スタートから20年。VICSの新たなサービスが始まる
VICSセンター(一般財団法人 道路交通情報通信システムセンター)は、1995年に設立されて以降、FM多重放送によりカーナビ等の車載機を通じて、渋滞や交通規制などのVICS情報をリアルタイムでドライバーに提供してきた。そして設立から20周年となる2015年4月23日、VICSセンターは、従来のVICSに加え、VICS WIDEという新しいサービスの提供をスタートした。
2015年4月、VICSの新サービス「VICS WIDE」がスタート
このVICS WIDEは、これまで最大50MBだったFM多重放送の伝送容量を、約2倍の最大100MB程度に拡大し、よりユーザーに役立つ情報を提供できるようにしたもの。
VICS WIDEに追加された主な新サービスは以下の4つだ。
- 一般道のリンク旅行時間の提供
- プローブ情報を活用した渋滞・旅行時間情報の提供
- 緊急情報(特別警報)の提供
- 気象・災害情報の提供
一般道で通過にかかる所要時間がわかる!
リンク旅行時間とは交差点から交差点までの区間などリンク番号で区切った一定の区間の通過にかかる所用時間のこと。これまでも一般道のリンク旅行時間を提供していなかったわけではなかったが、受信するにはカーナビ側に光ビーコン受信機が必要だった。FM VICSの情報だけで一般道の渋滞回避ルート探索が可能に
それがVICS WIDEではFM多重放送で受信できるようになる。リンク旅行時間がわかることで、カーナビ側は光ビーコンを備えていなくても、FM VICS(WIDE)を受信できれば、渋滞を回避するルートの探索が可能になるわけだ。
プローブ情報で細かい道まで交通情報を把握
プローブ情報とは、実際に走るクルマから収集したリアルタイムの交通情報。カロッツェリアのスマートループ渋滞情報やホンダのインターナビ・フローティングカーなど、すでに全国的に展開しているものもあるが、VICS WIDEではタクシーから集めた情報を利用し、当面は東京地区から情報提供を行う。全国展開のスケジュールは未定だ。これまで一般道ではビーコンを設置した道路でしか区間ごとの所要時間を把握できなかったが、プローブ情報を活用することでビーコンのない道の情報収集&提供が可能になった。また右折、左折、直進ごとに異なる交差点の通過時間も細かく提供できるようになり、より精度の高い渋滞回避が可能になる。もっとも、渋滞回避はカーナビ側の機能に依存するのだが。