脱・自己完結型恋愛！ 自分の居場所の見つけ方(2ページ目)

海の見える街を舞台にした四姉妹の物語『海街diary』

映画『海街diary』は、鎌倉を舞台に紡ぎ出される姉妹の物語。しっかり者の長女の幸と自由奔放な次女の佳乃、マイペースな三女の千佳のもとに15年前に家族を捨てて家を出た父の訃報が届きます。三姉妹は父の葬儀で初めて腹違いの妹のすずと出会い、三姉妹の父を奪ったすずの母が既に他界したことを知ります。義理の母を支えるすずに長女の幸は一緒に暮らさないかと声をかけ、四姉妹の生活が始まるのでした。


「三姉妹は、すずの存在を通して、許せない父や母をどう受け入れていくか」「彼女たちが誰の隣に自分の居場所を見つけていくのか」――色とりどりの鎌倉の四季のなかで、それぞれに自分なりの考えで答えを探していく瞬間が描かれています。

決して１人では答えを見つけることはできない。家族というつながりを通して、自分が納得できる道を選んでいく姉妹たち。

これって、恋愛でも同じですよね。

「幸せになるためには◯◯すべき」「愛されるためには◯◯しなければならない」など、いまの自分や周囲との関係を否定して、自分さえ変われば理想の人生を手に入れるという自己完結型の恋愛。これで本当に幸せにはなれないんですよね。大切なのは人とのつながりを感じること、誰かをそのまま受け入れることで逆に自分が救われるという優しい関係性なんですよね。

相手がいるとぶつかることもある。でも、そこに向き合い対話をすることで自分らしく生きることができる。今の生活を、そして家族や友だちとの関係を見つめ直すことで見えてくることがある。まずは、いちばん近くにいる人、いちばん近くにいたい人のことを深く考えてみてほしいと思うのです。

『海街diary』

監督・脚本：是枝裕和
出演：綾瀬はるか　長澤まさみ　夏帆　広瀬すず　
2015年６月13日全国東宝系公開

(C) 2015吉田秋生・小学館／フジテレビジョン　小学館　東宝　ギャガ