結婚・子育て資金を非課税で1000万円まで贈与可能
結婚・子育て資金の非課税に該当するものは何?
本題に入る前に、注意点をお伝えしておきましょう。途中で相続が発生して使い残しがあると、相続税がかかってしまいます。この制度を利用せず必要な都度贈与をしたのと節税効果は変わらないため、相続税の節税には効果はあまり無いといえます。
非課税の対象になるか否か? ポイントは2つ
何が非課税の対象か否かは後述しますが、先に押さえておきたいポイントを説明します。●結婚関係(婚礼・引っ越し・家賃):300万円まで
婚礼・引っ越しについては入籍の前後1年間に支払われたもの、家賃については入籍の前後1年間に契約かつ契約時から3年分が対象です。籍は入れておきましょう。
ただし、配偶者のための費用は対象外。例えば妻が贈与された資金を夫名義で契約したアパートの家賃に充てるのはダメです。
●子育て関係(出産とその前後の費用・医療費・育児費):1000万円まで
出産とその前後の費用については、未婚でも対象です(配偶者に係る費用の場合は入籍していることが用件)。また不妊治療は男女の区別なく対象です。
ただし、医療費や育児費は小学校就学前の子に限られるため、使える期間は実は短いといえます。
結婚関係で対象となるもの・ならないもの
非課税の対象となるものとならないものの例を見てみましょう。●婚礼関係
・結婚情報サービスなどの婚活費用はNG
・両家の顔合わせや結納、婚約・結婚指輪はNG
・挙式や披露宴に関する費用(招待状、会場、衣装、飲食、引き出物、装飾、演出、人件費、二次会など)はOK
・挙式や披露宴のためとはいえ、エステ代、交通費(海外渡航費含む)、宿泊代はNG
・新婚旅行代はNG(海外挙式は挙式と披露宴の分だけOK)
●結婚を機に新たな物件へ引っ越しする場合
・引っ越し業者への費用はOK、自ら借りたレンタカー代や友人等の手伝い費はNG
・業者への支払いでも、不用品の処分代はNG
●結婚を機に新たに物件を賃貸する場合
・賃料、敷金、礼金、共益費、仲介手数料、契約更新料などはOK
・社宅の賃料は契約者=受贈者ならOK、契約者=会社や配偶者ならNG
・家賃とは別契約の駐車場代、地代はNG
・光熱費、家具や家電の購入費用はNG
子育て関係で対象となるもの・ならないもの
次に、非課税の対象となるものとならないものの例を見てみましょう。●不妊治療
・人工授精、体外受精、顕微授精、そのほか一般的な不妊治療費はOK
・遠隔地や海外渡航費、宿泊費はNG
●妊婦健診
・母子保健法に基づく妊婦健診の費用はOK
・遠隔地や海外渡航費、宿泊費はNG
●出産
・正常分べん、死産、流産の別を問わず、入院から退院までに要した費用(入院中の食事代含む)はOK
病・院までの交通費、海外で出産する際の宿泊費はNG
●産後ケア
・産後1年以内の産後ケアはデイケア型、宿泊型ともに(6泊分または7回分まで)OK
・病院までの交通費、海外で産後ケアする際の宿泊費はNG
●受贈者(贈与を受ける人)の子に要した医療費
・治療費、予防接種代、乳幼児健診、処方せんに基づいた医薬品代はOK
・処方せんに基づかない医薬品代、交通費はNG
●受贈者の子に要した育児費
・入園のための検定料、入園料、保育料、ベビーシッター代、施設設備費はOK
・在園証明手数料、子の行事参加費用、食事の提供に係る費用、その他育児にともなう必要な費用はOK
・行事参加費用の保護者分などはNG
教育資金贈与の非課税枠との併用も
育児費の非課税対象については、先にスタートした教育資金の非課税対象と重複するものがあります。結婚・子育て資金の一括贈与で育児に使える期間は小学校就学前までと短いため、両方の制度を利用する場合(子に結婚・子育て資金、孫に教育資金)は、重複する費用は結婚・子育て資金の一括贈与のほうで非課税を受けましょう。その分、教育資金の非課税の枠が広がることになります。【関連記事】
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