救国の英雄が築いた、ベルヴェデーレ宮殿
北側の庭園から眺めたベルヴェデーレ宮殿上宮の様子
この宮殿が完成したのは1723年のこと。フランス貴族のサヴォワ家出身で、ハプスブルク皇帝に仕えたプリンツ・オイゲン・フォン・ザヴォイエンの夏の離宮として建てられました。プリンツ・オイゲンは軍才豊かで、1683年に開始された対オスマントルコの掃討戦や1701年からのスペイン継承戦争において、オーストリアを次々と勝利に導いた救国の英雄。戦の機微に鋭い軍人でありながら、バロック作品も意欲的に収集するなど、芸術方面にも深く傾倒していたことで知られています。(※プリンツはドイツ語で公子の意味)
またベルヴェデーレ宮殿上宮からは、庭園の向こうにシュテファン大聖堂を中心とした見事な旧市街の街並みを見渡すことができるため、その美しい眺め(=ベルヴェデーレ)からこの名がついたとされています。
ベルヴェデーレ宮殿 上宮(Oberes Belvedere)
■世界最大のクリムトコレクション1907~1908年に制作されたクリムトの代表作、「接吻」(c) Belvedere, Wien
特に代表作の『接吻』は大きさが180cmx180cmもあり、迫力満点。更にカメラでは捉えきれない金銀箔のさんざめきが加わり、えもいわれぬような幻想的空間が醸し出されています。『接吻』以外にも、肖像画や風景画、寓意的描写など、作品は合計24点にも及び、クリムト独特の世界観を一挙に味わうことができます。
上宮にはクリムトの他にも、同じくウィーン世紀末画家であるシーレとココシュカの秀作、フランス印象派やウィーン・ビーダーマイヤー様式のものなど、19~20世紀の芸術作品が中心に展示されています。
■バロック様式の宮殿建築
宮殿内でもっとも豪華な大理石の大広間
次は、プリンツ・オイゲンの暮らした下宮の様子をレポートします!