プロの目利きの社会役割
意外なことに、人は自分の不満や不便さについてあまり的確に認識していない。何かが不便だと感じていても、それが何なのかがわからない場合が多い。不満や不便を自覚していなければ、商品やサービスにも自力で目が行かない。本人も気づいていないこうした不満や不便を掘り起こすのに成功した事例として代表的なのはジャパネットたかたであろう。
それまでの通販会社は、メーカー側が売り込んできたものの宣伝を請け負うかたちが主流だったが、ジャパネットの場合、画面を通して提案するのは商品の宣伝ではなく、人々のもつ不満や不便の「解決策」である。
それまで雲をつかむかのようだった不満や不便さの実体が明確化され、それにジャストミートする形で解決策を提案されれば、目利きが推奨する商品を解決の手段として使ってみたいと思うのは自然である。
ビジネスのありかたを変える可能性
このように、目利きは、相談相手や悩み解決のパートナーの役割も間接的に担っていると言える。増えすぎた情報に埋もれ、商品やサービスそのものを人がますます判断し切れなくなっていく今後、目利きの役割はさらに増大するはずだ。
場合によっては、商品やサービスの品質そのものより、目利きの信用がビジネスの成否を決定づけるケースも増えてくることは十分にあると言えるだろう。