に緑の街並み、
台地上には井草八幡宮が

遊歩道

遊歩道沿いには桜が植えられているところもあり、気持ちが良い空間(クリックで拡大)

駅から見ると地形の底にあたる場所には暗渠化した井草川を利用した遊歩道が作られています。緩やかに蛇行する遊歩道にはベンチが置かれていたり、公園の中を抜ける道になっていたりと変化があり、濃い緑も楽しめる散歩道となっています。

 

緑に包まれた家

緑に包まれたような建物も。ここはカフェ併設の文具店(クリックで拡大)

緑といえば、上井草では遊歩道や駅、学校などの公共施設の回りだけでなく、住宅周辺の緑も目につくところ。近郊農村だったこのエリアの雑木林は10数年周期で薪を取るために伐採を繰り返すというやり方で使われてきました。切った切株からはヒコバエが伸び、やがて、ひとつの根株から複数の幹が出る樹形が生まれます。これを株立ちというのだそうで、上井草では地域の歴史の則った株立ちの樹形で街並みを作ろうという運動があり、それが街のあちこちで見かける緑。わずか50センチの幅があれば植えられ、和風住宅はもちろん、洋風住宅にも合うのだそうで、そうしたものに目をつけた知恵に驚かされます。

 

生産緑地

特に駅の北側には広大な生産緑地が広がっていた。森と思ったら一戸建ての敷地ということも(クリックで拡大)

駅周辺も含め、農地が多いのも特徴。杉並区というと都会の印象がありますが、この街だけを見ていると、それがイメージに過ぎないことがよく分かります。

 

井草八幡宮

通りから見ているよりもはるかに広大な敷地、壮麗な本殿があり、由緒ある社であることが分かる(クリックで拡大)

駅から井草川の刻んだ谷を下り、上ったところにあるのが井草八幡宮。善福寺川を見下ろす台地の端にあたり、青梅街道と早稲田通りの交差点近くに建つ大きな灯篭と鳥居が目印。かつて奥州征伐に向かう源頼朝が戦勝祈願に立ち寄ったたとされ、室町時代には、豊島氏征伐に向かう太田道灌が戦勝祈願をしたとも。初詣はもちろん、毎年秋の例大祭には多くの露店が並び、それは盛況。上井草周辺の古くからの住民の多くは井草八幡宮の氏子だそうです。

北側には知る人ぞ知る、いわさきちひろ美術館。
プロ野球球団の数奇な歴史も

いわさきちひろ美術館

ここも緑の中にあるいわさきちひろ美術館。現在は長野にも分館がある(クリックで拡大)

駅の北側にも知る人ぞ知る、小さな美術館があります。長らくこの地に住んだ画家、絵本作家いわさきちひろの美術館です。展示室だけでなく、こどものへや、図書室、絵本カフェなども併設されており、大人も楽しめる場となっており、駅からは歩いて7分ほど。のんびりした住宅街を抜けていきます。

 
駅の掲示

アニメだけでなく、ラグビーのまちとしてもアピールしていきたいようだ(クリックで拡大)

また、駅のすぐ近くには2002年に東伏見から移転してきた早稲田大学のラグビー部のグラウンドがあり、隣接地には上井草スポーツセンターがあります。上井草スポーツセンターはかつてプロ野球黎明期に創設された7球団のうちのひとつ、東京セネタースの本拠地があったところで、その後、都に寄付され、貯水施設建設のために廃止されたものの、貯水施設の上に野球グラウンド、テニスコートなどが整備され、1967年に上井草総合運動場として再スタート。杉並区への移管を経て、現在は民間が管理をしています。様々なスポーツが楽しめる、都内でも有数の規模を持つスポーツ施設で、練馬区に住んでいた私も子どもの頃に通った記憶があります。

 

ちなみに東京セネタースは有馬記念で知られる筑後久留米藩主末裔の有馬頼寧伯爵と旧西武鉄道(現在の西武新宿線)が共同出資で作った球団で、シンボルマークはライオン。その後、この球団は九州に渡り、西鉄ライオンズとなり、さらにそれが回りまわって埼玉西武ライオンズに。不思議な歴史です。

続いては気になる住宅の価格を見ていきましょう。

マンションは新築・中古ともに少ない、
新築建売一戸建ては5000万円前後


マンション

駅の北側、青梅街道に向かう通り沿いなどに多少マンションは点在しているものの、それほど多くはないのが歩いてみればすぐ分かる(クリックで拡大)

古くから区画整理がされてきたため、住宅としての開発も早く、そのため、現在では大きな住宅用地はほとんどありません。広い土地を必要とするマンションは新築、中古ともに非常に少なく、築10年以内の新しい物件もほとんど供給されないのが現状。多少、今後ともに可能性があるとしたら、隣接する練馬区下石神井町あたり。駅の北側はすぐに練馬区になっているところもあるので、距離としてそれほど遠いわけではありませんが、自治体が違えばサービスが異なってくることも多々。そのあたりを考えた上で選択する必要があるでしょう。

 

商店街

一般にマンションを選ぶ人は利便性を気にするが、残念なことにこの街では駅の東西南北に商店街があるものの、それほど利便性が高いというほどではない(クリックで拡大)

中古マンションでは築10数年以上の物件が多く80平米、90平米という広い物件もありますが、とにかく数が少ない。価格は築10数年、80平米で4500万円から5000万円手前くらい。練馬区、杉並区で比べると杉並区のほうが高めです。

 

一戸建て建設現場

駅から10分以上離れると複数棟の建設が行われている現場なども少なくない様子(クリックで拡大)

新築建売一戸建ては土地面積70平米ほどの3LDKで5000万円前後。建築条件付の土地の供給もあります。土地、住宅が共に売られているエリアの場合、注目したいのは価格差。4000万円の土地が売られているすぐ近くで4500万円の建売一戸建てが売られているとしたら、その建物の価格は一体、いくらになる計算でしょう?よく比較検討した上で購入を考えるようにしてみてください。

 

アパート

賃貸住宅も大きなマンションより、戸数の小さいアパートが目についた(クリックで拡大)

賃貸はワンルームマンションで6万円前後、2DKで10万円前後、3DKになると12万円くらいというのが目安で、アパートの場合もそれほど安くはなりません。いわゆる木造の古い物件が少ないためと思われ、意外に新しめの物件が多いのです。

 

公園の子どもたち

公園や路上などで遊んでいる子どもの姿をあちこちで見かけた。通りを除けば交通量が少なく、静かなので安心して遊べるということなのだろうか。子育て世帯にはうれしいポイントではないかと思う(クリックで拡大)

西武新宿から約20分。東京メトロ東西線の利用できる高田馬場を利用すれば都心にも近い街、上井草。静かで何もない場所のように思えますが、歩いてみると意外に歴史があり、自然があり、最近ではしゃれたカフェなども。夜中の利便性を求める人に不向きかもしれませんが、自然を感じる暮らしを志向するなら一度歩いてみても良い街でしょう。



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