シャープ増資が株価に与える影響
個人投資家にとって気になるのは、今回の増資によって、結局のところシャープ株は上がるのかどうか? ということです。今回のA種種類株式には、「普通株式を対価とする取得請求権」があります。要するに、A種種類株式を普通株式に転換できる、ということです。平成31年7月1日以降に転換できます。
では、1株当たりいくらで転換できるか?ですが、それは平成31年以降のシャープの株価次第です。
最悪の場合、1株100円でA種優先株式が普通株式に転換されます。このとき、2000億円÷100円=20億株が新たに発行されることになります。
2015年3月末における発行済株式数は約17億株ですから、発行済株式数は2倍以上になります。(約118%の希薄化)
もちろんこれは最悪のケースです。シャープの業績がV字回復して、株価も堅調に推移すれば、希薄化はもっと少なくてすみます。
仮に発行済株式数が2倍になれば、株価にはどのような影響があるでしょうか? 発行済株式数が2倍になれば1株価値(適正株価)は2分の1になりますから、理論的には株価も2分の1になるはずです。
一方で、短期的には債務超過を免れたわけですから、今回の増資はプラス材料と言えるでしょう。普通株式への転換も、平成31年7月1日までは実行できません。
以上のことから、今回の増資は、短期的にはプラス要因。長期的には、最悪の場合、1株価値(適正株価)が2分の1になるマイナス要因といえるでしょう。
日本を代表する会社の1つシャープ。ぜひとも業績回復を期待したいですが、株価の上昇はあまり期待できなさそうですね。
「増資」について詳しくは、「良い増資・悪い増資は、株価に影響を与えるの?」で解説しています。そちらもご覧ください。