アドバイス1 まずは相続については兄弟間で早めに相談をすべき
将来的にはマンションを購入したいとのこと。そこでまず、クリアにしておきたいのがご実家の相続です。相談者である睦月さんの年齢からして、ご両親の年齢は80歳近いはず。今はお元気でも、いつ相続が現実の問題となってもおかしくはありません。たとえば、土地家屋の固定資産税は新たに相続した人に対して発生します。また一戸建ての場合、築年数が古くて更地にするとなれば、その費用は数百万円の単位となります。
確かに相続はデリケートな問題です。しかし、そういう事態になったときに慌てないよう、少なくとも妹さんと弟さんの3人で話し合いは始めるべきでしょう。
そして、場合によっては。睦月さん自身がご実家を相続する可能性もあるはずです。そう考えれば、睦月さんがマンションを購入するかどうかについては、相続の方向性が決まった後に考える方が、無駄がないことになります。
アドバイス2 息子をいち早く独立させよう
仮にマンション購入となった場合、当然、住宅資金が必要です。相続の際に、少なからず遺産を手にするかもしれません。しかし、その時期も額もまだ不確定なのですから、とりあえず、住宅資金は貯めていく必要があります。睦月さん自身が目標としている「5年後に貯蓄300万円」は、マンション購入を実現させるには、最低限クリアしないといけない金額でしょう。家計を見る限り、節約や工夫もされていて、よく管理されていると思います。気になるとすれば、水道光熱費と通信費でしょう。おそらく、求職中の息子さんと同居されていることで、この金額になっていると思います。
逆の見方をすれば、息子さんにはいち早く新しい職場を見つけ、独立してもらう。あるいは、同居するならば、収入を得て、もっと家にお金を入れてもらう。そういうことがなければ、これ以上の家計改善は、難しいと言わざるを得ません。
奨学金を抱えているということで、息子さんをいろいろ手助けしたい気持ちは理解できます。しかし、貯蓄できず、自分の老後が資金的に厳しくなれば、結果的にお子さんたちの負担になります。家族全員がしっかり収入を得て、貯蓄もできるということをぜひ目指してください。
また、将来的にマンションを購入するにしても、それまでの間、ご両親と同居するという選択肢はないのでしょうか。
家賃が減り、食費や水道光熱費など、その他の生活費についても同居するメリットは少なくありません。もちろん、諸事情があって同居されていないと思いますが、今後を考え、検討してみる価値はあると思います。
アドバイス3 35年先の医療保障よりも今の貯蓄が大切
最後に保険について。とくに医療保障の見直しを検討されていて、その理由として「保険期間が85歳までなのが不安」とのこと。結論から言えば、保険料が大きく上がってしまうような見直しであれば、現時点では必要はありません。
日本人女性の平均寿命を考えれば、睦月さんが85歳以上生きる確率は高いでしょう。しかし、それは35年も先の話です。そのための保障を確保することで、最優先とすべき貯蓄ペースが落ちるのは、問題があります。現時点で、必要最小限の死亡保障と医療保障を月3000円で確保できているのですから、それで良しとすべきでしょう。
ただ、加入されている共済は、同じ掛け金で65歳以降も継続する場合は、入院給付が減額となります。そこが心配であれば、まずはこのまま継続し、ある程度貯蓄ペースが上がってきたら、新たに終身保障の医療保険を検討されてはどうでしょうか。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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