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人はそれを”怪演”と呼ぶ 豹変を見せる俳優たち(2ページ目)

鬼気迫る白熱の演技に、手に汗握ることがあります。そんな演技を”怪演”と呼ぶことがあります。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

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声に揺るぎない魂を込める 武田鉄矢

武田鉄矢の声にブルッとさせられることがあります。表情は変わらないのに、聞こえる声にただならぬ強さを感じます。金八先生の厳しくも誰よりも温かかった声とは正反対の熱量です。

『ストロベリーナイト』に登場するベテラン刑事ガンテツや、『リミット-刑事の現場2-』での孤高の刑事・梅木拳の声がそれです。その声は容赦なく相手を切り付けます。

眉間にしわを寄せ、鋭い目つきで相手に迫りますが、視聴者はその声にまず圧倒されるのではないでしょうか。たとえ社会のルールから逸脱した方法でも、直視できない現実に立ち向かう強さを”声”は持っています。言葉に込められた魂は怖いながらも説得力を帯びています。武田鉄矢の怪演を成立させる声に、これからも注目したいと思います。


澄んだ心と濁った心のアンバランスを見せる 堀内敬子

劇団四季時代の透明感を透明なまま悪意に投影させるかのような堀内敬子の演技に聖なる怪演を見ることがあります。『相棒』シーズン9の『監察対象 杉下右京』では、杉下右京を追いつめました。ひと癖もふた癖もある監察官は甘さを残しながら釈然としない正論を進行させます。

現在放映中の『ようこそ、わが家へ』は、コミカルでほんわかした雰囲気とサスペンスのゾクゾクした空気が共存し、視聴者を楽しませていますが、ここでも彼女の本領は発揮されています。ほんわかムードの倉田家に対し、緊迫感ある演技でスパイスを効かせているのが、彼女が演じるお母さんの友人・下村民子です。ジワリジワリと進行する主婦の狂気がドラマを盛り上げました。


負の予感を充満させていく 風間俊介

圧倒的な存在感を見せることもあれば、いるかいないかがわからないくらい自らの存在を打ち消すこともあります。風間俊介の演技は、現実とまどろみのなかを行き来するようです。

風間俊介が登場すると、嫌な予感がします。きっと何か起こる。このままでは終わらない。何とは言えない違和感。どこか無理しているような表情。心の中で常にくすぶっている負の火種を感じずにはいられません。それこそが彼の巧さと言えます。

『それでも、生きてゆく』で演じた加害者少年に、視聴者は常に嫌な予感を抱きました。緻密も荒削りも表現できる彼は人間の二面性を究極のカタチで演じる精到な俳優と言えます。

俳優たちの何が怪演を可能にしているのか、まだまだ謎は深く興味は尽きません。怪演がドラマを数十倍、数百倍と面白くしていることは間違いなさそうです。
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