特に男性型脱毛症に効く治療法とは?
皮膚科ガイドラインで示されている、推奨度Aの治療法としては下記が挙げられます。- 男性 : プロペシア(フィナステリド)内服、ミノキシジル外用
- 女性 : ミノキシジル外用
こちらは試験を行った結果、発毛効果があり、また副作用発現に関しても問題がないことが立証されているということです。
反対に、推奨度Dは下記の2つです。
- 男女とも : 人工植毛
- 女性 : プロペシア(フィナステリド)内服
これらは、どういった理由でDの評価がついてしまったのでしょうか?
- 人工植毛
植毛には自分の髪の毛を植える「自家植毛」と、化学繊維で作られた毛を植える「人工植毛」の二種類があります。
同じ植毛でも人工植毛は、多くの問題がありおススメできません。よく診察するのは、かぶれて皮膚が赤くなってしまったり、皮膚に菌がついて、膿が出てきてしまったりする患者さまです。何度も人工植毛を繰り返すことで頭が皮膚炎だらけになり、皮膚が変形して、デコボコしてしまった方を診ることもあります。
ちなみに、自家植毛は推奨度Bにあたります。ガイドも、後頭部の髪の毛を頭頂部に植えて満足されている方を何人も見ています。
- 女性のプロペシア(フィナステリド)内服
男性のプロペシア(フィナステリド)内服が、とても効果がある(推奨度A)ことを知った女性の患者さまに「女性がプロペシア飲んではダメなのですか?」とよく聞かれます。どうしてダメなのでしょうか?
理由はふたつございます。
ひとつは、実際の試験において女性の発毛には効果がないことがわかっていること。もうひとつは、女性が飲むと胎児の生殖器の発育に異常をきたす可能性があるためです。妊婦さんや授乳している女性、妊娠の可能性がある女性は絶対に飲んではいけません。
また、このガイドラインのおもしろいところは、日本では保険で認められていない治療もちゃんと掲載されているところです。ドラッグストアで売られている育毛剤についても挙げられています。
市販されている育毛剤の評価は?
早期の治療が大切です
- サクセスの育毛トニック(t-フラバノン)
- 毛髪力ZZ(サイトプリン)
- 毛髪力INNOVATE(ペンタデカン)
ガイドラインA(とても効果がある)の治療法に、「ミノキシジル外用」とありますが、市販で売っている育毛剤にもこれが含まれているものがあります。代表的なものは、「リアップ」シリーズです。
保険診療が適用されない薬もきちんと評価している、当ガイドラインは素晴らしいですね。また、これによって医者はエビデンスに基づいた同じ治療を全国で行うことができるようになりましたし、エビデンスがあるということは、効果を見込めるということです。最新のものをチェックして、確実な治療を行っていきたいですね。
■参考リンク
男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版) ※PDF