ファイアーエムブレムの苦悩
ファイアーエムブレム覚醒は非常に人気の出たタイトルでしたが、誰もが納得していたかというと、これがそう簡単な話でもないのです
以降、緊張感を確保しつつ、初めての人でも遊びやすいように難易度選択、ストーリーを進めることなく戦いを重ねてレベルアップできるフリーマップ、仲間が倒されても次のマップで復活するカジュアルモードなどなど、概ね、ユーザーが自分で難易度調整できる、というところにポイントを置き、長い歴史の中でだんだん間口を広げるようにシステムが加えられていきます。
しかしそれで解決したかというと、そう単純な話でもなく、タイトルごとの微妙な調整によって、昔からのユーザーに好かれたり、あるいは新規ユーザーが遊びやすかったりと、シリーズは揺れながら続いていきます。
前作の「ファイアーエムブレム覚醒」ではこれまでの要素を集約しつつ、特に新規ユーザーに遊びやすいファイアーエムブレムに仕上がっていました。新規ユーザーを大きく取り込むことで商業的に成功しますが、一方で、癖があって考えさせられるマップや、意地悪な敵配置、難しい勝利条件といったものはあまり多くなく、ファイアーエムブレムの醍醐味が損なわれていると感じるプレイヤーがいたのも事実でした。
これは、単純に難易度をあげて遊べばいいかというと、必ずしもそうではありません。単なるパラメーターの上げ下げの話だけではなく、全体のコンセプトや数値以外の作り込みに関わる問題がある程度含まれているのです。
育成か、戦略か
どちらのファイアーエムブレムがいいのかは、購入前にユーザー自身が選ばなければいけません。案外、仲間になるキャラクターで選ぶなんていう人もいるかもしれませんね
白夜王国で最も大きいポイントは、ストーリーを進めずに戦闘を繰り返せるフリーマップが搭載されている点です。これによって、いつでも気軽に自軍を強化できます。好きなキャラクターを育てたり、色んなキャラクターをとっかえひっかえ遊んだり、成長させて遊ぶ楽しさが味わえます。難しいと感じても、地道にキャラクターを育てることで誰でも突破できるようになります。
一方、暗夜王国では、このフリーマップがありません。キャラクターの成長や使えるお金が有限であるということですから、慎重にユニットを選んで育成する必要があります。しかも、クリア条件も単に敵を全滅するだけでなく、拠点防衛だったり、一定の制限されたターン内にクリアしなければいけなかったりと、一筋縄ではいかないものが多く収録されているようです。その分、クリアした時の喜びはひとしおでしょう。
つまり、キャラクターの育成をより楽しみたい人は白夜王国、限定された条件の中で戦略、戦術を楽しみたい人は暗夜王国を選ぶと良い、ということになります。それにあわせて、システムやマップが調整されている、ということです。
そして、それぞれに別のストーリーがあり、仲間になるキャラクターも、兵種にも大きな違いがあります。似ている別のゲームを2つ作っていっぺんに発売しているわけです。非常に面白い試みだと思います。
しかし、2本のパッケージを同時発売することに、少なからず批判もあります。