こだわりの素材がタップリと使用されている
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はベントレーコンチネンタルフライングスパー(旧型)をご紹介したいと思います。クーペであるコンチネンタルGTのホイールベースを300mm延長し、サルーンにふさわしい後席のゆとりを生み出しています。ちなみに250km/h以上で車体が少し沈み込むようプログラミングされていますが、日本ではなかなか体感できそうにありませんね
ちなみに現行型に当たるモデルは「コンチネンタル」がなくなり、ベントレーフライングスパーとなりますが、この記事ではコンチネンタルがつくモデルを「旧型」としています。何とぞご了承のほど。
さて、ベントレーといえばロールス・ロイスと双璧をなす、トップ・オブ・高級車メーカー。今回ご紹介するコンチネンタルフライングスパーは、フラッグシップであるミュルザンヌの3500万円には及びませんが、それでも新車時価格は2145万円もしました。
それが原稿執筆時点での最安値は488.8万円と、新車時の半額どころか、約4分の1の価格から見つけられるのです。スペックは2005年式/13.2万km/修復歴なし。
走行距離5万km以内で探すと、2006年式/3.4万km/修復歴なしで648万円というのも見つかりました。それでも新車時の3分の1以下ですから随分お安くなっています。
最高速度312km/hを発揮する約2.5tという車を止めるために、フロントのブレーキキャリパーの直径は405mm。当時、乗用車では世界最大でした。ちなみにGT-Rで380mmです。また空力特性のよさを示す空力係数はクーペの0.33Cdを上回る0.31Cd
件の488.8万円の中古車は10年落ちで10万kmオーバーですが、写真を見る限り、とても10年落ち&10万kmオーバーに見えないところが、超が付くほどの高級車たるゆえんだと思います。
インテリアが特にわかりやすいのですが、一台に使用される革は牛11頭分もあります。またウッドパネルは、汚れがなくて漂白処理を施していない最高級のバーウォールナット(オプションで他に5種類)が使われています。これもタップリ奢られていて、インテリアはほぼ本革と天然木で覆われます。
さらに使用される牛は、害虫の影響を受けにくいという理由から、北欧産のみに限定しているというこだわりぶり。またバーウォールナットは「相互に映し合う鏡のように」と木目が左右非対称になるよう配されています。
インパネには当たり前のようにスイスの高級時計メーカーのブライトリングによるアナログ時計が鎮座しているし、インパネの送風口の操作は、オルガンストップコントロールなるものが備わります。
オルガンストップコントロールとは、送風量を調整するものです。たいていはダイヤル式やレバー式ですが、コンチネンタルフライングスパーのオルガン~は、エンジンのバルブのようなカタチをしたものを、押したり引いたりして送風量を調整します。
なぜオルガンという名がついているかといえば、パイプオルガンの音色を選択するものと同じようなカタチ&原理だからです……と、私のような庶民からすれば「幼稚園にあるようなオルガンじゃなく、パイプオルガンかよ!」という感じですが。
いずれにせよ、そうした品質の高さ&世界観も世界の双璧・ベントレーに相応しいものが奢られているわけですから、10年落ち&10万kmオーバーなんて、大した経年ではないのかも知れません。
ちなみに中古車相場のことで補足すると、新車時価格がほぼ同じで、ほぼ同年式&同走行距離のメルセデス・ベンツS600ロング(旧型)と比べた場合、コンチネンタルフライングスパーのほうが高いです。例えばS600ロングの2006年式/10.2万km/修復歴なしで216万円。
それでも上記のような浮き世離れした高級車が新車時価格の4分の1になっているなんて、私はおいしいと思います。さらに、この車の魅力はそれだけじゃないんです。
ロールス・ロイスに対して、ベントレーがドライバーズカーである所以も、この車を買いたいと思う大きな理由。次ページで詳しく見ていきましょう。