大学生の就職活動/就職活動の準備

最終面接でよく聞かれる"仕事をする意味"の考え方(2ページ目)

「あなたにとって仕事とは何ですか?」と聞かれたらあなたは何と答えますか?仕事の意味や就職の目的は、エントリーシートで聞かれたり、最終面接の質問として聞かれることもあります。企業がこの質問で何を聞きたいのかということを理解した上で、仕事の意味について考えるためのヒントをご紹介します。

井上 真里

執筆者:井上 真里

大学生の就職活動ガイド

仕事をする意味を考えるヒント

仕事をする意味を考えるヒントとして、ドナルド・E・スーパーが『仕事の重要性研究』で特定した、人が仕事に求めている14の労働価値というものが参考になります。
  1. 能力の活用(自分の能力を発揮できる)
  2. 達成(良い結果が生まれたという実感を持てる)
  3. 美的追求(美しいものを創りだせる)
  4. 愛他性(人の役に立てる)
  5. 自律性(自分の力だけでやっていける)
  6. 創造性(新しいものや考え方を創りだせる)
  7. 経済的価値(たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れる)
  8. ライフスタイル(自分の望むような生活を送れる)
  9. 身体的活動(身体を動かす機会が持てる)
  10. 社会的評価(社会に広く仕事の成果を認めてもらえる)
  11. 冒険性、危険性(わくわくするような体験ができる)
  12. 社会的交流性(いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができる)
  13. 多様性(多様な活動ができる)
  14. 環境(仕事環境が心地よい)

出典:「働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。」戸田智弘 著 ディスカバー・トゥエンティワン刊
 
ここに挙げられた14の価値のうち、あなたにとって仕事の意味だと感じられることはどれでしょうか。特に共感できるものと、あまりピンとこないものがあると思います。人によって選ぶものは様々なので、選んでみるだけでも自分の志向がわかってきます。

また、さらに自分なりの言葉で仕事をする意味を考えていくためには、以下に挙げる2つの質問について考えるのも効果的です。

1.あなたが仕事に期待していることは?

仕事をすればこんなことができるとあなたが期待することはなんでしょうか?これまでの学生の立場ではできないこと、やりにくいこと、少しはできたけど社会人になればもっとできること、という切り口で考えてみましょう。

会社をきっかけに、これまで関わりがなかったような年代や環境にいる人たちと関わることができることが楽しみという人もいるでしょう。また、自分が発揮する価値の対価として、報酬が得られることがやりがいになる人もいるのではないでしょうか。

強みは仕事でもっと伸ばしていける

強みは仕事でもっと伸ばしていける

仕事は、「自分の強みをもっと社会に幅広く発揮していける」という側面もあります。

たとえば、アルバイト先のファーストフード店で手作りのディスプレイを手掛けて喜ばれていた、クリエイティブな才能を持った美大出身の就職活動生。彼女はもっと幅広い商品を扱う大きな店舗でその力を発揮できるような小売雑貨店に就職しました。

文化祭のリーダーとして、メンバーをまとめてイベントを成功させたことのある経済学部出身の就職活動生。彼は今では、動く金額も桁違いに大きく、関わる関係者が幅広くなる商社でプロジェクトを担当して活躍しています。

こんな風に質問してみると、あなたが仕事で期待していること、これまでもやりがいに感じたけどもっと追求したいと思う喜びがきっとあるはずです。

2.生活のための十分な経済的な余裕があっても仕事をする理由は?

お金のために働くという人もいて、それも大切な理由だと感じます。しかしとにかくお金に強く執着していてそのほかの理由が挙げにくいという人は、一旦お金という条件を取り除いたときにそれでも仕事をする意味を感じられるだろうかと考えてみることをおすすめします。

経済的な余裕さえあれば働かないのかと考えてみるということです。すると、仲間とひとつのものをつくりあげるのが楽しいから何かの形で仕事はしたいな……という気持ちが出てくる人や、報酬だけではなく、仕事の責任を果たしながら成長している実感を持てるのが大切だと感じる人もいるでしょう。

こんな切り口で考えてみると、あなたなりの仕事をする意味を見つけやすくなるはずです。

仕事をする意味を曲げてまで内定する?

ここまでお話ししたようなポイントを話すと、たまに「じゃあ自分の考えとマッチしない会社を受ける時はその会社に合うような理由に変えるほうがいいですよね?」と聞かれることもあります。しかし、私はこの発想には疑問を感じます。

あなたが仕事をする意味を曲げてまで取る内定は、そもそも必要なのでしょうか?入社したらあなたはその会社の目指す方向に向かって、1日起きている時間のかなりの部分を仕事に費やすことになるのに、仕事に自分なりの意味を見いだせないことをし続けるのは報酬があるとしても苦痛でしょう(よっぽどの報酬があれば別かもしれませんが)。

そもそも仕事をする意味を大切にしたとき、それはどこか一つの会社でなければ通用しないというようなものはない、幅広い会社や仕事の選択肢が考えられるものだと思います。

逆に考えると、あなたにとっての仕事の意味を簡単に変えられるくらいなら、今あなたの頭に浮かんでいる働く意味というのはその程度の思い付きなのかもしれません。

いまいち働く意味がふわふわしているときは、もう少しじっくりと考えてみるか「今はまだ定かではないが仕事を通じて見つけていきたい」という正直な想いを伝えるのでもいいのではないでしょうか。実際に働いたり、家族ができたりすると仕事をする意味がわかることも、変わってくることも十分あるものです。

経済が豊かで、今がそれなりに満たされている環境にいると、仕事をする意味というのは感じにくいものかもしれません。でも目の前の会社の選考に必死になっているときこそ、少し立ち止まってあなたにとっての仕事の意味を友達同士で話してみたり、考えてみる時間をとってみたりすることをおすすめします。

そこで出てきたあなたなりの考えは、きっと会社を選ぶとき、そして仕事を始めてからもあなたを支えてくれる指針になるはずですよ。
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