鎌倉・江ノ島の観光・旅行/鎌倉・江ノ島 季節(春夏秋冬)の観光

【鎌倉湖】しっとり、イワタバコ咲く水辺さんぽ

鎌倉の辺りに湖があるのをご存じですか。散在ガ池、通称「鎌倉湖」です。散策路がめぐらされ、森林浴を楽しみハイキング。緑のきれいな時期、薄紫色のイワタバコが咲きます。近くにある素朴なたたずまいの白山神社にはアジサイも咲いて。称名寺には滝があります。梅雨時、アジサイ散策でにぎわう鎌倉の混雑を避け、すがすがしい森林浴を楽しめる穴場ルートをご案内しましょう。

村田 江里子

執筆者:村田 江里子

鎌倉・江ノ島ガイド

大船駅からバスに乗って

まずは大船駅から鎌倉湖畔循環のバスに乗ります。散在ガ池(さんざがいけ)に直接行くなら今泉不動が近いですが、アジサイの時期などは1つ前の白山神社バス停で降りてみましょう。バス停から2分ほど進行方向に歩くと、白山神社の鳥居に着きます。

白山神社~「むかでしめ」が迎えてくれる鎮守さま

アジサイ咲く白山神社の参道

アジサイ咲く白山神社の参道


6月中旬ごろなら、参道で、青やピンクのアジサイが迎えてくれるかも。見ざる・聞かざる・言わざるの三猿が彫られた庚申塔などの石塔が並んでいます。山に向かって伸びる階段を登っていきましょう。

この時期なら、斜面にホタルブクロの花が咲いているかもしれません。

ホタルブクロ

里山の花、ホタルブクロ
 

下向きに咲くベル形の白い花。その名のとおり、夜ホタルが飛ぶころに咲きます。かつて鎌倉かいわいで子ども時代を過ごした方から、「ホタルをつかまえて花の中に入れると、ちょうちんみたいに光ってきれいだったんだ」とうかがったことも。ときどき草刈りなどの手入れがされる斜面でよく見られる、里山の植物です。

階段を登り切ると、目の前の鳥居に、大きなしめ縄がかかっています。これはムカデを模してつくられた「むかでしめ」。

むかでしめ

大きな「むかでしめ」がかかっています


毎年1月8日、氏子の皆さんが集まって、数人がかりでワラの束を抱えしめ縄をつくる「大注連祭(おおしめさい)」で奉納されたものです。大ムカデは、ご本尊の毘沙門天の使いで、ヒルなどを退治する稲作の神ともいわれています。

ここは源頼朝の創建と伝えられる、今泉の鎮守さま。社殿には、頼朝が京都へ上洛した際、鞍馬寺からもらいうけたといわれる毘沙門天立像がまつられているといいます。

森の木々に包まれた、素朴な味わいの神社。心がほっと和む、ゆったりとしたひとときを過ごせます。

<DATA>
■白山神社
住所:鎌倉市今泉3-13-20
電話番号:0467-47-4798
アクセス:JR大船駅東口5番バス乗り場から鎌倉湖畔(循環)行きで「白山神社前」下車徒歩2分
YAHOO!地図


称名寺~空海ゆかりのすがすがしい滝が

白山神社を出たら、バスの進行方向に進んでいきましょう。途中の別れ道で、右折して坂を登れば散在ガ池ですが、称名寺(しょうみょうじ)にお参りし、滝を拝見するため、曲がらずいったん直進してみてください。

砂押川(すなおしがわ)沿いの道を歩きます。砂押川は大船駅前を流れる柏尾川(かしおがわ)の支流で、藤沢で境川に合流し、江ノ島の海に注ぎます。

砂押川

砂押川の流れに沿ってさかのぼっていきましょう


川沿いをさかのぼっていくうちに、流れは次第に細まり、渓流らしいたたずまいに。

しばらく進み、称名寺に到着。みずみずしい緑のモミジの葉を眺めながら、ゆるやかな坂を登っていきましょう。迎えてくださるのは六地蔵。

六地蔵

六地蔵。一番左側のお地蔵さまの鼻が高いのが…分かるでしょうか?


よくお顔を拝見すると、1人だけ鼻が高いお地蔵さんがいらっしゃいます。鼻高地蔵と呼ばれているそう。お地蔵さまにも個性があるんだな…と、何だか親しみを感じてしまいます。

本堂にお参りしましょう。
称名寺の本堂

称名寺の本堂


ご本尊は、阿弥陀如来聖衆来迎像。浄土教では、人が亡くなると、紫の雲に乗って阿弥陀さまや二十五菩薩さまがお迎えにくるといわれており、二十五菩薩像までまつられた、荘厳な風情。本堂の扉は大きなガラスとなっており、ご本尊さまをお参りのときに拝見できるようになっています。金色の仏さまが並ぶ様は、重厚な印象で、圧倒されます。

このお寺は、弘法大師空海の開山と伝えられ、鎌倉幕府の代々の将軍や北条氏が、ここにお参りしたといわれます。今泉不動とも呼ばれています。

お参りが済んだら、境内の奥へ。階段を下っていくと、サアッと水音が響いてきます。高さ5メートルほどの雄滝、3メートルほどの雌滝が並び、陰陽の滝といわれています。

称名寺の雄滝

清冽な雄滝
 

滝壺付近まで下れば、幽邃な渓谷の景色。先ほど見た、砂押川の源流付近に当たります。弘法大師空海が諸国巡礼の折、紫雲のたなびくこの辺りを訪れると、仙人のおじいさん・おばあさんが現れ、「不動明王を彫り、水不足で困っている村人たちのために水が出るようお願いしなさい」とのお告げがあったといいます。そこで不動明王の像を刻み祈ったところ水が湧いたそう。この伝説が、今泉という地名の由来となっています。すがすがしい滝のそばで、心洗われるひとときを。

滝から階段を登って戻ります。さらにそばにある苔むし、すり減った階段を登っていけば、不動堂があります。ここが今泉不動といわれるところです。奥には宇宙の根本を表す存在とされる大日如来を中心に、三十六童子の石像が並んでいます。
大日如来像

大日如来像


不動明王は、大日如来がこの世のすべての悪魔や煩悩を降伏させるために変身した姿とされ、童子は修行中の若い僧や、菩薩に従う人を意味します。

九十九谷ともいわれる、深い山々に囲まれた称名寺。お参りするうち、心がしっとりと落ち着いてくるようです。

<DATA>
■称名寺
住所:鎌倉市今泉4-5-1
電話番号:0467-45-1774
アクセス:JR大船駅東口5番バス乗り場から鎌倉湖畔(循環)行きで「今泉不動」下車徒歩7分
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